洋琴抄
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それは、再度アタシへ訪れた限界の日。
ルイはちゃんと休暇を用意して、その日に限界を合わせてくれた。
「明日と明後日は、休めますから」
アタシは数秒の後頷く。自分じゃどうしようもないのよね、と、不甲斐なくて涙が出る。そのままメイク落としシートで涙ごとメイクを拭っていく。
ありがとうルイ。同じこと何回も繰り返してごめんなさい。でもね、鏡を見ると、他人からの憐れみだったりとか好奇だったりの疎外の視線を見ると、ああそういえばアタシって醜かったんだわって、思い出してしまうの。その瞬間がどうしても耐えられなくて、
これがいつまで続くの?
役者を辞めたって、何も変わらないわ。いいえ、世間から称賛されてるから、まだ冷静になって耐えられるけれど、これがいつまで?
一生?
刻印の呪いだから、一生この顔のまま生きなきゃいけないんだわ。
ねえ、ねえ、ねえ。もういやよ。──なんて涙を零しながら考えて、自分が寝た方がいいことに気付いた。気付けた。
「……アタシのパジャマとってきて」
「はい」
「ねえ。寝たいのだけれど、さみしくって寝たくないの。どうしたらいいかしら?」
「……、ソファーで寝ちゃいますか?ずっと音小さくして映画流して、私ここで作業してるので」
「……うん」
ルイもよくここで居眠りしてる。その為にいいソファーを買ったんです、と言っていた通り、このソファーはとっても座り心地がいい。
ルイがパジャマを持ってきてくれたので──もぞもぞと服を脱いで、身体へ洗浄魔法を使って、パジャマに着替えると、服の締め付けがなくなってひと心地つけた。
ルイはぬるくてどこかあまい香りのする生姜の入ったハーブティーをカップに入れて持ってきてくれた。少しだけとろみのあるそれを、転がすように口に含む。おいしい。あったまる。
3口くらい嚥下したところで、息を吐いてテーブルにカップを置き、隣へ座っているルイへ縋り付く。あたたかい。アタシがそうすると、ルイもカップを置いて、アタシを抱きしめて背中を撫でてくれるので、安心する。
「ヴィルさん、かわいい」
「……」
こんなに不甲斐ないところを見せても、その一言で済ませてくれるならいいのよ、って。考えながら瞳を閉じた。