【DC】Short stories
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今月、出席予定の結婚式が2件…
友だちの結婚式と親戚の結婚式が同じ月、それも連日の日程
日にちが被らなくて本当に良かった…けど2件分のご祝儀を出すには毎月のお給料だけじゃ足りない、でも貯金は崩したくないし、せっかくだから参列用のドレスも新調したい
…となれば臨時収入を得るために日払いの短期バイトをするしか…と思い立ちバイト雑誌をペラリペラリと捲っていた私の目に付いたのは
1日からOK!! 日払いOK!! 勤務時間は4時間から!! 初めての方でも大丈夫!! 制服支給!!
…という昼間普通のOLしている私にとって魅力的な言葉がカラフルに踊る募集広告だった
思わず脳死でスマホを取り上げ問い合わせしてしまった私は、きっと悪くない
電話で問い合わせたらあれよあれよという間に3日間の体入(体験入店)という形で採用が決定した
「日払いでお給料良いから多少の覚悟はしてたけどコレは…」
黒ウサギ亭というお店の前で思わず独りごちる
電話で問い合わせした時に教えて貰った住所を頼りにたどり着いたのはセクシーなバニーガールの絵が書かれたお店だった
でもまだバニーガールの格好をすると決まったわけではない、もしかしたら裏方かもしれない…と淡い期待を抱いて店内に入る
店内で名前を言うと電話で話したお店の人が奥から出てきて仕事の説明を受けた
その内容はフロアの給仕と接客らしい
入店前の淡い期待は粉々に砕け散った…なぜなら一通りの説明を終えにこやかな顔したお店の人からバニー衣装一式を手渡されたからだ
目の前に差し出され思わず受け取ってしまった私は戸惑っていた
時給がとても良かったのとお店の人の話で夜の仕事だというのは分かっていたけど、まさかキャストがバニーガールの格好をして給仕接客するお店だとは思わなかった…!
一応彼氏がいる身としては彼氏に内緒で不特定多数の異性(だと思われる)の前でバニー衣装のようなボディラインを露わにした露出の高い衣装を着て接客してると知れたら…
バレたら絶対怒られる…!
ただで無くとも彼氏と時間の折り合いが付かず短期バイトするとは伝えたけど詳細は伝えていないのだ
バレた時の彼を想像し、ぶるっと身震いした私は彼に絶対バレないように墓まで持っていこうと心に決め、制服として支給されたバニー衣装を握りしめた
3日だもん、余程のアンラッキーが重ならない限り大丈夫!
こういうお店は星の数ほどあるし!
お店の人(店長さんらしい)は、ちょうど出勤してきたショートヘアの女性に「兎美(うみ)ちゃんこの子3日間頼むよ」という言葉をかけた
兎美さんという女性が了承して安心したのだろう、奥の部屋に入っていく店長さんの後ろ姿を呆然を見送っていた私に兎美さんは同性の私でも一目惚れしそうなほど素敵な笑顔を向けた
「初めまして、名前聞いて良い?」
「あ…あやです」
「3日間よろしくね?」
「お願いします、先輩」
「先輩じゃなくて兎美でいいよ。じゃ、まずロッカーに案内するね」
突然私というお荷物を抱え込むことになったにも関わらず感じの良い対応をしてくれ、この人が先輩で良かった…と胸をなで下ろし、兎美さんの後についてロッカーへ向かった
「あやちゃんはバニーって着たことある?」
「いいえ、無いです」
「コスプレとかでも?」
「コスプレ自体したこと無いです…」
「オッケー、そしたら着方分からないよね?教えよっか?」
ロッカーから自分のバニー衣装一式を取り出しながら兎美さんが言ってくれ、すがりつく勢いで「お願いしますっ」と頭を下げると
「そういう堅苦しいのいいよ。みんな初めての時はあるんだし」
と言いながら私の頭をポンポンなでてくれる兎美さん
本当に良い先輩に出会えて良かった…
正直バニー衣装を着ることに抵抗がなくなった訳じゃないけど兎美さんが一緒なら大丈夫だと思わせてくれる安心感が彼女にはあった
長い人生の中のたった3日、そのうちの12時間、衆人環視の中バニー衣装で過ごしたらご祝儀2件分出してドレス買えるだけのお給料が頂ける
知ってる人が来店する訳じゃないだろうし大丈夫、ハロウィンのコスプレだと思えば…!
