【JuJu】Short stories
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ねえ、キミ。ねえってば」
後ろからイケボな声が聞こえる、ここは渋谷駅ハチ公前
女友だちを待っている私には関係ない
聞き覚えのない声だし、私に対してじゃないのが分かっているし、イケボさんの顔にはちょっとだけ興味があるけど、興味本位でジロジロ見るのも失礼だよね……なんてことを思いながらスマホを取り出した
「ねえ、ちょっと。キミ、こっち向いてってば」
イケボさんは誰に話しかけているのか、連れさんにシカトされているのか……ずいぶんな対応されてる様子
「キミ、いい加減こっち向いてくれない?」
取り出したスマホで時間を確認すると友だちとの約束の時間から5分過ぎたところだった
待ち合わせしてる彼女はちょっと時間にルーズだから5分過ぎたくらいで来たら合格、30分くらいは気長に待たねばならない
通知も来てないことを確認したスマホをバッグにするりと滑り込ませ、おろしたてのブーティーの爪先に視線を下ろすと右側にシンプルな黒のブーツが目に入った
今日のハチ公前はそんなに混んでないのに結構近くに人がいたことに驚き、そのまま2歩左に移動する
混んでる時は仕方ないけど、余裕ある時はお互いのためにパーソナルスペース大事、超大事
ちらりとしか見てないけど大きな靴だったから男性だろうし、私なんかが連れだと思われたら彼も迷惑だろう
「わー、振り返ってくれないのに離れてくなんて僕ショック」
その声でようやく私に対してだと気が付き、声の方へ視線を向けるとそこにはスノウホワイトの髪にオニキスブラックの服、瞳が見えないほど濃い真っ黒なサングラスという出で立ちの、見上げるほど長身の男性がそこにいた
私が今まで出会った人の中でも1番の高身長さんだ。長身過ぎて圧が凄い
イケボに相応しい整った外見だけど、肌も色白で彼だけ切り取られたモノクロの世界にいるかのように見えた
そんな彼は腰を屈め「ね、これから時間ない?お茶でもどう?」と問うてくる
この人が先ほどから声を掛けてきていたイケボさんで間違いないようだ
どういう了見だろう、ナンパなら私なんかよりも可愛い子はそこら辺にいっぱいいるし、彼のルックスなら引く手数多、よりどりみどりだろう
もしかしてツボを売りつける人だったり宗教の勧誘だったりとか?
「なんで私なの?」と問おうとする口を噤み、冷静に声を発した
「すみません、人待ちなので」
「その人って男?女?」
「……初対面の方にお話する必要はないかと思いますが」
「ははっ。キミって面白いね。話してて飽きない。余計に興味湧いてきた」
「……亡き祖父の遺言で、白い髪でサングラス掛けた男性には近寄るなと言われているので」
「ああ、白い髪でサングラスかけた男ってまさに僕のことだね。そう言われると逆に燃える」
燃えないで、燃やさないで
火種は小さいうちに鎮火させましょう、大火になる前に!
