【JuJu】Short stories
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今日の1時限目は体術
体育着に着替えた俺たちがグラウンドに出るとそこで待っていたのは五条先生じゃなく伊地知さんだった
「あれ?伊地知さんじゃん、どったの?」
補助監督の伊地知さんが体術の授業を受け持つなんて聞いたことが無かった俺は所在なげに立っていた伊地知さんに声を掛けると「五条さんが急用とのことで呼びつけられました」と疲れた顔を隠しもせずに言った
「あいつ本当に自分勝手よね。教師の自覚あるのかしら」
「五条先生だしな」
口々に五条先生への悪態を吐く釘崎と伏黒
「伊地知さんはそこら辺で休んでて。俺ら勝手に組み手やってるから」
「ありがとうございます。私では君たちの相手に不足なのでお言葉に甘えます」
そう言った伊地知さんはそばにあった風雨で長年晒され書かれた文字も塗装されたペンキも剥げたベンチに腰を下ろし、肩に掛けていた大きなバッグの中からPCを取り出した
「伊地知さんここで仕事しなきゃいけないくらい忙しいのね」
その様子を見ていた釘崎の苦虫を噛み潰したような顔をしている肩をポンと叩き「よし、まずグラウンド10周してこようぜ」と言って俺は走り出した
「い、たどり、早…すぎよ、あん、たっ」
「痛てぇよ、釘崎」
10周のランニングを早々に終わらせ伊地知さんのそばでストレッチしていた俺に息の上がった釘崎がケリを入れてきた
伏黒は関わりたくないとばかりに数歩俺たちから距離を取る
「お!みんなちゃんとやってるぅ~?」
そこへ聞こえた気の抜けた声、五条先生だ
「あんたと違ってちゃんとやってるわよ!」
イラッとした風を隠しもせず勢いよく振り返る釘崎と同時に俺も声の方に振り返る
そこには五条先生が見知らぬ女性を横向きに抱え上げて、いた
「は?」
「え?」
釘崎と俺が同時に声を上げる中、伏黒の大きな溜め息が聞こえた
「伊地知、敷くもの」
「は、はいっ」
「こら、悟くん、伊地知くんに無茶振りしないの。伊地知くん、ごめんね」
「いっ…いえ」
五条先生に抱かれてる女性はそう言いながらペチッと五条先生のおでこを叩く
その音に驚いた俺だが、五条先生にとって彼女は無下限を解くほどに信頼してるということなのだろう
叩かれても意に介さずニッコニコしてる五条先生は伊地知さんがバッグの中から取り出したレジャーシートをベンチへ敷いたのを確認してそこへ女性を優しく着席させる
ベンチに腰を下ろした女性が空を見上げるかのように背の高い五条先生を見上げると五条先生は長い足を折り片膝をついて女性の手を取った
その様子は王子様と王女様のよう…と言う表現がとてもよく似合っていた
「もう、悟くんは伊地知くん使い荒すぎだし、過保護すぎ」
「だって心配だもん。あやは反転術式効かないし」
「反転術式が必要な怪我でもないでしょう、ただのかすり傷じゃない。すぐ治るよ」
「あやの肌に傷を付けたってだけで許されないね、まだ祓われてなかったら僕が祓いに行くところだったよ、全く。痕でも残ったらどうするの」
「……はぁ…。あー言えばこう言う…。久しぶりに会ったのに悟くんいつも通り過ぎてホント面倒くさい」
「言ったな。後で覚えておきなよ、あや」
そう言いながら女性の手にキスをする五条先生
……えっと、俺らは今何を見せられてるんだろ?
