【DC】FELICITE
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ショッピングモール内にある宝石店に強盗が入り捜査一課が出動した事件は、ショッピングモール内の別のショップで買い物をしていてたまたま居合わせていた毛利さんとその弟子の安室さんによって解決し、人質として捉えられていた人たちが無事解放された
人質として捉えられていた人たちを事情聴取をすると、人質のうちの1人の女性は気丈にも強盗に人質にされそうになっていた老婦人より自分の方が相応しいと人質の身代わりを買って出たらしい
人質になった人たちは皆携帯やスマホを強盗に回収されたらしいが、その女性は人質になった時に渡したスマホの他にもう1台携帯を隠し持っていたらしくその携帯を通話状態にして内部の様子を毛利さんの弟子の安室さんに流していたと聞いている
そのお陰でスピード解決したと言っても過言ではなかった
その女性は人質の中で見せしめだと唯一怪我を負った人だったので事情聴取をするより治療が先だと警察病院に搬送されることになり、その付き添いに女性の知り合いだという毛利さんの弟子の安室さんが同行していた
「高木刑事!」
「やあ、コナンくん」
「人質になってたあやお姉さんの搬送先って警察病院?」
「あぁ、そうだよ」
「ありがとう、高木刑事」
「高木君」
よく事件現場に居合わせる顔なじみの小学生コナンくんの質問に答えていると目暮警部から呼ばれた
返事をしてコナンくんに手を上げ目暮警部の側へ駆け寄る
「目暮警部、何でしょう?」
「高木君、病院に搬送された人質だった女性の元へ行って事情聴取してきてくれないか」
「はい、了解しました」
愛車のスカイラインへ向かうとスカイラインの前でコナンくんが待っていた
「コ…コナンくん?」
「へへっ高木刑事これから病院に行くんでしょ?あやお姉さんが心配だから僕も付いて行って良い?」
無邪気に笑って同行を求めるコナンくんに、内心ホッとしたのも事実だった
人質だった女性の知り合いだという毛利さんの弟子の安室さんが人を寄せ付けないような雰囲気を出していたからだ
以前会った時はとても愛想の良い人だった覚えがあるのに今日は同じ人かと疑問を感じるほど怖い印象を受けた
人質だった女性に声を掛けるだけでも凍てつくような視線でこちらを睨み付けてきていたのだ
緩衝材…と言っては申し訳ないが2人の知り合いらしいコナンくんが橋渡しをしてくれた方がこちらの用件は早く済みそうだった
「分かったよ。帰りは毛利さんのお宅まで送るからきちんと毛利さんの許可を取っておいで」
「大丈夫、蘭姉ちゃんの許可取ってきたよ」
…流石コナンくん、小学生なのにその辺り本当に抜かりない
車のドアロックを外すと助手席のドアを開け、ぴょこんとコナンくんが乗り込んでシートベルトを締める
その様子を確認してオレもシートベルトを締め、エンジンを掛けた
病院に着き、受付で救急車で運ばれた人質だった女性はどこにいるか確認すると頭を強く打っていたので検査と念のために今日は入院すると聞かされ病室を教えて貰う
「あやお姉さんの検査結果何でも無いといいね…」
「そうだね」
院内なので声が控えめなのか、入院するような事態にショックを受けているのか声が沈んでいるコナンくんと一緒に教えられた病室前にたどり着いた
ドアをノックしようと手を上げるとコナンくんが慌てたように人差し指を口元にやり、静かにというジェスチャーをしてドアに耳を近づける
オレもコナンくんの真似をしてドアに耳を近づけた
「何故ならずに済んだ人質に自ら望んだんだ?」
「だって…身体の不自由なおばあさんだったのよ?逃げられるタイミングがあったとしても逃げることが出来ないじゃない。その点私なら逃げられるかなと」
「あやは自分のことを省みなさすぎる」
「それに私が人質じゃなかったら透さんは中の様子分からなかったでしょう?」
「確かに…。今回はたまたま同じショッピングセンター内だったから良かったけど、毎回そうとは限らない。頼むから自分をもっと大切にしてくれ。」
「…ってことはやっぱりまた私に盗聴器と発信器を付けてたのね?…大方このお守りの中にでも入ってるんじゃない?」
「こっ…こらっ!あや、バチが当たる!」
「バチが当たるならまず透さんでしょう?先に私のお守りの中に盗聴器と発信器を仕込んだんだから」
こ…これは………っ?
