【DC】FELICITE
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ポアロには週に1~2度顔を出す常連のあやお姉さんがいる
あやお姉さんはいつも窓際の2人掛けの席に座り電子ペーパータブレットで何かを読んでいる
飲んでいるのは1杯目はホットコーヒー、2杯目はアイスコーヒー
大体2杯飲み終わると帰るけど時々ハムサンドを食べていたりする
今日はいつも来店した時と変わらず、タブレットで何かを読んで1杯目はホットコーヒー、2杯目はアイスコーヒーを飲んでからあやお姉さんは身支度をして梓さんに会計をして貰っていた
カランコロン
ポアロのドアベルが鳴り、あやお姉さんは店外へ出る時にこちらに手を振ってくれたので俺も手を振ってあやお姉さんの背中をボンヤリ見送る
「あ…」
と小さく安室さんの声がしたので振り返るとこちらに背を向けてあやお姉さんの席を片付けていた安室さんはこちらを振り返る
その手にはト音記号のキーホルダの付いた鍵が乗っていた
「梓さん、さっきのお客さん鍵忘れたみたいなのでちょっと追いかけてきますね」
「あら、あやさんが忘れ物って珍しいですね、安室さんお願いします」
梓さんの言葉が終わるか終わらないかの勢いで安室さんがドアベルを鳴らして外に飛び出し、迷うこと無く右へ向かって走って行ってしまった
あやお姉さんは右へ向かう日もあれば左に向かう日もあるのに、背を向けていたはずの安室さんはなぜ迷うこと無く右へ向かったんだろう
俺は何となく安室さんの様子が気になったので梓さんに挨拶をして安室さんの後を追いかけるのに店外に出た
しかし、既にあやお姉さんの姿も安室さんの姿も見えない
右に向かう場合、ポアロから30mほど先に車が入れない小道があるが行き止まりなのでそちらの道に入るとは考えにくく、大通りまでは他に曲がる場所はない
大通りまでは120mほどあるので徒歩ならば1分ほどかかる距離で俺が店外に出るまで1分とかかっておらず、安室さんが出て行ってからすぐ俺も出たのに2人の姿が見えない事に疑問を感じた
とりあえず大通りまで行ってみることにしようと走り出し、何気なく小道に目をやると安室さんの後ろ姿が見える
あやお姉さんを追いかけていたはずの安室さんが、何故行き止まりの小道にいるんだと疑問に感じつつ走っていた俺は歩みに切替え静かに近づくと安室さんの他に誰かがいるのに気がついた…というより、安室さんと抱き合ってるというか軽く頭を下げて…?
は?
安室さん?
誰と?
何を?
ここから見ているとキスしてるように見える状態に頭が処理出来ず、俺は思わず立ち止まって2人をじっと見つめてしまった
安室さんは俺が来ている事には気配で気づいているはずなのにキスをやめる様子はない…という事は俺に見せつけていると言うことか
大きな安室さんに姿を隠されているので俺の位置からは相手が誰か分からず、見続けているのが居たたまれない気持ちになってきて無意識に一歩後退るとジャリッと石を踏みしめた音がした
その音でようやく気がついた安室さんのキスの相手が安室さんの胸を押してやっと離れてこちらに顔を向けたのだが、それがあやお姉さんだったことで俺は更に呆気にとられた
なぜ安室さんとあやお姉さんがこんなところでキスをしているのだ?
今まで接点らしい接点も無く、ただの店員と常連客だと思っていたのだが?