釘崎に視線を向けると目が落ちそうなくらい見開いて五条先生と女性のやりとりを見ている
明後日の方を向いて呆れた顔をしている伏黒に近寄り、俺は小声で声を掛けた
「伏黒、あの女性、誰?」
「あぁ、五条先生の同級生で従妹のあやさん」
「へっ?彼女じゃなくて?」
「いや、俺の知る限りただの従妹だな」
「俺今まで見たことない人なんだけど」
「虎杖が来るちょっと前から長期任務で四国に行ってたんだ、あの人。あの人1級術師だから時々厄介な任務にかり出されてるんだ。普段は五条先生がゴネにゴネてあまり出張とか長期の任務は回されてないけど、実力は折り紙付きだ」
なーるほど
1級術師ってことはナナミンと同じくらいの強さはあるってワケか、あのあやさんって女性
膝より少し長めのタイトなスカートから見える足は白くほっそりしているが、左足のふくらはぎに白い傷保護パッドが見える
どうやらあの傷が五条先生の言ってる傷なのだろう
呪霊に付けられた傷のようだがあやさんの言う通り血も滲んでいないところを見るとそこまで酷くは無いようだ
「なー伏黒、なんであやさんって反転術式効かんの?」
「詳しくは五条先生に聞いた方がいいと思うけどな。俺が知ってるのはあの人はちょっと特殊体質ってことくらいだから」
「へー」
五条先生は元々距離感近めな人だけど特に目の前のあやさんに対しては今にもキスしそうなくらい顔を近づけて話をしているし、あやさんもその距離感に慣れているのか特に気にする風でも無く五条先生と視線を絡ませている
「久しぶりに高専に戻ってきたあやにGTG(グレートティーチャーゴジョー)なとこ見せないとね」
名残惜しそうにあやさんの頬を撫で立ち上がり、こっちに歩いてきた五条先生は途中で立ち尽くしていた釘崎の頭に手を乗せ言った
「あやに良いトコ見せたいから3人纏めて掛かっておいで」
「こ…んのっ、公私混同教師め…っ!あんたたち本気で行くわよ!」
終業のベルが鳴った時、俺たち3人の息は上がり、直前で五条先生に放り投げられた俺はそのままグラウンドで大の字になり空を見上げていた
俺たちは3人がかりで五条先生と手合わせするも簡単にあしらわれてしまったのだ
「よーし、今日はここまで。3人とも随分動き良くなってきたけどまだまだだね。次の授業遅れないように。お疲れサマンサ!」
身体を起こした俺が見たものは、俺たち3人の相手をしていたとは思えないほどケロリとした五条先生がスキップしながらあやさんのところに向かっている後ろ姿だった
あやさんの隣でPCに向かっていた伊地知さんに何やら言葉を掛けると人目も憚らずあやさんの頬にキスをしながら抱き上げる
「あ…いつ何度も何度もイチャイチャと…生徒の前で何やってるのよ、まったく」
先生の人目も憚らない様子に漏れた釘崎の呆れた声と一緒に届く2人の声
「待って悟くん。降ろして?私普通に歩けるし」
「やーだ。僕があやのこと抱っこしたいだけだから」
「生徒さんたちの前で抱き上げられてるの恥ずかしい」
「気にしない、気にしない。恥ずかしがってるあやも可愛いね」
うん、普通は抱き上げられたことの前に頬や手にされてるキスについて言及しない?
付き合ってない男女ならそんなふれあい人目も憚らずしないでしょ、普通
映画のワンシーンみたいだけどここ海外じゃないからね?日本だからね?
いちゃいちゃしてる2人を余所にPCを直した伊地知さんがこちらへ歩いてきたので「伊地知さん」と呼び止めた
「何ですか、虎杖くん」
「あのあやさんって人は?」
伏黒から聞いたけどやっぱり従妹ということが腑に落ちなかった俺は伊地知さんにも聞いてみる
「あぁ、あの方は五条さんの従妹さんですね」
「本当にただの従妹?距離感バグってない?あの2人」
「そうですね。間違い無く五条さんの同級生であり従妹さんです。私が入学した時にはもうあの2人はずっとあんな風なのですっかり慣れてしまいましたが、あやさんに会うの虎杖くんや釘崎さんは今日初めてでしたね
私の聞いた話では五条さんが物心付いた頃から執着してるのは彼女だけらしいですよ。あやさんの方は私の知る限り学生の頃からずっとあのような感じですけどね
あのスキンシップの多さも五条さんの執着の表れかもしれません、他者に牽制してる的な。私の勝手な憶測ですけど」
