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保科宗四郎

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ありゃりゃ、こりゃけったいなところに来てしもた…
周りを見渡せば白い壁に囲まれた部屋。
ポツンと置かれたベッドとその横にはサイドテーブルがある。どちらも白を基調としていてシンプルなデザインだ。
光源がないにも関わらず明るい不思議な空間だった。





すると、ドスンという音と共にあたたたた、と聞き馴染みのある声がする。
振り返るとパーカーにスキニーパンツと、ラフな格好をした部下、苗字なまえがいた。
尻餅をついたのか腰をさすっている。





「あれ、保科副隊長、お疲れ様です」保科に気づくと人懐っこい笑みを浮かべる。




「うん、お疲れさん」




無意識に緊張していたようで、全身の力が抜ける。
安心している場合ではないのだが。





「あれ、そういえばここ、どこです?わたし資料室から自室へ帰るところだったんですけど…」





「んー、それが見当もつかんのよ、僕もさっきここにいることに気付いてん。副隊長室の扉を開けたはずやってんけどな」





おかしな事もあるもんですね。そう言いながら、苗字はペタペタと壁を触っている。




「あの、副隊長お気付きかもしれませんが、ここ、扉ないです…」




「せやねん、扉から入ってきとんのになくなるってどういうこっちゃねん」





かさり、と音がしサイドテーブルを見やれば紙らしきものが置いてある。
先ほどまでなかったのに、だ。





その怪しげな紙を拾い上げれば、ぼんやりと文字が浮かび上がる。




【抱きしめないと、出られない部屋】





は?!?!?!!思わず声が漏れる。




「ん?副隊長どうしたんです?」




いまだに壁をペタペタと触っていた柊は不思議そうな顔でこちらを見る。





「あ、いや、苗字、まずいことになったかもしれんぞ」




まずいこと、ですか?と歩み寄る苗字に先ほどの紙を見せれば、抱きしめないと出られない部屋…とポツリと呟いていた。





「これはもしや、この紙に書いてあることを実行すれば、出られるということですよね?他に方法もなさそうですし、ここはいっちょやってみますか!」




そういえば、この子のは案外肝が据わっていたな、と思い出す。




「抱きしめるぐらいでしたら、海外の方たちの挨拶でもありますし、うんうん、これぐらいなら全くまずくないですよ!ささ!そうと決まればちゃっちゃとこの部屋が出ましょう!」





そういって両手を広げるようにすれば、副隊長、どうぞ、なんて言ってくる。





男前にもほどがあるっちゅうねん!
そんなら、お言葉に甘えてっと柊の細い腰に手をまわせば、自身の背にも手が回るのを感じる。





どきどきと鼓動が早まるのを感じながら苗字を見やれば、ふふふ、とすり寄ってくる。
あかん、思った以上に近い。ええ匂いするし。





「副隊長、見かけによらず体がっしりしてますね。やっぱり男の人なんですね」なんて背中をひと撫し、離れていく。
ちょっと名残惜しいなんて思った自分に驚きながら気づかれないように息をついた。
あかんで、僕しっかりしぃ!!!





「えー、副隊長ぉ、大変です…」





さして大変そうにも感じ取れないような声で柊が、紙を拾い上げる。





なんとそこには、【名前を呼び合わないと出られない部屋】と書かれているではないか。






「なんでや、さっきと文章変わっとるやないか」





「違うんです、新しい紙が出てきました、ほら、さっきのはここに、どういう原理?これ、もしかして、まだまだお題がでてくるとか…?」





どこか、確信めいた言葉に背筋がぞわりと震えた。




その後も、くすぐり合う、20秒間見つめる、指を絡める、髪をすく、頬を寄せる、首筋に噛み付く、と内容はどんどんと過激になっていく。





最初こそはノリノリの苗字もだんだんと、う、とか、ひえ…っと声を上げるようになってきた。





大切な部下に、なんちゅーことさせんねん…
いい加減にどうにかしなくては、と考え紙を見ればじわりじわり、と文字が浮かび上がるところだった。





思わず目を見開く…いやいやいやいや、これはさすがに、さすがにあかん、これだけはあかん…。





そこには、でかでかと【致さないと出られない部屋】と書かれているではないか。





苗字も理解したのか顔を真っ赤にしている。





できるだけ、なんてことないふうを装って「大丈夫や、他の方法探そ、こんなよぉわからんお題に従う必要なかったんや」





「でも、いまだに扉も現れないし…このまま出られなかったら…」





「あかんて、苗字ちょっと冷静になり、そんな簡単にしていいもんとちゃう。今までのとは比べものにならんやつや」





「…副隊長、でも、たぶんこれ、これしたら…出られます…」




紙を持ったまま消え入りそうな声で苗字はいう。





「…何を根拠にそんなこというん?」





「あの、ここ、ここに小さくですが数字が書いてあるんです。1って…さっきまでのお題…9枚あるんです。だから、1ってことは最後ってことですよね?」




ほら、と先ほどまでの紙を掬い上げる苗字の手には確かに小さな文字で数字が記されていた。




ひくっ、と顔が引き攣るのがわかった。
なぜ、扉のない部屋にベッドが置かれているのか、軽い内容からどんどんと過激になっていったのか。まさかと思い、サイドテーブルの引き出しを開ければ、そこには致すために必要なものが入っていた。





「これは、さすがにあかんやろ…」





「…副隊長」





苗字を見れば目には涙を溜めてこちらを見ている。
きゅっとシャツを引かれれば、なけなしの理性はどこかに消え去った。




なまえ、責任は取る。こんなタイミング言うのもちゃうと思うけど、好きや、大切にするから僕の彼女になって…」




「…う、私も宗四郎さんのことが、好きです。」






どちらともなく唇が重なれば、もう言葉は必要なかった。







かさり、とサイドテーブルから紙が落ちる。
そこには、お互いの本当の気持ちを伝える、と書いてあった。
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