庭球
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俺には幼なじみがいる。
同じ日に産まれ、お隣さん同士。
そんなことだから、親同士の仲はとてもいい。
が、子ども同士の俺たちは良好とは言い難い関係だ。
それは俺らの性格が関係している、俺の幼なじみ名前はそれはそれは、引っ込み思案でかなりの人見知り。
なのに、俺の後ろをちょこちょことついて来る。
小学校に上がるころになってもその行動は変わらずで。
クラスメイトはそんな俺らを茶化しまくって、それがうざったくて、言ってしまったんだ。
「鬱陶しい、お前もう俺の後ろついてくんなや!」
『……っ』
いつもより茶化しがうるさかったので、イライラしていた俺は冷たい声と視線をしてしまった。
その時のあいつの表情は今でも忘れない。
泣き虫のくせに、泣くのを我慢しているのだろう。
それでもその瞳は確かに傷ついたものだった。
その日、俺の後ろは空いていて、なんだか寂しく思ってしまった。
そして、俺が学校から帰って家で音楽を聞いていて不意に窓の外を見てしまったのだ。
あいつが、他の男子の後ろをついて帰っている姿、俺には滅多に見せてくれない笑顔を。
その瞬間、頭で考えるより先に身体が動いていた。
ずっと一緒だった、産まれた時からずっと。
あの男子は何も知りはしないのに、あいつが臆病で小心者で、泣き虫で面倒くさい奴だと。
けれど、けれどだ。
俺は知っているあいつが誰よりも優しくて強いことを知りはしないだろう、知っていてたまるか!
俺が玄関から飛びだしたときあの男はいなかった。
『ど、ったの…ひーくん』
びっくりしたーと間抜けな声が耳に入って、俺は何故だかそれがとてもムカついて、イライラしてやるせない気持ちになった。
そうだ、これは俺が望んだことではないか。
いつも後ろをついてきてうざったくって、直ぐに転んで泣いて、泣きながら俺の後をついて来るのは止めなくて…。
こんな面倒くさいやつの世話をするのは。
「お、れしか…おらん」
『ひーくん?
どうしたの、お腹痛いの?』
俺の目線はどうしても上にいかない。
昼の休み時間にあんなことを言った俺には。
あの時の自分の言葉でこんなに後悔するなんて、思いもしなかった。
「あ、あんな…」
『…うん?』
「きょ、今日な…その、スマンかった」
なんて自分勝手なやつなんだろう、俺は。
あの時、確かに俺は傷つけてしまったのに。
こんな謝罪にもならない言葉で片付けようとして、最低や。
自分があまりにも情けなくてその場でうずくまった。
『…ひーくん、大丈夫?
やっぱりお腹いたいの?』
そう言って、俺の頭を撫でる。
驚いた俺はやっと顔を上げた、直ぐ目の前には心配そうな顔をした幼なじみ。
その瞬間分かった、思い出した。
俺は約束したんやった、今よりずっと幼いときに。
その約束はありふれたものだけれど俺は確かに言った。
「俺の後ろをついとったら、なんも怖ないわ」
どうして、その言葉を言ったかの経緯は忘れたが俺は確かに言った。大泣きしていた女の子に、幼なじみに、大好きなやつに。
変な話や、普通なら笑ったりした顔で思うことを大泣きしている奴に思ってしまったんや。
俺はすっかり忘れていたのに、こいつは覚えてたってことなのか。
それはそれで癪にさわる。
『ひーくん?』
「そうやったな、名前約束したんなら最後まで守らんとな」
不思議と先ほどまで抱いていた嫌な気持ち全部吹っ飛んだわ。
改めて名前の顔をみると、嬉しそうに優しく微笑んでいた。
なにがそんなに嬉しいのか聞いてみた。
そしたら、俺の耳元でこそりと囁いた。
その言葉の意味を頭で理解するまでに名前は自分の家へと走って行ってしまった。
そしてそれを理解した時、俺の顔が熱くなった。
『私のお名前、久しぶりに呼んでくれたね。
