愛して憎んで
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「はじめまして~私、レイナっていいます~」
屯所の応接室で間延びした声が響く。
あのままだと本当に沖田さんが土方さんとやり合いそうだった。
丁度、局長が帰ってきたタイミングでよかった。
と、思っていたのは私だけではないはず。
沖田さん、近藤さんには弱いものね。
あの場にいた全員、局長グットタイミングと思っていたに違いない。
局長が、なんとなく事情を察したのかその場を収めてくれて土方さんとレイナと名乗る女の子をここまで連れてきた。
沖田さんは指名手配されている桂を探してくると殺気がダダ漏れで出て行ってしまった。
大丈夫かな?
また変な暴れ方しなきゃいいけど。
「あなた、女中さんってやつ?
早くお茶ちょうだいよ、レイナ喉渇いちゃった~」
『あ、はい…失礼しました?
…局長も土方さんもどうぞ』
うーん、なんかこの子。
なんて言うのかなこの気持ち。
なんだか分からないけどモヤモヤする。
「で、トシどういうことだ?」
責めるでも無くでも真剣なまなざしの局長。
土方さんは少し面倒くさそうに口を開く前に、
「レイナがチンピラに捕まったとき助けてくれたの!
本当に王子様が現れたんだって思って~
ね、トシさん?」
土方さんの代わりに話す、その様子はまるで恋した乙女って感じかな?
「その呼び方止めろ」
「え~いいじゃんトシさん!
ねぇ~女中さんもそう思うよね!」
『え、えーと』
急に話題をこちらに振らないでほしい。
困って土方さんを見る。
バチっと目が合ったのに逸らされてしまった。
「そうか!
で、レイナ殿はどうして先ほどからトシの腕に抱きついているんだ?」
初めて会った女の子に対して殿呼びするのが実に局長らしい。
が、私もそれは思っていた。
私がこのレイナさんが屯所に来てから今まで土方さんの腕に抱きついているのだ。
うーん、なんだろうこのモヤモヤは。
胸の辺りがモヤモヤする。
レイナさんは当然のように「だって、レイナの運命の王子様だし!」と土方さんに同意を求めながら答えになっていない答えが返ってきた。
先ほどからの言動と行動、この子土方さんに一目惚れしたな。
普段は働かない女の勘が発動した。
そして私自身も納得した、このモヤモヤの正体。
それは、ヤキモチだ。
なるほどなるほど、と心の中で勝手に納得してる私と。
困惑している局長と表情が見えない土方さん。
なんだ、このカオスな空気は。
出てっていいかな?
タイミング完全に逃したけどこの部屋から出て行っていいかな?
「じゃあね~!
トシさん、また来るから!」
レイナさんが帰るとやっと言い出してくれたのは、日も傾いてきた頃。
ずーっとあんな感じでなかなか帰ってくれないかった。
さすがの局長も疲れ切っていて、なんか老けた?と不謹慎ながら思ってしまった。
『局長、甘いものでも召し上がりますか?』
「あぁ、すまんな」
『いえいえ、お気になさらないでください』
正直なところタイミングを逃したあのカオスな空間から一刻も早く出る口実だったりするのだが。
あの、レイナさんって子また来るって言ってたけど本当に来るのかな?あの感じだと本当に来そう、それこそ明日とか。
まさかね、とひとりクスリと静かに笑っていると。
後ろから土方さんに名前を呼ばれた。
『土方さん、どうしました?』
「あいつとはなんもないからな!」
『えっ』
「勝手に着いてきただけで、それでだな俺は…その、なんていうか」
必死に弁明しようとしている土方さん、その姿がなんだか可愛く見える。
『はい、分かってますよ
土方さんがそう仰るのなら』
不思議だ。
さっきまでの胸のモヤモヤが何処かへ行っちゃった。
だってあまりにも必死にだったから。
私の返事に「な、なら良いんだ」って土方さんも安心した顔をしたから思わず笑ってしまったけど。
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