初恋ランプ
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次の日は最悪の目覚めで、起きたときにはお兄ちゃんはもう出かけていた。
そうだよね、彼女…出来たんだもの。
妹なんて目に入らないよね?
でもね、聞きたいことがあるの。
付き合うって伝えてくれたとき。
どうして、あんなにも辛そうな顔だったの?
なんて聞くことも出来ず、数日が過ぎ去っていった。
家の中は数日前から重苦しい空気だった。
私はごはんを食べても吐いてしまうし。
お兄ちゃんはあからさまに私を避けているし。
あのお父さんでさえ、茶化すことすらしない。
「…ごちそうさま」
「リョーマ、ちょっと話がある」
そう言ってお父さんはお兄ちゃんを自室に連れて行った。
そんな光景を見ながら私はゆっくりとお粥をすする。
けれど、数分もしたら吐いてしまうんだろうななんて思った。
お兄ちゃんとお父さんが部屋に入って数分後、もの凄い音がした。
その少し前にお父さんの「このバカが!!」て言う怒りの声がした。
お母さんと顔を見合わせて急いでお父さんの部屋に向かった。
と言っても私は体力がほとんどなくてお母さんが先についてて。
私がやっとの思いで着いた頃にはまさにカオス、いや修羅場というのかなんかもうよく分からない状態になっていた。
お兄ちゃんは頬に赤い痕が付いててお母さんはお兄ちゃんになにか声を掛けてて、お父さんは荒い息をしながらギュッと握っていた拳を振るわせて立っていた。
「お前、いつからそんな腑抜けに成り下がったんだ!」
「………」
お兄ちゃんはなにも言い返さない。
ただ俯くだけ。
なにが起こったかは分かる。
でも、理由が分からない。
あのお父さんがこんなにも怒りを露わにする理由が。
「俺だって、やりたくない。
こんなこと…でも逆らうとまつりが」
『わたし?』
思わず声が漏れた。
瞬間お父さんとお兄ちゃんが私を見た。
なに?なにが起こったの?
私がなにかしたの、この騒動の原因は私…?
『う、ぇ…!』
気づいてたら私は吐いていて。
これで何回目だろうなんて思いながら喉の奥の方がチリチリと痛んだ。
「まつり…!」
「触るなリョーマ。
今のお前にはまつりに触る資格なんてない」
その後のことはよく覚えていない。
気がついたら自室にいた。
薄らとした視界で小さい頃お兄ちゃんからもらった羊のぬいぐるみを無意識に抱きしめていた。
なんでこんなことになったのだろう。
もう誰が悪者とかどーでもいい。
ただ私は以前の穏やかで温かい日常に戻って欲しかった。
『お兄ちゃん──』
どれくらいたっただろう。
静かな部屋で考えた。
どうして急に竜崎さんと付き合いだしたのお兄ちゃん。
どうしてお兄ちゃんを殴ったのお父さん。
その原因は私にあるの?
お兄ちゃんを苦しめている原因ってなに?
ぐるぐるぐるぐる考えてなんだかまた吐き気がした。
吐き気だけでなくて知恵熱が出てきたも。
そんなことを思っていると、下の階で電話が鳴ってお父さんが出ているようなそんな音がした。
それから下が慌ただしくなった気がする。
そこまで考えて私は意識を完全に手放した。
夢を見た、幼いころのゆめ。
目の前には大好きなお兄ちゃん。
なのにどこか違う、どこか余所余所しい。
目の前にはお兄ちゃんとお父さんとお母さん。
背後に気配がして振り返ると、二つの影がいた。
不思議と怖くなくて大きな手で頭を撫でられた。
「ほら、まつりリョーマくんと一緒に遊んできなさい」
『うん!
行こう、リョーマくん!!』
懐かしさを覚える優しくて、優しすぎて泣きそうになってくる声。
だけど会話に違和感を覚える声。
なんで私がお兄ちゃんのこと名前で呼んでるの?
そんなことを思いながら幼いふたつの影は人混みに消えていった。
『…変な夢』
目を覚まして開口一番。
夢にしてはリアルすぎたけど、あり得ない夢だ。
それとも私は昔お兄ちゃんのこと名前で呼んでいたのだろうか?