盗聴器?
発信器?
お守り?
バチ?
スマホは犯人に取り上げられてるけど隠し持っていた携帯で内部の情報を…というのはまさか携帯じゃなく盗聴器?
あまりにも物騒な言葉の数々が聞こえてきたので思わず一緒に聞き耳を立てていたコナンくんに視線を送るとコナンくんが少し焦った様子で人差し指を口元にやり、静かにというジェスチャーをしてから病室の反対側を指差して歩き出したので大人しく付いていくことにした
コナンくんはデイルームで立ち止まり、ソファのひとつに腰掛けたのでそれに習いオレも腰を下ろすと首元にチクッと針で刺されたような痛みが走り「いてっ」と言いながら首元に手をやる
特に何も無いようだったが、ふにゃぁ…と急な睡魔に襲われた
「あの人まるで忍んでねぇな…ったく…」
遠のく意識の中、コナンくんがずいぶんと大人びた話し方で呟いたのがかすかに聞こえた気がした
「……じっ…高木刑事っ」
コナンくんの声で意識が浮上する
オレはいつの間にか寝てしまっていたのか?
目を開けるとソファの背に凭り掛かり上を向き大口を開けてオレは寝ていたようだ
慌てて身を起こして居ずまいを正す
「コっコナンくん?」
声が驚きで浮ついてしまったがコナンくんは意に介さずニッコリ笑う
「僕は今寝てたのかい?」
「うん、そうだよ。高木刑事疲れてるの?座ったら急に寝ちゃったから僕ビックリしちゃった」
コナンくんに問うとそう答えてピョコンとソファから飛び降り無邪気な笑顔を見せる
「あやお姉さんのところへ早く行こうよ。僕早くあやお姉さんに会いたいな~」
「コナンくん、僕たち1度あやさんの病室に行ったよね?」
「ううん、まだ行ってないよ?ここに来たら高木刑事ソファに座って急に寝ちゃうんだもん。もしかして夢でも見たの?高木刑事」
…あれは夢だったのだろうか?
毛利さんの弟子の安室さんとコナンくんが「あやお姉さん」と呼ぶ女性の物騒なやりとりは夢…?
ずいぶんリアルだった気がするけど…
腑に落ちないままコナンくんと一緒に受付で教えられた病室前にたどり着くと夢で見た病室と寸分違わぬ場所だった
やはり先ほど来た気がするけどなぁ…
これは予知夢?
何ともしっくりこないまま扉をノックしようと手を上げるとコナンくんが慌てたように人差し指を口元にやり、静かにというジェスチャーをしてドアに耳を近づける
オレもコナンくんの真似をしてドアに耳を近づけた
これも夢と同じだ
デジャヴだろうか?
