【DC】Short stories
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傍らから見える空が真っ赤に染まっている
夕陽に染まり段々暗くなる時間を逢魔時というらしい
わたしは今、眼前の人物に壁ドンをされている状況だったりする
近すぎて直視できないわたしの目に無理矢理視線を合わせて壁ドンをしている人物は陣平くん
何も言わずにじっと見つめてくるだけだからわたしはどうしたら良いか分からないのが正直なところ
目の色が綺麗だな~とか、まつ毛長いな~とか、ちょっと目の下にクマがあるけど寝不足なのかな~とか今の状況から逃避するかのような言葉が次々と浮かぶ
「あや、何で言い訳のひとつもしねぇの?」
目を眇めキスしそうになるギリギリのところまで顔を近づけてようやく口を開いた陣平くん
それに答えられる訳もなく、目を逸らそうにも眼前いっぱいに陣平くんの整った顔があるので逸らすことも出来ない
こうなった経緯と言えば、仕事のせいなんだけどそれは守秘義務があるのでいくら同じ職場の陣平くんでも話せない
私は同じ部署であっても他の職員がどのような任務に就いているか分からない特殊な部署に所属しているのだ
捜査対象者が取引相手と共にラブホに入ったのでこの時一緒にいた相棒の諸伏くんとラブホに入った
もちろんラブホに入ったと言っても、そこで最も多く行われているだろう行為をしたわけではなく、捜査対象者の隣の部屋を陣取り、話している事を盗聴し録音していたという至って健全(?)に任務を遂行していたのだけど一般的には男女でラブホに入ったら何も無く出てくるということは考えにくいわけで…
なので今、諸伏くんとラブホに入るところを目撃したらしい私の彼氏である陣平くんが怒っているという状況なのである
諸伏くんは私が陣平くんの彼女だという事も知っているし、私たちは警察学校の同期なのでお互いに面識もあるし、何なら諸伏くんは警察学校時、陣平くんと同じ寮の同室で生活していた人だから彼の人間性について陣平くんはよく知ってると思う
何も無かったと言うことは陣平くんも頭では分かってるんだろうけど、気持ち的に納得出来てないのかもしれない
それなら私が何も無かったと言えば納得してくれるんだろうか…
「陣平くんが…心配するようなことは何も無いよ?」
「俺が心配するようなことってなんだぁ?」
陣平くんは互いの唇が触れるすれすれまで私の方に顔を近づけてくる
キスされる…と思わず目を強く閉じるけど望んだ感覚を唇に与えられることはなく、恐る恐る目を開き間近にある陣平くんの目を見る
「分かってんだよ、分かってるけど納得出来ねぇんだよ」
チィと舌打ちをして私の目の奥を覗き込んでくる陣平くんに、ここで目を逸らす訳にはいかないと私も視線を逸らせないなら…と再び閉じたくなっている瞼に檄を飛ばし必死に陣平くんの目の奥を覗き込む
いつまでこのにらめっこは続くのだろう
どれだけの時間、彼に見つめられ彼を見つめているんだろう
付き合い始めてこれだけ長い時間陣平くんの顔を見続けたことがあっただろうか?
いつもは恥ずかしくて私がすぐ目を逸らしてしまうのだ
だけどここで目を逸らすと陣平くんとの関係が終わってしまうだろうことは彼の様子を見てると想像が付く
私はこのまま陣平くんとの関係を終わらせたくない
仕事のことは陣平くんに話せないけど決して疚しいことはしてないし、もちろん諸伏くんに聞いて貰っても良いと思う
諸伏くんが聞いたら眉尻を下げて困った顔して「仕事とは言え松田に勘違いされるようなことになってごめん」と謝られるだろう
仕事とは言えラブホに入ったのは事実だ
そして職務上どうしてかその理由は話せない
そして陣平くんはそれを理解しているが納得出来ていない
私はこれ以上何も言えないから陣平くんが何かを言ってくれるまで黙っているしかない
辺りが徐々に赤から紫になり、藍色に包まれ始める
どれだけの時間こうしているのだろう
死刑執行台に乗せられ、いつ踏み板が抜けるか…という気持ちだった
フゥと溜息を吐いて漸く私の横に付いた手を離し、私から少し離れる陣平くん
呆れたのか、もう私とはいられないと言われるのか…
私は無意識に肩を竦め身を固くして陣平くんからの言葉を待つとふいに顎を掬い上げられる
陣平くんの手に逆らわず、されるがまま顔を上げるといつの間に溜まっていたんだろう涙がポロリとこぼれた
「すまん、あやのことが信じられなかったんじゃないんだ。仕事だろうというのも想像付いてたけど気持ちが昂ぶりすぎて抑えられなかった」
チュッと涙がこぼれたところに唇を当て優しくキスしてくれた陣平くんに思わず抱きつくとしっかり抱きしめ返してくれる
陣平くんの体温に、香りにホッとする
壁ドンは憧れてたけど陣平くんと違って壁は冷たかった、寂しかった、切なかった
背伸びして陣平くんの耳元囁く
「ごめんなさい」
陣平くんは何も言わず抱きしめる腕に力を込めた
