籠球
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乾いた空に乾いた音が響いた。
何故って?
それは、私が桃を怒らせたから。
いや、それはちょっと違うかな?
「ひどっっい!最低!!
今まで私のことそんな風に思ってたの!?」
『…逆に聞くけど、私とあんたっていつから友達なんて関係になったの?』
おーお、いいねぇ。
その端正な顔が歪んできてる。
私のさっきの言葉が余程刺さったのだろう。
大きい目から大粒のなみだがあふれ出している。
これこれ、私が見たかったのは。
慈愛にあふれた笑顔でも凜とした表情でもない。
この“女”として、歪みきった醜い顔。
んー、でもなんでかな?
まだ足りないかも…もうちょっとその心を揺さぶってみようか。
『あのさ、酷いのと最低なのはどっちなのかな?
なんでこの学校を選んだの?
なんで困ったときはあっちの学校を頼ったの?
どうして、ウチの情報簡単に喋っちゃったの?』
「っ!!
そ、それは…だって!」
『自分から監督を説得したんでしょ、知られたら結果は見えてたじゃん。なのに頼ったの?
なに? 私は一生懸命やりました、助けてください って?
悲劇のヒロインぶってんじゃないわよ』
私の最後の言葉に余程動揺したのか、桃はまた左手を振りかぶる。
あはは、ほんと子どもなんだから。
私たち高校生だよ?
言葉でけんか売られたら少しは言葉で言い返してみればいいのに。
さっきから でもとだって、を繰り返すだけで。
痛いところを突かれたら叩くなんて小学生?
今時の小学生でもやらなそうだけれどね。
なーんて脳天気なことを考えながら、少しだけ口角を上げた。
来ると思っていた衝撃は普通ならとっくに私の頬にとどいている。
けれど、それは来ない。何故なら桃の真後ろにいる男、暴君の青峰大輝が桃の手を掴んでいるからだ。
「なにしてんだよ、お前ら」
「だ、だいちゃ……」
青峰くんが桃と私を交互に見て桃の手を離し、私のところにきた。
そして一発目に桃に喰らったモミジの跡に触れる、それはピリリと少しだけ傷んで目を瞑った。
「さつきがやったのか?」
『駄目だよ?
青峰くん女の子の喧嘩に首突っ込んじゃ』
「そんなこと言ってる場合じゃねえだろ!」
思った以上の大声で私と桃の肩が少し揺れる。
そんな反応なんて無視して青峰くんは私の手を取って優しく引っ張った。
桃は動揺しまくっていて弁解する言葉すら思いつかないらしい。
ただ立ち尽くしている桃に小さい声で言った“わたしのかち”