「もうこんな無理はしないでくれ、あや。…僕の寿命が縮むから」
「ごめんなさい、透さん」
中から聞こえてくる声に耳を澄ませた後、コナンくんを見ると止める間もなく彼はいきなりガラッと扉を開いた
「ちょっ!コっコナンくん!」
慌ててコナンくんを押さえようと手を伸ばした時、病室内が見て取れた
ベッドの上で頭に包帯を巻いた女性が上半身を起こしていて、それを毛利さんの弟子の安室さんが抱きしめてキスしていたところだった訳で…
その2人の姿は後ろの窓から差し込む逆光によってとても絵になっていた
オレと同じく中の様子を認識したコナンくんがフリーズしている
先に動くことのできたオレは彼の首根っこを掴むという荒技で手元に引き寄せ勢いよく扉を閉めた
「しっ…失礼しましたっ!」
廊下に響き渡る大きな声を出してしまったせいで看護師さんがスタッフステーションから顔を出す
顔を出した看護師さんに頭を下げ、コナンくんを床に下ろす
「………」
「………」
互いにチラリと合わせた顔は赤かった
病室内からの足音無く(オレが聞こえなかっただけ?)扉が開き、白々しいくらいにこやかな毛利さんの弟子安室さんが顔を見せた
一見にこやかで朗らかに見えるけど凄い威圧感がある
「何かご用ですか?」
「あやお姉さんの事情聴取をしに高木刑事が…」
「ほぉ。コナンくんは?」
「コナンくんはあやさんを心配して様子を見に来たいと言ったので僕が連れて…」
「…なるほど。分かりました」
安室さんと目を合わせられず2人で代わる代わる話すと腕組みをしていた安室さんが壁際に寄り中に招き入れてくれる
先ほどと変わらない体勢でベッドにいる女性が人質だった女性でコナンくんが「あやお姉さん」と呼んでいる人だ
安室さんがベッドの奥へスタスタ歩いて行く
どうやら事情聴取の間も彼女の側を離れるつもりは無いらしい
コナンくんもオレの横から動くつもりは無いようだ
居心地が悪いなと思いつつ、こちらにとても協力的なあやさんへの事情聴取を始めた
「…これで以上になります。また後日、お聞きしたいことがあるかもしれませんが、その時はまたご協力願いします。降谷あやさんお疲れさまでした」
事情聴取の最後は本人確認の意味も込めてフルネームで終わらせるようにしている
居心地は悪いままだったが協力的なあやさんのお陰で事情聴取は滞りなく済んだ
威圧的な雰囲気は変わらないけど一言も口出しせず、ただ黙ってあやさんの様子を見守っていた安室さんと、黙ってオレの横にいたコナンくん
実は2人に色々邪魔をされるのでは…と邪推していたが杞憂で終わったようだ
「事情聴取が終わったのでしたら本人も疲れているでしょうし、そろそろ休ませたいのですが」
相変わらずツンツンとトゲのある言い方をする安室さんを見上げ袖を引いて黙らせようとしてるあやさん
落ち着いてみてみると微笑ましい…気がしないでもない
「お邪魔しました。お大事にしてください。さぁ、コナンくん行こうか」
コナンくんを促して扉に向い退出する際、ふと気になったことを思い出したので扉に手を掛け足を止める
「つかぬ事をお伺いしますが、あやさんはお守りを持ち歩いたりしてますか?」
コナンくんは小さく「あっ」と声を発し、あやさんと安室さんは狐につままれた顔をしている
先ほどコナンくんには夢だと言われたことだったがオレにはどうも本当のことだったように思えたのだ
2人からみたら変な質問になってしまうが自分の中の疑問は解消しておきたかった
「お守り…というかアミュレットは身につけてます。…ほら」
胸元に光るU字の馬蹄モチーフに7色の宝石が下部にはめ込まれた可愛らしいネックレスを見せてくれる
「…えっと…これがお守り?アミュレット?」
女性のファッションに疎いオレはアミュレットがまず分からない
「アミュレットはお守りという意味ですね。7色のものを身に着けると魔除け・厄除けになるとされていて日本ではアクセサリーに7色の石を配置したデザインのものがアミュレットと呼ばれてることが多いです」
「へ…へぇ。そうなんですね」
先ほどのまで威圧感はどこへやらでアミュレットの知識を話してくれる安室さんに少し引き気味になりつつ、やっぱり先ほどのことはコナンくんの言うとおり夢だったのかと自分の中で結論を付けた
あんな小さなネックレスに盗聴器やら発信器を付けて気づかれないのは不可能だろう
「ありがとうございました。それでは失礼します」
「高木刑事お気を付けて。コナンくん、今日はありがとう」