「そしたらそっちの更衣室入ろうか、その更衣室が一番広いから」
「はいっ」
兎美さんに促されるままカーテンで仕切られた広めの更衣室に入ると目の前に大きな姿見鏡があり、その前には服を入れるのだろうか、籐籠が2つ置かれていて更衣室端にはスツールが1つ置いてあった
「あやちゃん、私が今回は着せてあげるからまず下着になってね。バニーコートは慣れるまで1人で着るの大変だから。」
そう言って私が下着になるのを待っていてくれるので慌てて服を脱ぐ
その様子を見て兎美さんが言った
「ヌーブラ持ってきてないよね?」
「…そうですね、すみません」
「それじゃ私のスペア貸してあげるね。とりあえず網タイツ履いといて」
元々Tバックを愛用しているのでいつも通りTバックを履いてきたけどブラジャーにまでは気が回ってなかった…というより支給される制服がこんな露出の高いものだとは思ってなかった…
下着姿になった私に兎美さんはウインクしながらカーテンの向こうに消えていき、プラスチックのケースを手に戻ってきた
その間に履いた網タイツにブラジャーという情けない格好の私から兎美さんがブラジャーを剥ぎ取る
「…あっ!」
「女同士でしょ、気にしない、気にしない」
そう言いながら渡されたヌーブラを着用するといつものブラジャーより胸を寄せて上げての効果が高いお陰で実際のバストサイズより大きく見えた
ヌーブラ、初体験だったけどこれはすごい盛れる!
自分用に今日の仕事帰りに買って帰ろう…
鏡に映る自分の胸を見て感動した私はそう心に決める
「バニーコート、下から履いて後ろ向いて」
言われるままにバニーコートを身につけ兎美さんへ背を向けると背中にあったファスナーを上げてくれる
一気に身体が引き絞られるような圧迫感はまるでコルセットのよう…
胸元はしっかりしたカップで覆われていてそこに収まりきらなかった柔肉がデコルテの方へ集まり、豊満な谷間の胸完成
鏡に映る自分のウエストはいつもよりくびれ、より女性らしいラインを形成していた
すごい、バニーコートって着るだけでコルセットのようになるのね…
「大きい尻尾の方が可愛いから大きいの付けとくね」
兎美さんはそう言って両掌ほどの大きさのホワホワ柔らかそうな白いポンポンを私のお尻にプチプチと付けてくれるのを鏡で見てみると尻尾はスナップボタンで付いているらしい
耳はカチューシャタイプで身につけてからアメリカピンで固定してくれ、頭を軽く振ると耳がフルフルと揺れて思った以上に可愛い
「後はタイとカフスね、どっちもスナップボタンだから後は自分で出来ると思うよ」
「ありがとうございます」
「私もすぐ着替えるから一緒にホールに行きましょ」
兎美さんは私の姿を上から下まで視線を動かし確認して満足げに言った
バニー衣装、着るまでは気が重かったけど実際に着てみると思ってたより乗り気になっている私がいた
歩く度にピョコピョコとお尻についたしっぽが揺れるのが何だかくすぐったい
ホールに出て2時間、今日の勤務時間の半分が経過した
バニー衣装のキャストのため、室温は高めに設定されていてバニー衣装のままでも寒くないし兎美さんと一緒に兎美さんのお客さんに付かせて貰っているのであっという間に時間が過ぎた…というのが正直な感想
兎美さんのサポートのお陰で初めてにも関わらず凄く順調にホールでの接客もこなせている
コスプレをする人はいつもと違う自分に出会う為なのかな…と余計なことを考えちゃうくらいお店をくぐる前の気持ちとは違って軽やかな気持ちでいる私がいた
「兎美ちゃん、あやちゃん、ちょっと…」
待機していたバニー衣装の先輩が小声で私たちに声を掛けてきたのでお客さんに席を離れることを兎美さんがお話してくれ席を立つ
兎美さんなら分かるけど体入初日の私まで呼ばれるって何があったのかな?