ひかるくん』
俺はその一瞬であいつには一生敵わんと理解した。
同じ日に産まれ、お隣さん同士。
そんなことだから、親同士の仲はとてもいい。
が、子ども同士の俺たちは良好とは言い難い関係だ。
それは俺らの性格が関係している、俺の幼なじみ名前はそれはそれは、引っ込み思案でかなりの人見知り。
なのに、俺の後ろをちょこちょことついて来る。
小学校に上がるころになってもその行動は変わらずで。
クラスメイトはそんな俺らを茶化しまくって、それがうざったくて、言ってしまったんだ。
「鬱陶しい、お前もう俺の後ろついてくんなや!」
『……っ』
いつもより茶化しがうるさかったので、イライラしていた俺は冷たい声と視線をしてしまった。
その時のあいつの表情は今でも忘れない。
泣き虫のくせに、泣くのを我慢しているのだろう。
それでもその瞳は確かに傷ついたものだった。
その日、俺の後ろは空いていて、なんだか寂しく思ってしまった。
そして、俺が学校から帰って家で音楽を聞いていて不意に窓の外を見てしまったのだ。
あいつが、他の男子の後ろをついて帰っている姿、俺には滅多に見せてくれない笑顔を。
その瞬間、頭で考えるより先に身体が動いていた。
ずっと一緒だった、産まれた時からずっと。
あの男子は何も知りはしないのに、あいつが臆病で小心者で、泣き虫で面倒くさい奴だと。
けれど、けれどだ。
俺は知っているあいつが誰よりも優しくて強いことを知りはしないだろう、知っていてたまるか!
俺が玄関から飛びだしたときあの男はいなかった。
『ど、ったの…ひーくん』
びっくりしたーと間抜けな声が耳に入って、俺は何故だかそれがとてもムカついて、イライラしてやるせない気持ちになった。
そうだ、これは俺が望んだことではないか。
いつも後ろをついてきてうざったくって、直ぐに転んで泣いて、泣きながら俺の後をついて来るのは止めなくて…。
こんな面倒くさいやつの世話をするのは。
「お、れしか…おらん」
『ひーくん?
どうしたの、お腹痛いの?』
俺の目線はどうしても上にいかない。
昼の休み時間にあんなことを言った俺には。
あの時の自分の言葉でこんなに後悔するなんて、思いもしなかった。
「あ、あんな…」
『…うん?』
「きょ、今日な…その、スマンかった」
なんて自分勝手なやつなんだろう、俺は。
あの時、確かに俺は傷つけてしまったのに。
こんな謝罪にもならない言葉で片付けようとして、最低や。
自分があまりにも情けなくてその場でうずくまった。
『…ひーくん、大丈夫?
やっぱりお腹いたいの?』
そう言って、俺の頭を撫でる。
驚いた俺はやっと顔を上げた、直ぐ目の前には心配そうな顔をした幼なじみ。
その瞬間分かった、思い出した。
俺は約束したんやった、今よりずっと幼いときに。
その約束はありふれたものだけれど俺は確かに言った。
「俺の後ろをついとったら、なんも怖ないわ」
どうして、その言葉を言ったかの経緯は忘れたが俺は確かに言った。大泣きしていた女の子に、幼なじみに、大好きなやつに。
変な話や、普通なら笑ったりした顔で思うことを大泣きしている奴に思ってしまったんや。
俺はすっかり忘れていたのに、こいつは覚えてたってことなのか。
それはそれで癪にさわる。
『ひーくん?』
「そうやったな、名前約束したんなら最後まで守らんとな」
不思議と先ほどまで抱いていた嫌な気持ち全部吹っ飛んだわ。
改めて名前の顔をみると、嬉しそうに優しく微笑んでいた。
なにがそんなに嬉しいのか聞いてみた。
そしたら、俺の耳元でこそりと囁いた。
その言葉の意味を頭で理解するまでに名前は自分の家へと走って行ってしまった。
そしてそれを理解した時、俺の顔が熱くなった。
『私のお名前、久しぶりに呼んでくれたね。
ひかるくん』
俺はその一瞬であいつには一生敵わんと理解した。