【DC】Short stories
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※※注意※※
夢要素・名前変換はなく、萩原さんは原作通りです
松田さんお相手ですが同期で仲間という関係です
※※※※※※
「ゴホッゴホッ」
建物を出てヒロは左、私は右へと手分けして陣平を探していたら咳き込む声が聞こえた
その声が陣平に似ている気がしたので声のした方へ向かうと仄かに煙草の香りがする
研ちゃんが吸ってた煙草の銘柄に似てる香りだなと思ったけど、珍しい銘柄では無かったので同じ煙草を吸ってる人がいるのだろう
まさか今日、この香りを嗅ぐとは思わなかったけど
建物の端まで来て建物の側面、右方向を見るけど誰の姿も無い
左方向を見ると馬酔木の木が数本植わっていてその奥に大きな桜の木があり、そこから狼煙のように煙が上がっているのが見えた
馬酔木の木々たちを避けるように回り込むと黒いスーツを着たふわふわヘアの陣平がこちらに背を向けて桜の木により掛かっており、その手元から紫煙が立ち上っている
陣平は研ちゃんが煙草を吸うと煙たがり、煙が自分の方へ来ないよう風上に移動したりパタパタと煙を散らしたりしていたから煙草は吸ってなかった…はず
体力オバケのれーくんと何かにつけて張り合っていたので体力が落ちたりするようなことはしていなかった
こちらに向けてる陣平の背中がやけに寂しく、小さく見える
気配や足音を隠すことなく陣平に近づく
こちらを振り返りはしないけど陣平は私が来たことに気が付いているだろう
黙って陣平の横に立ち、彼の手元を見ると研ちゃんの吸っていた銘柄の煙草が3分の1ほどの長さで細い紫煙を途切れることなく生み続けている
そっと陣平の顔を見上げるといつものサングラスはしておらず、ボンヤリと立ち上る紫煙を見つめていた
「いっつも陣平は研ちゃんの煙草すっごい煙たがってたよね」
「こんなんの…何がうまいのか分からねーな」
そう言って煙草を吸って「ゴホッゴホッ」と咽せる陣平の目には涙が浮かんでいた
「萩原が防護服ちゃんと着てたら…。電話してないで爆弾解除にもっと、集中させてれば……」
「………」
「俺は…何も出来…なかっ…た……っ」
ポトリと陣平の指から煙草が落ちる
そのままゆらりとファイティングポーズをした陣平は勢いよく桜の木の幹に右の拳を叩き込んだ
鈍い音がして桜の葉が数枚、ヒラヒラと舞う
「くっ…そっ」
いくらボクシングをしてたとは言え、バンテージで保護されていない裸の拳を堅い桜の幹に何度も叩き込んだら痛めてしまうだろう
再度振りかぶった陣平の右の拳を抑え込んで無理矢理私の手元に引き寄せた
ボクシングをしているせいで普段から人さし指と中指の根元部分が盛り上がっているその拳は今の一撃で内出血してるだけに留まらず血が滲んで痛ましい
「研ちゃんは陣平に自分のせいで怪我して欲しいと思ってないと思うよ…?」
流石にこの場に消毒や止血剤などは持ち合わせていないのでバッグから黒のハンカチを取り出し手早く陣平の拳に巻き付けた
黒ならば多少血が滲んだとしても目立たないだろう
黒のハンカチを巻かれた自分の拳を見つめる陣平に先ほど預かったものを差し出す
「これ…陣平に持ってて欲しいって。研ちゃんのご家族から預かったの」
陣平は私が差し出した掌にあったライターを手に取り、ポケットから煙草を取り出した
それは研ちゃんが吸ってた銘柄で、形の良い唇に1本挟み込んで私の渡したライターで火を点ける
チチチと紙と葉が燃える音がして煙草の先が赤く光る
口を離し煙を空に向かって吐き出した陣平はもう咳き込んだりはしなかった
「陣平、研ちゃんのお見送りそろそろだよ」
「……あぁ」
何か決断したかのように吹っ切れた様子で建物に向かって歩き出した陣平の背中に、何故か不安が広がっていたけどそれを心の中で打ち消し彼の背中を追い、駆け出した