夕陽に染まり段々暗くなる時間を逢魔時というらしい
魔物に遭遇したり不吉なことが起こる時刻と言われている
夕陽に染まり段々暗くなる時間を逢魔時というらしい
わたしは今、眼前の人物に壁ドンをされている状況だったりする
近すぎて直視できないわたしの目に無理矢理視線を合わせて壁ドンをしている人物は陣平くん
何も言わずにじっと見つめてくるだけだからわたしはどうしたら良いか分からないのが正直なところ
目の色が綺麗だな~とか、まつ毛長いな~とか、ちょっと目の下にクマがあるけど寝不足なのかな~とか今の状況から逃避するかのような言葉が次々と浮かぶ
「あや、何で言い訳のひとつもしねぇの?」
目を眇めキスしそうになるギリギリのところまで顔を近づけてようやく口を開いた陣平くん
それに答えられる訳もなく、目を逸らそうにも眼前いっぱいに陣平くんの整った顔があるので逸らすことも出来ない
こうなった経緯と言えば、仕事のせいなんだけどそれは守秘義務があるのでいくら同じ職場の陣平くんでも話せない
私は同じ部署であっても他の職員がどのような任務に就いているか分からない特殊な部署に所属しているのだ
捜査対象者が取引相手と共にラブホに入ったのでこの時一緒にいた相棒の諸伏くんとラブホに入った
もちろんラブホに入ったと言っても、そこで最も多く行われているだろう行為をしたわけではなく、捜査対象者の隣の部屋を陣取り、話している事を盗聴し録音していたという至って健全(?)に任務を遂行していたのだけど一般的には男女でラブホに入ったら何も無く出てくるということは考えにくいわけで…
なので今、諸伏くんとラブホに入るところを目撃したらしい私の彼氏である陣平くんが怒っているという状況なのである
諸伏くんは私が陣平くんの彼女だという事も知っているし、私たちは警察学校の同期なのでお互いに面識もあるし、何なら諸伏くんは警察学校時、陣平くんと同じ寮の同室で生活していた人だから彼の人間性について陣平くんはよく知ってると思う
何も無かったと言うことは陣平くんも頭では分かってるんだろうけど、気持ち的に納得出来てないのかもしれない
それなら私が何も無かったと言えば納得してくれるんだろうか…
「陣平くんが…心配するようなことは何も無いよ?」
「俺が心配するようなことってなんだぁ?」
陣平くんは互いの唇が触れるすれすれまで私の方に顔を近づけてくる
キスされる…と思わず目を強く閉じるけど望んだ感覚を唇に与えられることはなく、恐る恐る目を開き間近にある陣平くんの目を見る
「分かってんだよ、分かってるけど納得出来ねぇんだよ」
チィと舌打ちをして私の目の奥を覗き込んでくる陣平くんに、ここで目を逸らす訳にはいかないと私も視線を逸らせないなら…と再び閉じたくなっている瞼に檄を飛ばし必死に陣平くんの目の奥を覗き込む
いつまでこのにらめっこは続くのだろう
どれだけの時間、彼に見つめられ彼を見つめているんだろう
付き合い始めてこれだけ長い時間陣平くんの顔を見続けたことがあっただろうか?
いつもは恥ずかしくて私がすぐ目を逸らしてしまうのだ
だけどここで目を逸らすと陣平くんとの関係が終わってしまうだろうことは彼の様子を見てると想像が付く
私はこのまま陣平くんとの関係を終わらせたくない
仕事のことは陣平くんに話せないけど決して疚しいことはしてないし、もちろん諸伏くんに聞いて貰っても良いと思う
諸伏くんが聞いたら眉尻を下げて困った顔して「仕事とは言え松田に勘違いされるようなことになってごめん」と謝られるだろう
仕事とは言えラブホに入ったのは事実だ
そして職務上どうしてかその理由は話せない
そして陣平くんはそれを理解しているが納得出来ていない
私はこれ以上何も言えないから陣平くんが何かを言ってくれるまで黙っているしかない
辺りが徐々に赤から紫になり、藍色に包まれ始める
どれだけの時間こうしているのだろう
死刑執行台に乗せられ、いつ踏み板が抜けるか…という気持ちだった
フゥと溜息を吐いて漸く私の横に付いた手を離し、私から少し離れる陣平くん
呆れたのか、もう私とはいられないと言われるのか…
私は無意識に肩を竦め身を固くして陣平くんからの言葉を待つとふいに顎を掬い上げられる
陣平くんの手に逆らわず、されるがまま顔を上げるといつの間に溜まっていたんだろう涙がポロリとこぼれた
「すまん、あやのことが信じられなかったんじゃないんだ。仕事だろうというのも想像付いてたけど気持ちが昂ぶりすぎて抑えられなかった」
チュッと涙がこぼれたところに唇を当て優しくキスしてくれた陣平くんに思わず抱きつくとしっかり抱きしめ返してくれる
陣平くんの体温に、香りにホッとする
壁ドンは憧れてたけど陣平くんと違って壁は冷たかった、寂しかった、切なかった
背伸びして陣平くんの耳元囁く
「ごめんなさい」
陣平くんは何も言わず抱きしめる腕に力を込めた
夕陽に染まり段々暗くなる時間を逢魔時というらしい
魔物に遭遇したり不吉なことが起こる時刻と言われている