「あやお姉さんが元気そうで良かったよ。またポアロで待ってるね」
あやさんが小さくコナンくんに手を振って、コナンくんもそれに手を振って答える
病室内に向けて頭を軽く下げ、扉を閉めようと掛けていた手に力を入れると扉が閉まる
閉まりきる直前、顔は見えなかったけど安室さんの低い声が聞こえた
「事情聴取の内容以外は他言無用でお願いしますね」
その声は今まで聞いた安室さんの声の中でも特に冷たく聞こえ、オレは身震いした
人質として捉えられていた人たちを事情聴取をすると、人質のうちの1人の女性は気丈にも強盗に人質にされそうになっていた老婦人より自分の方が相応しいと人質の身代わりを買って出たらしい
人質になった人たちは皆携帯やスマホを強盗に回収されたらしいが、その女性は人質になった時に渡したスマホの他にもう1台携帯を隠し持っていたらしくその携帯を通話状態にして内部の様子を毛利さんの弟子の安室さんに流していたと聞いている
そのお陰でスピード解決したと言っても過言ではなかった
その女性は人質の中で見せしめだと唯一怪我を負った人だったので事情聴取をするより治療が先だと警察病院に搬送されることになり、その付き添いに女性の知り合いだという毛利さんの弟子の安室さんが同行していた
「高木刑事!」
「やあ、コナンくん」
「人質になってたあやお姉さんの搬送先って警察病院?」
「あぁ、そうだよ」
「ありがとう、高木刑事」
「高木君」
よく事件現場に居合わせる顔なじみの小学生コナンくんの質問に答えていると目暮警部から呼ばれた
返事をしてコナンくんに手を上げ目暮警部の側へ駆け寄る
「目暮警部、何でしょう?」
「高木君、病院に搬送された人質だった女性の元へ行って事情聴取してきてくれないか」
「はい、了解しました」
愛車のスカイラインへ向かうとスカイラインの前でコナンくんが待っていた
「コ…コナンくん?」
「へへっ高木刑事これから病院に行くんでしょ?あやお姉さんが心配だから僕も付いて行って良い?」
無邪気に笑って同行を求めるコナンくんに、内心ホッとしたのも事実だった
人質だった女性の知り合いだという毛利さんの弟子の安室さんが人を寄せ付けないような雰囲気を出していたからだ
以前会った時はとても愛想の良い人だった覚えがあるのに今日は同じ人かと疑問を感じるほど怖い印象を受けた
人質だった女性に声を掛けるだけでも凍てつくような視線でこちらを睨み付けてきていたのだ
緩衝材…と言っては申し訳ないが2人の知り合いらしいコナンくんが橋渡しをしてくれた方がこちらの用件は早く済みそうだった
「分かったよ。帰りは毛利さんのお宅まで送るからきちんと毛利さんの許可を取っておいで」
「大丈夫、蘭姉ちゃんの許可取ってきたよ」
…流石コナンくん、小学生なのにその辺り本当に抜かりない
車のドアロックを外すと助手席のドアを開け、ぴょこんとコナンくんが乗り込んでシートベルトを締める
その様子を確認してオレもシートベルトを締め、エンジンを掛けた
病院に着き、受付で救急車で運ばれた人質だった女性はどこにいるか確認すると頭を強く打っていたので検査と念のために今日は入院すると聞かされ病室を教えて貰う
「あやお姉さんの検査結果何でも無いといいね…」
「そうだね」
院内なので声が控えめなのか、入院するような事態にショックを受けているのか声が沈んでいるコナンくんと一緒に教えられた病室前にたどり着いた
ドアをノックしようと手を上げるとコナンくんが慌てたように人差し指を口元にやり、静かにというジェスチャーをしてドアに耳を近づける
オレもコナンくんの真似をしてドアに耳を近づけた
「何故ならずに済んだ人質に自ら望んだんだ?」
「だって…身体の不自由なおばあさんだったのよ?逃げられるタイミングがあったとしても逃げることが出来ないじゃない。その点私なら逃げられるかなと」
「あやは自分のことを省みなさすぎる」
「それに私が人質じゃなかったら透さんは中の様子分からなかったでしょう?」
「確かに…。今回はたまたま同じショッピングセンター内だったから良かったけど、毎回そうとは限らない。頼むから自分をもっと大切にしてくれ。」
「…ってことはやっぱりまた私に盗聴器と発信器を付けてたのね?…大方このお守りの中にでも入ってるんじゃない?」
「こっ…こらっ!あや、バチが当たる!」
「バチが当たるならまず透さんでしょう?先に私のお守りの中に盗聴器と発信器を仕込んだんだから」
こ…これは………っ?