「…はぁ」
「五条さんからあのように激しいスキンシップを幼少の頃から当たり前に受けてたらしいのであやさんの感覚も麻痺してるのかもしれませんね
触らぬ神に祟りなしですよ、虎杖くん。あやさんが1人の時に話をしてもいつの間にか音と気配を消した五条さんが彼女のそばに立って殺意放ってますからね。下手な呪霊より恐ろしい雰囲気です。五条さんにはあやさんに対しての特別なセンサーがあるとしか思えません」
そう言ってブルッと身体を震わせた伊地知さんは「では」と重そうなバッグを抱えて去って行った
五条先生は相変わらずあやさんを抱き上げたまま女性に頬をつねられたりしているが、今まで俺が見たことのないくらい幸せそうな顔をしているのがこの距離からでもよく分かる
俺だってオトシゴロだし、そんな五条先生がちょっと羨ましいなと思ってるのは内緒だ
「あいつでもあんな幸せそうな顔するのね」という釘崎の言葉に俺は一も二もなく頷いた
体育着に着替えた俺たちがグラウンドに出るとそこで待っていたのは五条先生じゃなく伊地知さんだった
「あれ?伊地知さんじゃん、どったの?」
補助監督の伊地知さんが体術の授業を受け持つなんて聞いたことが無かった俺は所在なげに立っていた伊地知さんに声を掛けると「五条さんが急用とのことで呼びつけられました」と疲れた顔を隠しもせずに言った
「あいつ本当に自分勝手よね。教師の自覚あるのかしら」
「五条先生だしな」
口々に五条先生への悪態を吐く釘崎と伏黒
「伊地知さんはそこら辺で休んでて。俺ら勝手に組み手やってるから」
「ありがとうございます。私では君たちの相手に不足なのでお言葉に甘えます」
そう言った伊地知さんはそばにあった風雨で長年晒され書かれた文字も塗装されたペンキも剥げたベンチに腰を下ろし、肩に掛けていた大きなバッグの中からPCを取り出した
「伊地知さんここで仕事しなきゃいけないくらい忙しいのね」
その様子を見ていた釘崎の苦虫を噛み潰したような顔をしている肩をポンと叩き「よし、まずグラウンド10周してこようぜ」と言って俺は走り出した
「い、たどり、早…すぎよ、あん、たっ」
「痛てぇよ、釘崎」
10周のランニングを早々に終わらせ伊地知さんのそばでストレッチしていた俺に息の上がった釘崎がケリを入れてきた
伏黒は関わりたくないとばかりに数歩俺たちから距離を取る
「お!みんなちゃんとやってるぅ~?」
そこへ聞こえた気の抜けた声、五条先生だ
「あんたと違ってちゃんとやってるわよ!」
イラッとした風を隠しもせず勢いよく振り返る釘崎と同時に俺も声の方に振り返る
そこには五条先生が見知らぬ女性を横向きに抱え上げて、いた
「は?」
「え?」
釘崎と俺が同時に声を上げる中、伏黒の大きな溜め息が聞こえた
「伊地知、敷くもの」
「は、はいっ」
「こら、悟くん、伊地知くんに無茶振りしないの。伊地知くん、ごめんね」
「いっ…いえ」
五条先生に抱かれてる女性はそう言いながらペチッと五条先生のおでこを叩く
その音に驚いた俺だが、五条先生にとって彼女は無下限を解くほどに信頼してるということなのだろう
叩かれても意に介さずニッコニコしてる五条先生は伊地知さんがバッグの中から取り出したレジャーシートをベンチへ敷いたのを確認してそこへ女性を優しく着席させる
ベンチに腰を下ろした女性が空を見上げるかのように背の高い五条先生を見上げると五条先生は長い足を折り片膝をついて女性の手を取った
その様子は王子様と王女様のよう…と言う表現がとてもよく似合っていた
「もう、悟くんは伊地知くん使い荒すぎだし、過保護すぎ」
「だって心配だもん。あやは反転術式効かないし」
「反転術式が必要な怪我でもないでしょう、ただのかすり傷じゃない。すぐ治るよ」
「あやの肌に傷を付けたってだけで許されないね、まだ祓われてなかったら僕が祓いに行くところだったよ、全く。痕でも残ったらどうするの」
「……はぁ…。あー言えばこう言う…。久しぶりに会ったのに悟くんいつも通り過ぎてホント面倒くさい」
「言ったな。後で覚えておきなよ、あや」
そう言いながら女性の手にキスをする五条先生
……えっと、俺らは今何を見せられてるんだろ?