あれ、私いつからお兄ちゃんといたんだろう生まれたときから一緒のはずなのにその違和感はずっと拭えずに心にはモヤモヤが残る。
吐いたし寝たしで体は少し軽く感じる。
最近にしては良い調子だ、そう思いながら羊のぬいぐるみを抱えたまま本棚へと視線を移す。
確か、この辺り…と目星をつけて目を走らせると見つけたのは一冊のアルバム。
アルバムを取り出して最後のページから一枚一枚めくっていく。
最近のは青学に入学した写真、それからアメリカにいた写真。
『て、あれ?
これで終わりだったっけ』
今まで違和感も感じなかった。
アルバムのページの最初の写真は、あの夏祭りで。
おかしい、そういえば私たちが赤ちゃんのときの写真て見たことないかも。
なんて思っていたらお父さんとお兄ちゃんの声がした。
「──っさいな、もう親父には関係ないだろ!」
「だから、話があるといってんだろうがバカ息子」
良かった、喧嘩はしてるけど殴り合い取っ組み合いではないみたい。
『ねぇ、お父さん』
「お、まつり起きたか?
飯は食えそうか」
スッと私の横を通り過ぎるお兄ちゃんに寂しさを感じる。
最近はいつもこう、私に話しかけてもくれない。
本当は昔から私のこと邪魔って思ってたのかな?なんて以前竜崎さんたちに言われた言葉を思い出す。
『ねぇ!
それより私たちの赤ちゃんの頃の写真ってどこだっけ?』
寂しさを吹き飛ばすために今私が出せる大きな声を出してみた。
ら、お父さんの表情が一瞬で固まった。
「そうだな。
リョーマにだけ、なんて上手い話しすぎるよな」
『え、お兄ちゃんが写真持ってるの?』
「いや、持ってないんだリョーマも俺も母さんも。
まつりの赤ん坊の頃の写真を」
は?なに言ってるの。
いつもの冗談止めてよなんて言ってみるけれどお父さんの表情は変わらないまま真面目に私とお兄ちゃんを見据える。
「お前は、いや。
お前たちは本当は双子なんかじゃないんだ」
.
そうだよね、彼女…出来たんだもの。
妹なんて目に入らないよね?
でもね、聞きたいことがあるの。
付き合うって伝えてくれたとき。
どうして、あんなにも辛そうな顔だったの?
なんて聞くことも出来ず、数日が過ぎ去っていった。
家の中は数日前から重苦しい空気だった。
私はごはんを食べても吐いてしまうし。
お兄ちゃんはあからさまに私を避けているし。
あのお父さんでさえ、茶化すことすらしない。
「…ごちそうさま」
「リョーマ、ちょっと話がある」
そう言ってお父さんはお兄ちゃんを自室に連れて行った。
そんな光景を見ながら私はゆっくりとお粥をすする。
けれど、数分もしたら吐いてしまうんだろうななんて思った。
お兄ちゃんとお父さんが部屋に入って数分後、もの凄い音がした。
その少し前にお父さんの「このバカが!!」て言う怒りの声がした。
お母さんと顔を見合わせて急いでお父さんの部屋に向かった。
と言っても私は体力がほとんどなくてお母さんが先についてて。
私がやっとの思いで着いた頃にはまさにカオス、いや修羅場というのかなんかもうよく分からない状態になっていた。
お兄ちゃんは頬に赤い痕が付いててお母さんはお兄ちゃんになにか声を掛けてて、お父さんは荒い息をしながらギュッと握っていた拳を振るわせて立っていた。
「お前、いつからそんな腑抜けに成り下がったんだ!」
「………」
お兄ちゃんはなにも言い返さない。
ただ俯くだけ。
なにが起こったかは分かる。
でも、理由が分からない。
あのお父さんがこんなにも怒りを露わにする理由が。
「俺だって、やりたくない。
こんなこと…でも逆らうとまつりが」
『わたし?』
思わず声が漏れた。
瞬間お父さんとお兄ちゃんが私を見た。
なに?なにが起こったの?
私がなにかしたの、この騒動の原因は私…?