疑問に思いつつもスタッフオンリーの裏へ連れてこられた兎美さんと私に先輩が何とも微妙な顔して声を潜め話し始めた
「あのね、実はあやちゃんにご指名なのよ…」
「…えっ?」
「あやちゃんは体入って伝えた?」
「伝えてるわよ。それでもどうしてもあやちゃんが良いって…。めちゃくちゃイケメンのお兄さん2人からのご指名なんだけど…兎美ちゃんどうしよう」
えっという驚きの声を上げた後、兎美さんと先輩のやりとりを呆然と聞いてた私は恐る恐るカウンターの方へ目を向ける
…とっても見覚えのある顔が2つ、見える…
そのうちの1つは幻視であって欲しい、夢であって欲しいと願ってやまない顔だ
うそ、うそだよね?
まさか、まさかだよね?
この手のお店の数はそれこそ星の数ほどあるのに、何で…?
もしかして私にとって今日は天中殺なの?
「あのお客さんたち、あやちゃんの知り合いの人だったりする?」
兎美さんが私に話しかけてくれてるのは分かってるけど兎美さんの方を振り返れないほどの驚きに私は何も答えられずにいた
「私が今付いてるお客さんから2人とも離れるわけにはいかないから、あやちゃんとあなたと一緒に指名してくれたお客さんに付こうか」
「それがね、兎美ちゃん。あやちゃん1人でいいんだって…」
私の後ろでは無理な注文を付けてるお客さんの話がまだ続いている
「…そっか。あやちゃん、1人で大丈夫?もしダメならスマホで…って体入だから連絡先やりとりしなくていいようにスマホはロッカーに置いてきて貰ったんだった…!」
「あちゃー」と言いながら困り顔した兎美さんの方をようやく見ることが出来た私はぎこちない笑顔を兎美さんに見せた
「大丈夫です。兎美さんに教わったとおりに接客しますね」
私は今、1段1段絞首台に上っている気分だ
心臓がバクバクと全力疾走をした後のように跳ねているしライターとハンカチしか入ってない小さなポーチが驚くほど重く感じる
兎美さんと一緒に兎美さんのお客さんに席を離れるご挨拶をしてる間にスタッフが私を指名した2人を席に案内したらしく私は今、2人がいる席に誘導されている
慣れないピンヒールのせいか1歩1歩が重く、躓きそうになりながらも2人の前に立ち、ごくりと唾を飲み込んだ
「いらっしゃいませ、ご指名頂きました…あやです」
ヤケクソになりニッコリ笑った私の目に入ったのはうっそりと誰もが見とれてしまうような人好きする笑顔にも関わらず目だけは笑ってないイケメン1人とサングラス越しに呆れたような視線を送ってくるイケメン1人だった
「おねえさん、あやちゃんだっけ?俺の好みなんだよね、すっごいドストライクなの。今すぐその服全部脱がせたいくらい」
端で聞いてたらセクハラとしか受け取られない言葉を発して顔はニコニコしながらも目は一切笑ってないイケメンは私の彼氏である萩原研二、通称研ちゃん
勝手にやってくれと体全体で表現して呆れた顔でそっぽを向いてるサングラスのイケメン松田くんは研ちゃんの親友
どういう経緯でこの店に2人が来たのか聞きたいけど怒ってる研ちゃんに対して身を小さくすることしか出来ない私
「今晩、覚えといて…?」
私の耳元に顔を寄せた研ちゃんは酷く甘い声で囁き、私はザワザワと背筋をザワつかせ身震いした
もうどう言い訳しても私には明るい未来が見えません!