釘崎に視線を向けると目が落ちそうなくらい見開いて五条先生と女性のやりとりを見ている
明後日の方を向いて呆れた顔をしている伏黒に近寄り、俺は小声で声を掛けた
「伏黒、あの女性、誰?」
「あぁ、五条先生の同級生で従妹のあやさん」
「へっ?彼女じゃなくて?」
「いや、俺の知る限りただの従妹だな」
「俺今まで見たことない人なんだけど」
「虎杖が来るちょっと前から長期任務で四国に行ってたんだ、あの人。あの人1級術師だから時々厄介な任務にかり出されてるんだ。普段は五条先生がゴネにゴネてあまり出張とか長期の任務は回されてないけど、実力は折り紙付きだ」
なーるほど
1級術師ってことはナナミンと同じくらいの強さはあるってワケか、あのあやさんって女性
膝より少し長めのタイトなスカートから見える足は白くほっそりしているが、左足のふくらはぎに白い傷保護パッドが見える
どうやらあの傷が五条先生の言ってる傷なのだろう
呪霊に付けられた傷のようだがあやさんの言う通り血も滲んでいないところを見るとそこまで酷くは無いようだ
「なー伏黒、なんであやさんって反転術式効かんの?」
「詳しくは五条先生に聞いた方がいいと思うけどな。俺が知ってるのはあの人はちょっと特殊体質ってことくらいだから」
「へー」
五条先生は元々距離感近めな人だけど特に目の前のあやさんに対しては今にもキスしそうなくらい顔を近づけて話をしているし、あやさんもその距離感に慣れているのか特に気にする風でも無く五条先生と視線を絡ませている
「久しぶりに高専に戻ってきたあやにGTG(グレートティーチャーゴジョー)なとこ見せないとね」
名残惜しそうにあやさんの頬を撫で立ち上がり、こっちに歩いてきた五条先生は途中で立ち尽くしていた釘崎の頭に手を乗せ言った
「あやに良いトコ見せたいから3人纏めて掛かっておいで」
「こ…んのっ、公私混同教師め…っ!あんたたち本気で行くわよ!」
終業のベルが鳴った時、俺たち3人の息は上がり、直前で五条先生に放り投げられた俺はそのままグラウンドで大の字になり空を見上げていた
俺たちは3人がかりで五条先生と手合わせするも簡単にあしらわれてしまったのだ
「よーし、今日はここまで。3人とも随分動き良くなってきたけどまだまだだね。次の授業遅れないように。お疲れサマンサ!」
身体を起こした俺が見たものは、俺たち3人の相手をしていたとは思えないほどケロリとした五条先生がスキップしながらあやさんのところに向かっている後ろ姿だった
あやさんの隣でPCに向かっていた伊地知さんに何やら言葉を掛けると人目も憚らずあやさんの頬にキスをしながら抱き上げる
「あ…いつ何度も何度もイチャイチャと…生徒の前で何やってるのよ、まったく」
先生の人目も憚らない様子に漏れた釘崎の呆れた声と一緒に届く2人の声
「待って悟くん。降ろして?私普通に歩けるし」
「やーだ。僕があやのこと抱っこしたいだけだから」
「生徒さんたちの前で抱き上げられてるの恥ずかしい」
「気にしない、気にしない。恥ずかしがってるあやも可愛いね」
うん、普通は抱き上げられたことの前に頬や手にされてるキスについて言及しない?
付き合ってない男女ならそんなふれあい人目も憚らずしないでしょ、普通
映画のワンシーンみたいだけどここ海外じゃないからね?日本だからね?
いちゃいちゃしてる2人を余所にPCを直した伊地知さんがこちらへ歩いてきたので「伊地知さん」と呼び止めた
「何ですか、虎杖くん」
「あのあやさんって人は?」
伏黒から聞いたけどやっぱり従妹ということが腑に落ちなかった俺は伊地知さんにも聞いてみる
「あぁ、あの方は五条さんの従妹さんですね」
「本当にただの従妹?距離感バグってない?あの2人」
「そうですね。間違い無く五条さんの同級生であり従妹さんです。私が入学した時にはもうあの2人はずっとあんな風なのですっかり慣れてしまいましたが、あやさんに会うの虎杖くんや釘崎さんは今日初めてでしたね
私の聞いた話では五条さんが物心付いた頃から執着してるのは彼女だけらしいですよ。あやさんの方は私の知る限り学生の頃からずっとあのような感じですけどね
あのスキンシップの多さも五条さんの執着の表れかもしれません、他者に牽制してる的な。私の勝手な憶測ですけど」
「…はぁ」
「五条さんからあのように激しいスキンシップを幼少の頃から当たり前に受けてたらしいのであやさんの感覚も麻痺してるのかもしれませんね
触らぬ神に祟りなしですよ、虎杖くん。あやさんが1人の時に話をしてもいつの間にか音と気配を消した五条さんが彼女のそばに立って殺意放ってますからね。下手な呪霊より恐ろしい雰囲気です。五条さんにはあやさんに対しての特別なセンサーがあるとしか思えません」
そう言ってブルッと身体を震わせた伊地知さんは「では」と重そうなバッグを抱えて去って行った
五条先生は相変わらずあやさんを抱き上げたまま女性に頬をつねられたりしているが、今まで俺が見たことのないくらい幸せそうな顔をしているのがこの距離からでもよく分かる
俺だってオトシゴロだし、そんな五条先生がちょっと羨ましいなと思ってるのは内緒だ
「あいつでもあんな幸せそうな顔するのね」という釘崎の言葉に俺は一も二もなく頷いた
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