「あ…コナンくん…」
あやお姉さんの声に俺の頭はフル回転しているが、あまりの出来事に結論出すことも反応することも出来ずにいた
こちらを見る色の残ったあやお姉さんの顔は初めて見る顔で不覚にもドキドキしてしまう
あやお姉さんの腰を抱き寄せた安室さんが今まで見せたこと無いような優しい視線をあやお姉さんに向けて促す
「あや、自己紹介して?きちんと名字から」
「え…?いいの?」
「彼は色々知ってるから大丈夫」
キュッと一度クチを引き結んだあやお姉さんは色香を包み隠しふんわり俺に微笑んだ
「降谷あやです。いつも夫がお世話になっております」
「は…?…え?…」
あやお姉さんの下の名前は知ってたけど苗字は知らなかった
この様子だと安室さんの言葉でも分かるとおり意図を持って隠されていたのだろう
呆気にとられてクチをぽかんと開き、2人を代わる代わる見つめてしまっていると安室さんが追い打ちを掛けてきた
「彼女は僕のお嫁さんです」
「そういう風に紹介して貰える時が来るとは思わなかったわ」
「あやには公に出来ずいつもすまないと思ってる」
呆れたように安室さんを見上げたあやお姉さんに対して安室さんはあやお姉さんの腰に回した手はそのままに空いてる方の手であやお姉さんの頬を愛おしそうに撫でるとあやお姉さんはくすぐったそうに目を細める
その様子をただひたすら俺は見つめていただけだったが、やっと言葉がクチをついて出てきた
「ご…っご主人にはいつもお世話になって…ます」
俺がそう返すとどちらともなく顔を見合わせて2人揃って破顔した
「『いつも夫がお世話になっております』って透さんの本来の職場の人以外の人にいつか言うのが夢だったのよ。まさか初めて言う相手がコナンくんだとは思わなかったけど」
あやお姉さんはそう言ってふんわりと微笑んでいた
「あや、ポアロに鍵忘れてたぞ」
「え?鍵出してたつもり無かったけど落としちゃったのかな。ありがとう、透さん」
「今日はポアロ終わったら帰る」
「はぁい、待ってますね、旦那さま」
「気をつけて帰れよ」
チャリと安室さんから手渡されたト音記号のキーホルダの付いた鍵を受け取ったあやお姉さんが手を振りながら大通りの方へ曲がっていった
手を振って見送っていた安室さんが
「僕はそろそろポアロに戻るけどコナンくんはどうするんだい?」
そう言い歩き出そうとしたので思わず袖を引っ張って引き留めた
「あ、安室さんはあやお姉さんと夫婦?…本当に?」
「そうだよ、あやとは幼なじみでね、高校卒業の日に結婚したんだ」
俺の目線に合わせるように少し屈んだ安室さんは自分の口に人差し指を添え
「皆には内緒にしててくれよ?」
パチンとウインク付きで言うので思わず安室さんを引っ張っていた袖を離してしまった
――恋人はこの国じゃなかったのか、この人っ
恋人じゃなくて奥さんだから間違ってないの…か?
聞きたいことはたくさんあるが、混乱している俺はそのどれもがクチをついて出てくる間もなく安室さんはポアロに向かって歩き出していた
その背中がちょっと楽しげに見えるのは俺の気のせいだろうか?
あやお姉さんはいつも窓際の2人掛けの席に座り電子ペーパータブレットで何かを読んでいる
飲んでいるのは1杯目はホットコーヒー、2杯目はアイスコーヒー
大体2杯飲み終わると帰るけど時々ハムサンドを食べていたりする
今日はいつも来店した時と変わらず、タブレットで何かを読んで1杯目はホットコーヒー、2杯目はアイスコーヒーを飲んでからあやお姉さんは身支度をして梓さんに会計をして貰っていた
カランコロン
ポアロのドアベルが鳴り、あやお姉さんは店外へ出る時にこちらに手を振ってくれたので俺も手を振ってあやお姉さんの背中をボンヤリ見送る
「あ…」
と小さく安室さんの声がしたので振り返るとこちらに背を向けてあやお姉さんの席を片付けていた安室さんはこちらを振り返る
その手にはト音記号のキーホルダの付いた鍵が乗っていた
「梓さん、さっきのお客さん鍵忘れたみたいなのでちょっと追いかけてきますね」
「あら、あやさんが忘れ物って珍しいですね、安室さんお願いします」
梓さんの言葉が終わるか終わらないかの勢いで安室さんがドアベルを鳴らして外に飛び出し、迷うこと無く右へ向かって走って行ってしまった
あやお姉さんは右へ向かう日もあれば左に向かう日もあるのに、背を向けていたはずの安室さんはなぜ迷うこと無く右へ向かったんだろう
俺は何となく安室さんの様子が気になったので梓さんに挨拶をして安室さんの後を追いかけるのに店外に出た
しかし、既にあやお姉さんの姿も安室さんの姿も見えない
右に向かう場合、ポアロから30mほど先に車が入れない小道があるが行き止まりなのでそちらの道に入るとは考えにくく、大通りまでは他に曲がる場所はない
大通りまでは120mほどあるので徒歩ならば1分ほどかかる距離で俺が店外に出るまで1分とかかっておらず、安室さんが出て行ってからすぐ俺も出たのに2人の姿が見えない事に疑問を感じた
とりあえず大通りまで行ってみることにしようと走り出し、何気なく小道に目をやると安室さんの後ろ姿が見える
あやお姉さんを追いかけていたはずの安室さんが、何故行き止まりの小道にいるんだと疑問に感じつつ走っていた俺は歩みに切替え静かに近づくと安室さんの他に誰かがいるのに気がついた…というより、安室さんと抱き合ってるというか軽く頭を下げて…?