兎の逆立ち:(意味)耳が痛い
友だちの結婚式と親戚の結婚式が同じ月、それも連日の日程
日にちが被らなくて本当に良かった…けど2件分のご祝儀を出すには毎月のお給料だけじゃ足りない、でも貯金は崩したくないし、せっかくだから参列用のドレスも新調したい
…となれば臨時収入を得るために日払いの短期バイトをするしか…と思い立ちバイト雑誌をペラリペラリと捲っていた私の目に付いたのは
1日からOK!! 日払いOK!! 勤務時間は4時間から!! 初めての方でも大丈夫!! 制服支給!!
…という昼間普通のOLしている私にとって魅力的な言葉がカラフルに踊る募集広告だった
思わず脳死でスマホを取り上げ問い合わせしてしまった私は、きっと悪くない
電話で問い合わせたらあれよあれよという間に3日間の体入(体験入店)という形で採用が決定した
「日払いでお給料良いから多少の覚悟はしてたけどコレは…」
黒ウサギ亭というお店の前で思わず独りごちる
電話で問い合わせした時に教えて貰った住所を頼りにたどり着いたのはセクシーなバニーガールの絵が書かれたお店だった
でもまだバニーガールの格好をすると決まったわけではない、もしかしたら裏方かもしれない…と淡い期待を抱いて店内に入る
店内で名前を言うと電話で話したお店の人が奥から出てきて仕事の説明を受けた
その内容はフロアの給仕と接客らしい
入店前の淡い期待は粉々に砕け散った…なぜなら一通りの説明を終えにこやかな顔したお店の人からバニー衣装一式を手渡されたからだ
目の前に差し出され思わず受け取ってしまった私は戸惑っていた
時給がとても良かったのとお店の人の話で夜の仕事だというのは分かっていたけど、まさかキャストがバニーガールの格好をして給仕接客するお店だとは思わなかった…!
一応彼氏がいる身としては彼氏に内緒で不特定多数の異性(だと思われる)の前でバニー衣装のようなボディラインを露わにした露出の高い衣装を着て接客してると知れたら…
バレたら絶対怒られる…!
ただで無くとも彼氏と時間の折り合いが付かず短期バイトするとは伝えたけど詳細は伝えていないのだ
バレた時の彼を想像し、ぶるっと身震いした私は彼に絶対バレないように墓まで持っていこうと心に決め、制服として支給されたバニー衣装を握りしめた
3日だもん、余程のアンラッキーが重ならない限り大丈夫!
こういうお店は星の数ほどあるし!
お店の人(店長さんらしい)は、ちょうど出勤してきたショートヘアの女性に「兎美(うみ)ちゃんこの子3日間頼むよ」という言葉をかけた
兎美さんという女性が了承して安心したのだろう、奥の部屋に入っていく店長さんの後ろ姿を呆然を見送っていた私に兎美さんは同性の私でも一目惚れしそうなほど素敵な笑顔を向けた
「初めまして、名前聞いて良い?」
「あ…あやです」
「3日間よろしくね?」
「お願いします、先輩」
「先輩じゃなくて兎美でいいよ。じゃ、まずロッカーに案内するね」
突然私というお荷物を抱え込むことになったにも関わらず感じの良い対応をしてくれ、この人が先輩で良かった…と胸をなで下ろし、兎美さんの後についてロッカーへ向かった
「あやちゃんはバニーって着たことある?」
「いいえ、無いです」
「コスプレとかでも?」
「コスプレ自体したこと無いです…」
「オッケー、そしたら着方分からないよね?教えよっか?」
ロッカーから自分のバニー衣装一式を取り出しながら兎美さんが言ってくれ、すがりつく勢いで「お願いしますっ」と頭を下げると
「そういう堅苦しいのいいよ。みんな初めての時はあるんだし」
と言いながら私の頭をポンポンなでてくれる兎美さん
本当に良い先輩に出会えて良かった…
正直バニー衣装を着ることに抵抗がなくなった訳じゃないけど兎美さんが一緒なら大丈夫だと思わせてくれる安心感が彼女にはあった
長い人生の中のたった3日、そのうちの12時間、衆人環視の中バニー衣装で過ごしたらご祝儀2件分出してドレス買えるだけのお給料が頂ける
知ってる人が来店する訳じゃないだろうし大丈夫、ハロウィンのコスプレだと思えば…!