私の発言した内容は彼にとって失言だったのかツボだったのか、逆に彼の興味を引いてしまったようだ
さて、どうやって切り抜けようか……と、考え事する時のクセで左上を見上げたまま考え込んでいると、綺麗なセルリアンブルーの瞳が目に飛び込んできた
男性がサングラスをずり下げ、私の視線に割り込んできたのだ
彼の周りだけモノクロの世界のようだったのに、突然鮮やかで色彩豊かな世界になったような気がした
思わず友だちを待っているということを忘れてその場を離れようとした私の腕を、イケボさんが掴む
それまで穏やかだった心臓が急にパクパクと大量の血液を私の顔に送り始めたせいか、顔が火照ってきた
鏡を見ていないけど、きっと顔も赤くなっているだろう
この顔を見られたら、イケボさんに変な勘違いをされてしまいそうだ
それよりも今掴まれる腕からイケボさんに動悸が伝わってなければ良いんだけど
「サングラス、かけてなかったら良いんだよね?」
艶然と微笑むイケボさんに、もう何も考えられなくなってしまった
後ろからイケボな声が聞こえる、ここは渋谷駅ハチ公前
女友だちを待っている私には関係ない
聞き覚えのない声だし、私に対してじゃないのが分かっているし、イケボさんの顔にはちょっとだけ興味があるけど、興味本位でジロジロ見るのも失礼だよね……なんてことを思いながらスマホを取り出した
「ねえ、ちょっと。キミ、こっち向いてってば」
イケボさんは誰に話しかけているのか、連れさんにシカトされているのか……ずいぶんな対応されてる様子
「キミ、いい加減こっち向いてくれない?」
取り出したスマホで時間を確認すると友だちとの約束の時間から5分過ぎたところだった
待ち合わせしてる彼女はちょっと時間にルーズだから5分過ぎたくらいで来たら合格、30分くらいは気長に待たねばならない
通知も来てないことを確認したスマホをバッグにするりと滑り込ませ、おろしたてのブーティーの爪先に視線を下ろすと右側にシンプルな黒のブーツが目に入った
今日のハチ公前はそんなに混んでないのに結構近くに人がいたことに驚き、そのまま2歩左に移動する
混んでる時は仕方ないけど、余裕ある時はお互いのためにパーソナルスペース大事、超大事
ちらりとしか見てないけど大きな靴だったから男性だろうし、私なんかが連れだと思われたら彼も迷惑だろう
「わー、振り返ってくれないのに離れてくなんて僕ショック」
その声でようやく私に対してだと気が付き、声の方へ視線を向けるとそこにはスノウホワイトの髪にオニキスブラックの服、瞳が見えないほど濃い真っ黒なサングラスという出で立ちの、見上げるほど長身の男性がそこにいた
私が今まで出会った人の中でも1番の高身長さんだ。長身過ぎて圧が凄い
イケボに相応しい整った外見だけど、肌も色白で彼だけ切り取られたモノクロの世界にいるかのように見えた
そんな彼は腰を屈め「ね、これから時間ない?お茶でもどう?」と問うてくる
この人が先ほどから声を掛けてきていたイケボさんで間違いないようだ
どういう了見だろう、ナンパなら私なんかよりも可愛い子はそこら辺にいっぱいいるし、彼のルックスなら引く手数多、よりどりみどりだろう
もしかしてツボを売りつける人だったり宗教の勧誘だったりとか?
「なんで私なの?」と問おうとする口を噤み、冷静に声を発した
「すみません、人待ちなので」
「その人って男?女?」
「……初対面の方にお話する必要はないかと思いますが」
「ははっ。キミって面白いね。話してて飽きない。余計に興味湧いてきた」
「……亡き祖父の遺言で、白い髪でサングラス掛けた男性には近寄るなと言われているので」
「ああ、白い髪でサングラスかけた男ってまさに僕のことだね。そう言われると逆に燃える」
燃えないで、燃やさないで
火種は小さいうちに鎮火させましょう、大火になる前に!
私の発言した内容は彼にとって失言だったのかツボだったのか、逆に彼の興味を引いてしまったようだ
さて、どうやって切り抜けようか……と、考え事する時のクセで左上を見上げたまま考え込んでいると、綺麗なセルリアンブルーの瞳が目に飛び込んできた
男性がサングラスをずり下げ、私の視線に割り込んできたのだ
彼の周りだけモノクロの世界のようだったのに、突然鮮やかで色彩豊かな世界になったような気がした
思わず友だちを待っているということを忘れてその場を離れようとした私の腕を、イケボさんが掴む
それまで穏やかだった心臓が急にパクパクと大量の血液を私の顔に送り始めたせいか、顔が火照ってきた
鏡を見ていないけど、きっと顔も赤くなっているだろう
この顔を見られたら、イケボさんに変な勘違いをされてしまいそうだ
それよりも今掴まれる腕からイケボさんに動悸が伝わってなければ良いんだけど
「サングラス、かけてなかったら良いんだよね?」
艶然と微笑むイケボさんに、もう何も考えられなくなってしまった