【JuJu】Short stories
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この時期は唇の乾燥が激しいのでリップクリームが欠かせない
ちょっと何かを飲んだりして、唇がカップとかに付いたらそこから一気に乾燥しちゃうほど私の唇の乾燥具合はひどいもので、サハラ砂漠も素足で逃げ出しちゃうくらい乾燥してるんじゃないかと我ながら思うほど
バッグに3本、高専の机の上に1本、引き出しに2本、自宅のリビングに2本、寝室に1本、そしてジャケットにも1本のリップクリームが入っている
これだけリップクリームがあるにも関わらず、何故か時々消え失せるのでこの乾燥著しい季節が終わるまでの間に私はおおよそ20本くらいはリップクリームを買っているし、常に目の届くところや手の届くところにないと心配になる
この時期はルージュだと唇が荒れてしまうから……と昼食後、給湯室で歯磨きと簡単な化粧直しをした私は最後に色つきリップを塗り、実際の唇よりほんの少し血色が良くツヤツヤになったところであむあむと上下の唇を食み合わせ馴染ませた後、鏡の前でニコリと微笑んでみる
よし、唇のツッパリも無いし良い感じ!
使っていたリップを着ていたジャケットのポッケに放りこんで振り返るとそこには五条先生が気配無く立っていて、思わず小さく悲鳴を上げてしまった
「そんな驚かれると僕傷ついちゃう」
「す…すみません、誰も居ないと思っていたのでビックリしちゃいました」
五条先生は身長が高く、いつも黒い目隠しで目元を覆っても見目麗しい人だと分かるほどの外見の持ち主で、それでいて高圧的でも威圧感があるワケでもなく、言葉遣いも飄々としている人という印象
五条先生の無茶振りに対応出来るのが彼だということもあるだろうけど補助監督や送迎関係は伊地知さんが担当することが多いので他の補助監督とは関係性が薄いように思う
そんな中、私に対して五条先生は校内や教務室で顔を合わせるとよく話しかけてくれるしお土産も良く貰うので高専職員の中では割と気心は知れてる方……だと勝手に思っていた
目隠し越しでも口元がニコニコと緩んでいるところを見ると五条先生の機嫌は損ねてはいないようだ
そのことに心のどこかでホッとしながらも一向に給湯室の入口を占拠して動こうとしない五条先生に少し違和感を覚える
「五条先生、給湯室にご用でしたか?」
「ん~…。特に無いかな」
小首を傾げた私に同じようにコテンと小首を傾げる五条先生
……なに、この不思議な雰囲気
もしかして私、伊地知さんのようにからかわれてるのかな?
「それでは私教務室に戻るので…」
身体を斜めにして身を屈め、そそくさと五条先生の横をすり抜けようと歩を進めると五条先生の腕に軽く触れる
そのままあと一歩で通り抜けられる……と思った瞬間、二の腕を掴まれ動けなくなってしまった
「ごじょ、せんせ…い?」
「待って。あや先生に用事、思い出した」
腕を掴まれたまま、私に用事があると言う五条先生の方を向き直ると、いつもならもっと高い位置にあるはずの五条先生の顔が目の前にあって……
思いがけなく間近で見ることになった五条先生を直視できずオロオロと視線を彷徨わせていると五条先生の手が私の頬に添えられる
大きく温かいソレに、心臓が跳ねた私は肩を竦め身を固め思わず目を閉じてしまった
するとそっと唇に触れる少し冷たく弾力のある感触が数回、その度に顔にかかる吐息
驚いて目を開けると目の前いっぱいに五条先生の悪戯っぽい笑顔があった
「奪っちゃった~」
ペロリと唇を舐める五条先生の姿に心臓が激しく鼓動し、顔に熱が集まる
情報量が多すぎて頭で処理しきれず、気が付くと私は五条先生から自分の口元を隠すように手で覆っていた
「あや先生、リップ塗り直した方がいいよ」
そう言いながら機嫌良さそうに去って行った五条先生の大きな背中をただただ見送ることしか出来なかった
ちょっと何かを飲んだりして、唇がカップとかに付いたらそこから一気に乾燥しちゃうほど私の唇の乾燥具合はひどいもので、サハラ砂漠も素足で逃げ出しちゃうくらい乾燥してるんじゃないかと我ながら思うほど
バッグに3本、高専の机の上に1本、引き出しに2本、自宅のリビングに2本、寝室に1本、そしてジャケットにも1本のリップクリームが入っている
これだけリップクリームがあるにも関わらず、何故か時々消え失せるのでこの乾燥著しい季節が終わるまでの間に私はおおよそ20本くらいはリップクリームを買っているし、常に目の届くところや手の届くところにないと心配になる
この時期はルージュだと唇が荒れてしまうから……と昼食後、給湯室で歯磨きと簡単な化粧直しをした私は最後に色つきリップを塗り、実際の唇よりほんの少し血色が良くツヤツヤになったところであむあむと上下の唇を食み合わせ馴染ませた後、鏡の前でニコリと微笑んでみる
よし、唇のツッパリも無いし良い感じ!