盗聴器?
発信器?
お守り?
バチ?
スマホは犯人に取り上げられてるけど隠し持っていた携帯で内部の情報を…というのはまさか携帯じゃなく盗聴器?
あまりにも物騒な言葉の数々が聞こえてきたので思わず一緒に聞き耳を立てていたコナンくんに視線を送るとコナンくんが少し焦った様子で人差し指を口元にやり、静かにというジェスチャーをしてから病室の反対側を指差して歩き出したので大人しく付いていくことにした
コナンくんはデイルームで立ち止まり、ソファのひとつに腰掛けたのでそれに習いオレも腰を下ろすと首元にチクッと針で刺されたような痛みが走り「いてっ」と言いながら首元に手をやる
特に何も無いようだったが、ふにゃぁ…と急な睡魔に襲われた
「あの人まるで忍んでねぇな…ったく…」
遠のく意識の中、コナンくんがずいぶんと大人びた話し方で呟いたのがかすかに聞こえた気がした
「……じっ…高木刑事っ」
コナンくんの声で意識が浮上する
オレはいつの間にか寝てしまっていたのか?
目を開けるとソファの背に凭り掛かり上を向き大口を開けてオレは寝ていたようだ
慌てて身を起こして居ずまいを正す
「コっコナンくん?」
声が驚きで浮ついてしまったがコナンくんは意に介さずニッコリ笑う
「僕は今寝てたのかい?」
「うん、そうだよ。高木刑事疲れてるの?座ったら急に寝ちゃったから僕ビックリしちゃった」
コナンくんに問うとそう答えてピョコンとソファから飛び降り無邪気な笑顔を見せる
「あやお姉さんのところへ早く行こうよ。僕早くあやお姉さんに会いたいな~」
「コナンくん、僕たち1度あやさんの病室に行ったよね?」
「ううん、まだ行ってないよ?ここに来たら高木刑事ソファに座って急に寝ちゃうんだもん。もしかして夢でも見たの?高木刑事」
…あれは夢だったのだろうか?
毛利さんの弟子の安室さんとコナンくんが「あやお姉さん」と呼ぶ女性の物騒なやりとりは夢…?
ずいぶんリアルだった気がするけど…
腑に落ちないままコナンくんと一緒に受付で教えられた病室前にたどり着くと夢で見た病室と寸分違わぬ場所だった
やはり先ほど来た気がするけどなぁ…
これは予知夢?
何ともしっくりこないまま扉をノックしようと手を上げるとコナンくんが慌てたように人差し指を口元にやり、静かにというジェスチャーをしてドアに耳を近づける
オレもコナンくんの真似をしてドアに耳を近づけた
これも夢と同じだ
デジャヴだろうか?
