鳴海弦
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温かな熱が心地よくて擦り寄るように頬を寄せれば、それに応えるように背中に回された腕が身体を引き寄せる。隙間なく抱きしめられれば、心も体も満たされるような感覚に、鼻腔をくすぐる甘い匂いに、そっと意識は遠のいていった。
おい、おい…遠くから呼ぶ声が聞こえる…。
ゆらりゆらりと揺れる意識の中でまだ眠っていたい、と身体を捻るも逃がさない、とばかりに引き寄せられた。
誰だ、大事な睡眠の邪魔をする不届者は…。
仕方なしに目を開けば、怪訝そうな表情を浮かべた鳴海隊長がいた。
おや、わたしの部屋になんで鳴海隊長が?ついに恋仲になった?まさかまだ夢の続きなのだろうか…包まれるような温かさがとても心地の良い夢だった気がする。
それならこの都合のいい夢から覚めるわけには行かない、そう思いもう一度目を閉じた。願わくば目が覚めた時も、鳴海隊長がいますように…
「あだっ…」
虚しくも、二度寝は妨害されてしまった。
「…寝るな!起きろ!!!早くボクの布団から出ていけ…!」
「ボクの布団って…鳴海隊長、寝言は寝てるときい言うものですよ?鳴海隊長こそ…わたしのベッドから出ていってくださ…い?」
そう、わたしの部屋はベッドのはずだ…それなのになぜ天井がいつもより高く感じる?それにマットレスが硬いような?
がばり!と起き上がれば自室のはずもなく、ここは紛れもなく鳴海弦こと、第一部隊隊長の部屋だった…。
「は…?え?鳴海隊長…なんでわたし、え?」
「…知らん。やけに陽気な声で入ってきたかと思えば、そのままボクの布団の中に潜り込んできたんだ。今日の湯たんぽは最高だ!なんて歌まで歌って…久しぶりに早く寝ついたと言うのに!聞きたいのはボクの方だ。苗字はボクのことを湯たんぽだと思っているのか?」
内心気にするところはそこなのか?と疑問に思いつつも答える。
「湯たんぽだなんてそんな、確かに子供体温だろうなとは思ってましたが、鳴海隊長を湯たんぽのように扱うわけないじゃないですか!わたしの鳴海隊長への愛を舐めないでください!今日だって同期たちに鳴海隊長がいかにかっこいいのかを説いていたと言うのに!!エゴサしちゃうところすら、好きなんですから!」
ふんす!と答えれば、鳴海隊長がたじろぐ気配を感じた。
「現に、湯たんぽがわりにしてるじゃないか…」
「…そこなんです。自分の部屋に戻るつもりが…気づいたら鳴海隊長に抱きしめられていました。これが帰省本能ってやつですかね?」
「…っ!ばか!抱きしめてなどいない!!!」
「えー?確かに包み込まれるような感覚があったはずなのになぁ…」
やっぱり夢だったのかなぁ…夢なら覚めたくなかったなぁ…隊長とだったらなんの問題もないのになぁ…なんて独言れば、はぁ…とため息が聞こえた。
「キミは、不用心にも男の部屋のしかも布団の中に潜り込んで無事で済むと思っているのか?」
鳴海隊長は、苦虫を噛み潰したような表情でこちらを見る。
あ、その表情もかっこいいな、と場違いなことをやけに冷静に考えてしまった自分に思わず笑みが漏れた。
「鳴海隊長、据え膳食わねば男の恥という言葉があります…だから、どうぞ?美味しくいただいちゃってください」
「…苗字、キミってやつは!滅多なことを言うもんじゃない…!!!!…泣いてやめろと言ってもやめてやらんぞ!!!!!あと、明日になって覚えていない、は無しだからな!!!!!」
「もちろんです。それに、お酒を飲んでも覚えてる方なので!あ、ここに来るまでのことは忘れちゃってましたけど、まぁ、忘れてたら思い出させてくださいね」
「ボク以外の男にこんなことするな…」
先ほどとは違う、熱のこもった瞳に自然と頬が緩む。
「ふふ、もちろんです。鳴海隊長にしかしませんよ。お酒の力を借りてしまいましたが、私だって本気です」
ねぇ、だから…はやくと、せがむ私に鳴海隊長は噛み付くようなキスをした。
「なまえ…ボクのことを名前で呼ぶことを許可する…」
ありがたいお言葉に、名前を紡ごうにもそんな余裕が与えられるはずもなく、かろうじて言葉にできた好きの2文字もただただ、飲み込まれてしまった。
そして本当に泣いて許しをこうても止めてもらえないのだった。
翌日、昨夜の行為を思い出し、真っ赤になった私を弦はニヤリと笑ってそれはそれは愛おしそうに抱きしめるのであった。