は?
安室さん?
誰と?
何を?
ここから見ているとキスしてるように見える状態に頭が処理出来ず、俺は思わず立ち止まって2人をじっと見つめてしまった
安室さんは俺が来ている事には気配で気づいているはずなのにキスをやめる様子はない…という事は俺に見せつけていると言うことか
大きな安室さんに姿を隠されているので俺の位置からは相手が誰か分からず、見続けているのが居たたまれない気持ちになってきて無意識に一歩後退るとジャリッと石を踏みしめた音がした
その音でようやく気がついた安室さんのキスの相手が安室さんの胸を押してやっと離れてこちらに顔を向けたのだが、それがあやお姉さんだったことで俺は更に呆気にとられた
なぜ安室さんとあやお姉さんがこんなところでキスをしているのだ?
今まで接点らしい接点も無く、ただの店員と常連客だと思っていたのだが?
「あ…コナンくん…」
あやお姉さんの声に俺の頭はフル回転しているが、あまりの出来事に結論出すことも反応することも出来ずにいた
こちらを見る色の残ったあやお姉さんの顔は初めて見る顔で不覚にもドキドキしてしまう
あやお姉さんの腰を抱き寄せた安室さんが今まで見せたこと無いような優しい視線をあやお姉さんに向けて促す
「あや、自己紹介して?きちんと名字から」
「え…?いいの?」
「彼は色々知ってるから大丈夫」
キュッと一度クチを引き結んだあやお姉さんは色香を包み隠しふんわり俺に微笑んだ
「降谷あやです。いつも夫がお世話になっております」
「は…?…え?…」
あやお姉さんの下の名前は知ってたけど苗字は知らなかった
この様子だと安室さんの言葉でも分かるとおり意図を持って隠されていたのだろう
呆気にとられてクチをぽかんと開き、2人を代わる代わる見つめてしまっていると安室さんが追い打ちを掛けてきた
「彼女は僕のお嫁さんです」
「そういう風に紹介して貰える時が来るとは思わなかったわ」
「あやには公に出来ずいつもすまないと思ってる」
呆れたように安室さんを見上げたあやお姉さんに対して安室さんはあやお姉さんの腰に回した手はそのままに空いてる方の手であやお姉さんの頬を愛おしそうに撫でるとあやお姉さんはくすぐったそうに目を細める
その様子をただひたすら俺は見つめていただけだったが、やっと言葉がクチをついて出てきた
「ご…っご主人にはいつもお世話になって…ます」
俺がそう返すとどちらともなく顔を見合わせて2人揃って破顔した
「『いつも夫がお世話になっております』って透さんの本来の職場の人以外の人にいつか言うのが夢だったのよ。まさか初めて言う相手がコナンくんだとは思わなかったけど」
あやお姉さんはそう言ってふんわりと微笑んでいた
「あや、ポアロに鍵忘れてたぞ」
「え?鍵出してたつもり無かったけど落としちゃったのかな。ありがとう、透さん」
「今日はポアロ終わったら帰る」
「はぁい、待ってますね、旦那さま」
「気をつけて帰れよ」
チャリと安室さんから手渡されたト音記号のキーホルダの付いた鍵を受け取ったあやお姉さんが手を振りながら大通りの方へ曲がっていった
手を振って見送っていた安室さんが
「僕はそろそろポアロに戻るけどコナンくんはどうするんだい?」
そう言い歩き出そうとしたので思わず袖を引っ張って引き留めた
「あ、安室さんはあやお姉さんと夫婦?…本当に?」
「そうだよ、あやとは幼なじみでね、高校卒業の日に結婚したんだ」
俺の目線に合わせるように少し屈んだ安室さんは自分の口に人差し指を添え
「皆には内緒にしててくれよ?」
パチンとウインク付きで言うので思わず安室さんを引っ張っていた袖を離してしまった
――恋人はこの国じゃなかったのか、この人っ
恋人じゃなくて奥さんだから間違ってないの…か?
聞きたいことはたくさんあるが、混乱している俺はそのどれもがクチをついて出てくる間もなく安室さんはポアロに向かって歩き出していた
その背中がちょっと楽しげに見えるのは俺の気のせいだろうか?
1/10ページ