「もうこんな無理はしないでくれ、あや。…僕の寿命が縮むから」
「ごめんなさい、透さん」
中から聞こえてくる声に耳を澄ませた後、コナンくんを見ると止める間もなく彼はいきなりガラッと扉を開いた
「ちょっ!コっコナンくん!」
慌ててコナンくんを押さえようと手を伸ばした時、病室内が見て取れた
ベッドの上で頭に包帯を巻いた女性が上半身を起こしていて、それを毛利さんの弟子の安室さんが抱きしめてキスしていたところだった訳で…
その2人の姿は後ろの窓から差し込む逆光によってとても絵になっていた
オレと同じく中の様子を認識したコナンくんがフリーズしている
先に動くことのできたオレは彼の首根っこを掴むという荒技で手元に引き寄せ勢いよく扉を閉めた
「しっ…失礼しましたっ!」
廊下に響き渡る大きな声を出してしまったせいで看護師さんがスタッフステーションから顔を出す
顔を出した看護師さんに頭を下げ、コナンくんを床に下ろす
「………」
「………」
互いにチラリと合わせた顔は赤かった
病室内からの足音無く(オレが聞こえなかっただけ?)扉が開き、白々しいくらいにこやかな毛利さんの弟子安室さんが顔を見せた
一見にこやかで朗らかに見えるけど凄い威圧感がある
「何かご用ですか?」
「あやお姉さんの事情聴取をしに高木刑事が…」
「ほぉ。コナンくんは?」
「コナンくんはあやさんを心配して様子を見に来たいと言ったので僕が連れて…」
「…なるほど。分かりました」
安室さんと目を合わせられず2人で代わる代わる話すと腕組みをしていた安室さんが壁際に寄り中に招き入れてくれる
先ほどと変わらない体勢でベッドにいる女性が人質だった女性でコナンくんが「あやお姉さん」と呼んでいる人だ
安室さんがベッドの奥へスタスタ歩いて行く
どうやら事情聴取の間も彼女の側を離れるつもりは無いらしい
コナンくんもオレの横から動くつもりは無いようだ
居心地が悪いなと思いつつ、こちらにとても協力的なあやさんへの事情聴取を始めた
「…これで以上になります。また後日、お聞きしたいことがあるかもしれませんが、その時はまたご協力願いします。降谷あやさんお疲れさまでした」
事情聴取の最後は本人確認の意味も込めてフルネームで終わらせるようにしている
居心地は悪いままだったが協力的なあやさんのお陰で事情聴取は滞りなく済んだ
威圧的な雰囲気は変わらないけど一言も口出しせず、ただ黙ってあやさんの様子を見守っていた安室さんと、黙ってオレの横にいたコナンくん
実は2人に色々邪魔をされるのでは…と邪推していたが杞憂で終わったようだ
「事情聴取が終わったのでしたら本人も疲れているでしょうし、そろそろ休ませたいのですが」
相変わらずツンツンとトゲのある言い方をする安室さんを見上げ袖を引いて黙らせようとしてるあやさん
落ち着いてみてみると微笑ましい…気がしないでもない
「お邪魔しました。お大事にしてください。さぁ、コナンくん行こうか」
コナンくんを促して扉に向い退出する際、ふと気になったことを思い出したので扉に手を掛け足を止める
「つかぬ事をお伺いしますが、あやさんはお守りを持ち歩いたりしてますか?」
コナンくんは小さく「あっ」と声を発し、あやさんと安室さんは狐につままれた顔をしている
先ほどコナンくんには夢だと言われたことだったがオレにはどうも本当のことだったように思えたのだ
2人からみたら変な質問になってしまうが自分の中の疑問は解消しておきたかった
「お守り…というかアミュレットは身につけてます。…ほら」
胸元に光るU字の馬蹄モチーフに7色の宝石が下部にはめ込まれた可愛らしいネックレスを見せてくれる
「…えっと…これがお守り?アミュレット?」
女性のファッションに疎いオレはアミュレットがまず分からない
「アミュレットはお守りという意味ですね。7色のものを身に着けると魔除け・厄除けになるとされていて日本ではアクセサリーに7色の石を配置したデザインのものがアミュレットと呼ばれてることが多いです」
「へ…へぇ。そうなんですね」
先ほどのまで威圧感はどこへやらでアミュレットの知識を話してくれる安室さんに少し引き気味になりつつ、やっぱり先ほどのことはコナンくんの言うとおり夢だったのかと自分の中で結論を付けた
あんな小さなネックレスに盗聴器やら発信器を付けて気づかれないのは不可能だろう
「ありがとうございました。それでは失礼します」
「高木刑事お気を付けて。コナンくん、今日はありがとう」
「あやお姉さんが元気そうで良かったよ。またポアロで待ってるね」
あやさんが小さくコナンくんに手を振って、コナンくんもそれに手を振って答える
病室内に向けて頭を軽く下げ、扉を閉めようと掛けていた手に力を入れると扉が閉まる
閉まりきる直前、顔は見えなかったけど安室さんの低い声が聞こえた
「事情聴取の内容以外は他言無用でお願いしますね」
その声は今まで聞いた安室さんの声の中でも特に冷たく聞こえ、オレは身震いした