馬酔木の花言葉:犠牲・危険・二人で旅をしよう
桜(染井吉野)の花言葉:精神美
夢要素・名前変換はなく、萩原さんは原作通りです
松田さんお相手ですが同期で仲間という関係です
※※※※※※
「ゴホッゴホッ」
建物を出てヒロは左、私は右へと手分けして陣平を探していたら咳き込む声が聞こえた
その声が陣平に似ている気がしたので声のした方へ向かうと仄かに煙草の香りがする
研ちゃんが吸ってた煙草の銘柄に似てる香りだなと思ったけど、珍しい銘柄では無かったので同じ煙草を吸ってる人がいるのだろう
まさか今日、この香りを嗅ぐとは思わなかったけど
建物の端まで来て建物の側面、右方向を見るけど誰の姿も無い
左方向を見ると馬酔木の木が数本植わっていてその奥に大きな桜の木があり、そこから狼煙のように煙が上がっているのが見えた
馬酔木の木々たちを避けるように回り込むと黒いスーツを着たふわふわヘアの陣平がこちらに背を向けて桜の木により掛かっており、その手元から紫煙が立ち上っている
陣平は研ちゃんが煙草を吸うと煙たがり、煙が自分の方へ来ないよう風上に移動したりパタパタと煙を散らしたりしていたから煙草は吸ってなかった…はず
体力オバケのれーくんと何かにつけて張り合っていたので体力が落ちたりするようなことはしていなかった
こちらに向けてる陣平の背中がやけに寂しく、小さく見える
気配や足音を隠すことなく陣平に近づく
こちらを振り返りはしないけど陣平は私が来たことに気が付いているだろう
黙って陣平の横に立ち、彼の手元を見ると研ちゃんの吸っていた銘柄の煙草が3分の1ほどの長さで細い紫煙を途切れることなく生み続けている
そっと陣平の顔を見上げるといつものサングラスはしておらず、ボンヤリと立ち上る紫煙を見つめていた
「いっつも陣平は研ちゃんの煙草すっごい煙たがってたよね」
「こんなんの…何がうまいのか分からねーな」
そう言って煙草を吸って「ゴホッゴホッ」と咽せる陣平の目には涙が浮かんでいた
「萩原が防護服ちゃんと着てたら…。電話してないで爆弾解除にもっと、集中させてれば……」
「………」
「俺は…何も出来…なかっ…た……っ」
ポトリと陣平の指から煙草が落ちる
そのままゆらりとファイティングポーズをした陣平は勢いよく桜の木の幹に右の拳を叩き込んだ
鈍い音がして桜の葉が数枚、ヒラヒラと舞う
「くっ…そっ」
いくらボクシングをしてたとは言え、バンテージで保護されていない裸の拳を堅い桜の幹に何度も叩き込んだら痛めてしまうだろう
再度振りかぶった陣平の右の拳を抑え込んで無理矢理私の手元に引き寄せた
ボクシングをしているせいで普段から人さし指と中指の根元部分が盛り上がっているその拳は今の一撃で内出血してるだけに留まらず血が滲んで痛ましい
「研ちゃんは陣平に自分のせいで怪我して欲しいと思ってないと思うよ…?」
流石にこの場に消毒や止血剤などは持ち合わせていないのでバッグから黒のハンカチを取り出し手早く陣平の拳に巻き付けた
黒ならば多少血が滲んだとしても目立たないだろう
黒のハンカチを巻かれた自分の拳を見つめる陣平に先ほど預かったものを差し出す
「これ…陣平に持ってて欲しいって。研ちゃんのご家族から預かったの」
陣平は私が差し出した掌にあったライターを手に取り、ポケットから煙草を取り出した
それは研ちゃんが吸ってた銘柄で、形の良い唇に1本挟み込んで私の渡したライターで火を点ける
チチチと紙と葉が燃える音がして煙草の先が赤く光る
口を離し煙を空に向かって吐き出した陣平はもう咳き込んだりはしなかった
「陣平、研ちゃんのお見送りそろそろだよ」
「……あぁ」
何か決断したかのように吹っ切れた様子で建物に向かって歩き出した陣平の背中に、何故か不安が広がっていたけどそれを心の中で打ち消し彼の背中を追い、駆け出した
馬酔木の花言葉:犠牲・危険・二人で旅をしよう
桜(染井吉野)の花言葉:精神美