『う、ぇ…!』
気づいてたら私は吐いていて。
これで何回目だろうなんて思いながら喉の奥の方がチリチリと痛んだ。
「まつり…!」
「触るなリョーマ。
今のお前にはまつりに触る資格なんてない」
その後のことはよく覚えていない。
気がついたら自室にいた。
薄らとした視界で小さい頃お兄ちゃんからもらった羊のぬいぐるみを無意識に抱きしめていた。
なんでこんなことになったのだろう。
もう誰が悪者とかどーでもいい。
ただ私は以前の穏やかで温かい日常に戻って欲しかった。
『お兄ちゃん──』
どれくらいたっただろう。
静かな部屋で考えた。
どうして急に竜崎さんと付き合いだしたのお兄ちゃん。
どうしてお兄ちゃんを殴ったのお父さん。
その原因は私にあるの?
お兄ちゃんを苦しめている原因ってなに?
ぐるぐるぐるぐる考えてなんだかまた吐き気がした。
吐き気だけでなくて知恵熱が出てきたも。
そんなことを思っていると、下の階で電話が鳴ってお父さんが出ているようなそんな音がした。
それから下が慌ただしくなった気がする。
そこまで考えて私は意識を完全に手放した。
夢を見た、幼いころのゆめ。
目の前には大好きなお兄ちゃん。
なのにどこか違う、どこか余所余所しい。
目の前にはお兄ちゃんとお父さんとお母さん。
背後に気配がして振り返ると、二つの影がいた。
不思議と怖くなくて大きな手で頭を撫でられた。
「ほら、まつりリョーマくんと一緒に遊んできなさい」
『うん!
行こう、リョーマくん!!』
懐かしさを覚える優しくて、優しすぎて泣きそうになってくる声。
だけど会話に違和感を覚える声。
なんで私がお兄ちゃんのこと名前で呼んでるの?
そんなことを思いながら幼いふたつの影は人混みに消えていった。
『…変な夢』
目を覚まして開口一番。
夢にしてはリアルすぎたけど、あり得ない夢だ。
それとも私は昔お兄ちゃんのこと名前で呼んでいたのだろうか?
あれ、私いつからお兄ちゃんといたんだろう生まれたときから一緒のはずなのにその違和感はずっと拭えずに心にはモヤモヤが残る。
吐いたし寝たしで体は少し軽く感じる。
最近にしては良い調子だ、そう思いながら羊のぬいぐるみを抱えたまま本棚へと視線を移す。
確か、この辺り…と目星をつけて目を走らせると見つけたのは一冊のアルバム。
アルバムを取り出して最後のページから一枚一枚めくっていく。
最近のは青学に入学した写真、それからアメリカにいた写真。
『て、あれ?
これで終わりだったっけ』
今まで違和感も感じなかった。
アルバムのページの最初の写真は、あの夏祭りで。
おかしい、そういえば私たちが赤ちゃんのときの写真て見たことないかも。
なんて思っていたらお父さんとお兄ちゃんの声がした。
「──っさいな、もう親父には関係ないだろ!」
「だから、話があるといってんだろうがバカ息子」
良かった、喧嘩はしてるけど殴り合い取っ組み合いではないみたい。
『ねぇ、お父さん』
「お、まつり起きたか?
飯は食えそうか」
スッと私の横を通り過ぎるお兄ちゃんに寂しさを感じる。
最近はいつもこう、私に話しかけてもくれない。
本当は昔から私のこと邪魔って思ってたのかな?なんて以前竜崎さんたちに言われた言葉を思い出す。
『ねぇ!
それより私たちの赤ちゃんの頃の写真ってどこだっけ?』
寂しさを吹き飛ばすために今私が出せる大きな声を出してみた。
ら、お父さんの表情が一瞬で固まった。
「そうだな。
リョーマにだけ、なんて上手い話しすぎるよな」
『え、お兄ちゃんが写真持ってるの?』
「いや、持ってないんだリョーマも俺も母さんも。
まつりの赤ん坊の頃の写真を」
は?なに言ってるの。
いつもの冗談止めてよなんて言ってみるけれどお父さんの表情は変わらないまま真面目に私とお兄ちゃんを見据える。
「お前は、いや。
お前たちは本当は双子なんかじゃないんだ」
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