「そしたらそっちの更衣室入ろうか、その更衣室が一番広いから」
「はいっ」
兎美さんに促されるままカーテンで仕切られた広めの更衣室に入ると目の前に大きな姿見鏡があり、その前には服を入れるのだろうか、籐籠が2つ置かれていて更衣室端にはスツールが1つ置いてあった
「あやちゃん、私が今回は着せてあげるからまず下着になってね。バニーコートは慣れるまで1人で着るの大変だから。」
そう言って私が下着になるのを待っていてくれるので慌てて服を脱ぐ
その様子を見て兎美さんが言った
「ヌーブラ持ってきてないよね?」
「…そうですね、すみません」
「それじゃ私のスペア貸してあげるね。とりあえず網タイツ履いといて」
元々Tバックを愛用しているのでいつも通りTバックを履いてきたけどブラジャーにまでは気が回ってなかった…というより支給される制服がこんな露出の高いものだとは思ってなかった…
下着姿になった私に兎美さんはウインクしながらカーテンの向こうに消えていき、プラスチックのケースを手に戻ってきた
その間に履いた網タイツにブラジャーという情けない格好の私から兎美さんがブラジャーを剥ぎ取る
「…あっ!」
「女同士でしょ、気にしない、気にしない」
そう言いながら渡されたヌーブラを着用するといつものブラジャーより胸を寄せて上げての効果が高いお陰で実際のバストサイズより大きく見えた
ヌーブラ、初体験だったけどこれはすごい盛れる!
自分用に今日の仕事帰りに買って帰ろう…
鏡に映る自分の胸を見て感動した私はそう心に決める
「バニーコート、下から履いて後ろ向いて」
言われるままにバニーコートを身につけ兎美さんへ背を向けると背中にあったファスナーを上げてくれる
一気に身体が引き絞られるような圧迫感はまるでコルセットのよう…
胸元はしっかりしたカップで覆われていてそこに収まりきらなかった柔肉がデコルテの方へ集まり、豊満な谷間の胸完成
鏡に映る自分のウエストはいつもよりくびれ、より女性らしいラインを形成していた
すごい、バニーコートって着るだけでコルセットのようになるのね…
「大きい尻尾の方が可愛いから大きいの付けとくね」
兎美さんはそう言って両掌ほどの大きさのホワホワ柔らかそうな白いポンポンを私のお尻にプチプチと付けてくれるのを鏡で見てみると尻尾はスナップボタンで付いているらしい
耳はカチューシャタイプで身につけてからアメリカピンで固定してくれ、頭を軽く振ると耳がフルフルと揺れて思った以上に可愛い
「後はタイとカフスね、どっちもスナップボタンだから後は自分で出来ると思うよ」
「ありがとうございます」
「私もすぐ着替えるから一緒にホールに行きましょ」
兎美さんは私の姿を上から下まで視線を動かし確認して満足げに言った
バニー衣装、着るまでは気が重かったけど実際に着てみると思ってたより乗り気になっている私がいた
歩く度にピョコピョコとお尻についたしっぽが揺れるのが何だかくすぐったい
ホールに出て2時間、今日の勤務時間の半分が経過した
バニー衣装のキャストのため、室温は高めに設定されていてバニー衣装のままでも寒くないし兎美さんと一緒に兎美さんのお客さんに付かせて貰っているのであっという間に時間が過ぎた…というのが正直な感想
兎美さんのサポートのお陰で初めてにも関わらず凄く順調にホールでの接客もこなせている
コスプレをする人はいつもと違う自分に出会う為なのかな…と余計なことを考えちゃうくらいお店をくぐる前の気持ちとは違って軽やかな気持ちでいる私がいた
「兎美ちゃん、あやちゃん、ちょっと…」
待機していたバニー衣装の先輩が小声で私たちに声を掛けてきたのでお客さんに席を離れることを兎美さんがお話してくれ席を立つ
兎美さんなら分かるけど体入初日の私まで呼ばれるって何があったのかな?
