庭球
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部活終わりの放課後。
心地よい疲れと、部員の談笑の声を聞きながら。
俺、白石蔵ノ介は部長として今日の部誌を書いていた。
この後、ある意味修羅場が起こるとも知らず。
今日の練習のここは良かった、改善する点もあった。
そんなことを書いていきあと1行残ってしまいなにか他に書くことはないかと思い、ペンを持ち直した。
そのタイミングを図ったかのように部室の扉が勢いよく開いた。
その音に部室に残っていた部員みなの視線が集まる。
「あれ、名字さんやん」
「ほんまや、どうしたん?」
そこに立っていたのは、最近俺が付き合いだした恋人。
名字さんが息を切らしながら入って来た。
今日はお互い部活終わりの時間が合わなくて一緒に帰れないと思ってた。
…もしかして、俺に会いに来てくれたんか?と胸が少し熱くなった。
が、彼女の目つきは見たことないほどの鋭いもので。
『ほんと、なの?』
「は、なにが」
一体何のことやら、全く分からなくて首を傾げる。
『白石くん、忍足くんと両思いってほんとうなの!?』
「は、え…はあぁぁぁぁ!?」
予想の斜め上、いやそれ以上の爆弾発言。
なにがどうなって、そんな思考になるんだ。
てか、なんでケンヤ?
は?意味が分からなすぎて一瞬思考が停止した。
それは同じくケンヤもだったようで。
「なにいうてんや、名字さん
頭、ぶつけたん?」
『だって、その要素しかないって…』
「いやいやいや、ありえへん
一億%ないわ!
なにがどーなったらそんな思考になったんや」
そしたら今度名字さんの頬につー、と雫が流れた。
本当になんで?
泣かせたのは俺とケンヤが原因なんか?
あまりにも突拍子もない出来事に頭が追いつかない。
が、とりあえず名字さんを椅子に座らせて理由を聞くことにした。
それは、人によっては馬鹿馬鹿しくて人によっては恐怖すら感じるものだった。
名字さんの話によると、ついさっき見知らぬ女子生徒に声を掛けられ俺と別れるように迫ったらしい。
勿論、名字さんは断固拒否した。
そして、その生徒はありえへん発言をした。
簡単にまとめると
白石くんと忍足くんは両思いだから、邪魔をするな!と言われた。
と、いやいやいやなんで?さっきも言ったけど何で?
それを信じてしまう名字さんもなんで??
『だって…2人っていつも一緒に居るし
クラスも選択授業も部活も…あと、たまに一緒に帰ってるし~』
そう言って机にうっ突っ伏して大泣きしてしまった。
あまりにもくだらない内容に少々自分の彼女を心配してしまった、この子怪しい壺とか交わされそうやな、と。
それでも、不安にさせてしまったのは不本意ながら紛れもない事実なみたいなので。
「なぁ、名字さん
確かにケンヤと一緒におる時間は言われてみれば長いかもしれへん。
でもな、そんな知らんヤツの世迷言なんか気にせんでいい。
俺は名字さんだけや、好きなのは名字さんだけや」
な?と流れ続ける雫を優しく拭う。
俺の大切な彼女を傷付けたヤツのことは許せない。
けれども、そんなに涙を流すほど俺のこと想ってるのかと思うとちょっとだけ嬉しくも思う。
『………分かった、変なこと言ってごめん』
「よかったわー。これで『女の子にして!』…は?」
『もし万が一私以外を選ぶなら女の子にして!』
何を言い出すんだこの子は、と言うかなにひとつ分かっとらん。
頭を抱えたくなる状況だけれども、もうこっちもやけになってきて。
「お、おう!分かった了解や、女子にする」
万に、いや億が一にもないけれども。
その言葉で泣きじゃくる彼女が安心してくれるなら。
『……よかった』
そうやって笑ってくれるのなら。
それはそれでええんかなとも思った、そんな日だった。
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名字