使っていたリップを着ていたジャケットのポッケに放りこんで振り返るとそこには五条先生が気配無く立っていて、思わず小さく悲鳴を上げてしまった
「そんな驚かれると僕傷ついちゃう」
「す…すみません、誰も居ないと思っていたのでビックリしちゃいました」
五条先生は身長が高く、いつも黒い目隠しで目元を覆っても見目麗しい人だと分かるほどの外見の持ち主で、それでいて高圧的でも威圧感があるワケでもなく、言葉遣いも飄々としている人という印象
五条先生の無茶振りに対応出来るのが彼だということもあるだろうけど補助監督や送迎関係は伊地知さんが担当することが多いので他の補助監督とは関係性が薄いように思う
そんな中、私に対して五条先生は校内や教務室で顔を合わせるとよく話しかけてくれるしお土産も良く貰うので高専職員の中では割と気心は知れてる方……だと勝手に思っていた
目隠し越しでも口元がニコニコと緩んでいるところを見ると五条先生の機嫌は損ねてはいないようだ
そのことに心のどこかでホッとしながらも一向に給湯室の入口を占拠して動こうとしない五条先生に少し違和感を覚える
「五条先生、給湯室にご用でしたか?」
「ん~…。特に無いかな」
小首を傾げた私に同じようにコテンと小首を傾げる五条先生
……なに、この不思議な雰囲気
もしかして私、伊地知さんのようにからかわれてるのかな?
「それでは私教務室に戻るので…」
身体を斜めにして身を屈め、そそくさと五条先生の横をすり抜けようと歩を進めると五条先生の腕に軽く触れる
そのままあと一歩で通り抜けられる……と思った瞬間、二の腕を掴まれ動けなくなってしまった
「ごじょ、せんせ…い?」
「待って。あや先生に用事、思い出した」
腕を掴まれたまま、私に用事があると言う五条先生の方を向き直ると、いつもならもっと高い位置にあるはずの五条先生の顔が目の前にあって……
思いがけなく間近で見ることになった五条先生を直視できずオロオロと視線を彷徨わせていると五条先生の手が私の頬に添えられる
大きく温かいソレに、心臓が跳ねた私は肩を竦め身を固め思わず目を閉じてしまった
するとそっと唇に触れる少し冷たく弾力のある感触が数回、その度に顔にかかる吐息
驚いて目を開けると目の前いっぱいに五条先生の悪戯っぽい笑顔があった
「奪っちゃった~」
ペロリと唇を舐める五条先生の姿に心臓が激しく鼓動し、顔に熱が集まる
情報量が多すぎて頭で処理しきれず、気が付くと私は五条先生から自分の口元を隠すように手で覆っていた
「あや先生、リップ塗り直した方がいいよ」
そう言いながら機嫌良さそうに去って行った五条先生の大きな背中をただただ見送ることしか出来なかった