疑問に思いつつもスタッフオンリーの裏へ連れてこられた兎美さんと私に先輩が何とも微妙な顔して声を潜め話し始めた
「あのね、実はあやちゃんにご指名なのよ…」
「…えっ?」
「あやちゃんは体入って伝えた?」
「伝えてるわよ。それでもどうしてもあやちゃんが良いって…。めちゃくちゃイケメンのお兄さん2人からのご指名なんだけど…兎美ちゃんどうしよう」
えっという驚きの声を上げた後、兎美さんと先輩のやりとりを呆然と聞いてた私は恐る恐るカウンターの方へ目を向ける
…とっても見覚えのある顔が2つ、見える…
そのうちの1つは幻視であって欲しい、夢であって欲しいと願ってやまない顔だ
うそ、うそだよね?
まさか、まさかだよね?
この手のお店の数はそれこそ星の数ほどあるのに、何で…?
もしかして私にとって今日は天中殺なの?
「あのお客さんたち、あやちゃんの知り合いの人だったりする?」
兎美さんが私に話しかけてくれてるのは分かってるけど兎美さんの方を振り返れないほどの驚きに私は何も答えられずにいた
「私が今付いてるお客さんから2人とも離れるわけにはいかないから、あやちゃんとあなたと一緒に指名してくれたお客さんに付こうか」
「それがね、兎美ちゃん。あやちゃん1人でいいんだって…」
私の後ろでは無理な注文を付けてるお客さんの話がまだ続いている
「…そっか。あやちゃん、1人で大丈夫?もしダメならスマホで…って体入だから連絡先やりとりしなくていいようにスマホはロッカーに置いてきて貰ったんだった…!」
「あちゃー」と言いながら困り顔した兎美さんの方をようやく見ることが出来た私はぎこちない笑顔を兎美さんに見せた
「大丈夫です。兎美さんに教わったとおりに接客しますね」
私は今、1段1段絞首台に上っている気分だ
心臓がバクバクと全力疾走をした後のように跳ねているしライターとハンカチしか入ってない小さなポーチが驚くほど重く感じる
兎美さんと一緒に兎美さんのお客さんに席を離れるご挨拶をしてる間にスタッフが私を指名した2人を席に案内したらしく私は今、2人がいる席に誘導されている
慣れないピンヒールのせいか1歩1歩が重く、躓きそうになりながらも2人の前に立ち、ごくりと唾を飲み込んだ
「いらっしゃいませ、ご指名頂きました…あやです」
ヤケクソになりニッコリ笑った私の目に入ったのはうっそりと誰もが見とれてしまうような人好きする笑顔にも関わらず目だけは笑ってないイケメン1人とサングラス越しに呆れたような視線を送ってくるイケメン1人だった
「おねえさん、あやちゃんだっけ?俺の好みなんだよね、すっごいドストライクなの。今すぐその服全部脱がせたいくらい」
端で聞いてたらセクハラとしか受け取られない言葉を発して顔はニコニコしながらも目は一切笑ってないイケメンは私の彼氏である萩原研二、通称研ちゃん
勝手にやってくれと体全体で表現して呆れた顔でそっぽを向いてるサングラスのイケメン松田くんは研ちゃんの親友
どういう経緯でこの店に2人が来たのか聞きたいけど怒ってる研ちゃんに対して身を小さくすることしか出来ない私
「今晩、覚えといて…?」
私の耳元に顔を寄せた研ちゃんは酷く甘い声で囁き、私はザワザワと背筋をザワつかせ身震いした
もうどう言い訳しても私には明るい未来が見えません!
兎の逆立ち:(意味)耳が痛い