【DC】Con te
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◇◆◇
パタパタパタと廊下を走る音が遠く、耳に入る
深く沈み込んでいた意識がゆっくりと浮上し、重たい瞼を持ち上げた
左側に大きな窓があるこの部屋は昼間なら自然光をふんだんに窓から取り込み、外と変わらないくらいに明るくなる
しかし今は仄暗く窓の外にはまあるい月がひとつ、ぽっかりと浮かんでいるのが見えた
真っ暗じゃないのは月明かりが差し込んでいるからだ
私はどのくらい眠っていたのだろう、助け出されてからは気が付いたら意識がなくなっていることが多く、それは疲れのせいなのか、安心しているせいなのか、身体が怪我の回復させるためなのか…
ここに運び込まれてからどれだけの時間が経っているのかも分からず朧気だったけど、ヒロやれーくんに会った時より時間が経っているせいか痛みは少し和らぎ多少なら身体が動かせるようになっていた
ミルキーな光を届けてくれている月をぼんやり眺めていると、静かにドアの開く音がする
窓の外を見ていた顔をドアの方向に向けると暗い室内に入り込んだ大きな人陰が私の方に向かってきているのが見て取れた
見慣れた人陰、見慣れた歩き方、聞き慣れた足音が近づく
「起きてたのか」
思い描いていた人の優しい声に「ん」と小さく返事をした
れーくんは仄かな月明かりを頼りに私の横にたどり着き、ベッドの側にあった丸椅子をコンッと音を立てて自分の良い位置に動かし腰を下ろす
キシッと丸椅子が悲鳴を上げた
掛け布団の上に出していた私の左腕には点滴の留置針が刺さっており、点滴スタンドに掛けられた点滴バッグにチューブで繋がれている
点滴バッグからは透明な液体がぽたり、ぽたりとゆったりとしたペースで私の体に流れてきている
ベッドに寝ていた私も、その横に座ったれーくんもお互いに言葉を発することなく時間がゆっくりと過ぎる
どれだけ時間が経っただろうか…
「あや、約束通り話しをしにきたよ」
ドアの向こうの喧噪を余所に静寂を保っていた部屋
その部屋の壁や天井、床にれーくんの意思の篭もった声が吸い込まれていき、私はこの時が来たか…と身構え、ゴクリと息を呑んだ
「…れーくん、ベッド起こして貰っていい?」
横になった状態でれーくんの話を聞くのはイヤだった
なのでベッドを起こして欲しいと強請るとれーくんは逡巡した後、私の顔を覗き込んだ
仄かな月明かりとは言え、お互いに目は慣れているので表情くらいは分かる
小さな軋み音を立てた丸椅子から立ち上がったれーくんは私の頭上ベッドサイドにある操作盤を手に取りボタンを押したようで低いモータ音と共にゆっくりと体を預けているベッドの上体部分が起きあがった
「ありがとう」
声を掛けると操作盤を元に戻したれーくんが私の右側のベッドへ腰掛ける
ギシッとベッドかられーくんの体重を支える音がしてマットレスが少しだけ右へ沈んだ
「身体の具合は?」
そう言いながら私の頬に触れたれーくんの手の温かさに胸がキュッとなる
「…ずいぶん良くなったよ。れーくん、ありがとう」
「そうか。……あや…僕は…」
何か言いたそうなれーくんの言葉を私は急かすこと無くゆっくりと待つ
口を開きかけて、一旦閉じて…を何度か繰り返したれーくんは包帯に包まれている私の右腕を何度も何度も優しく撫でる
「痛くない?」と傷の様子を案じる言葉に私は首を横に振った
包帯の上からでも感じる、優しく撫でられる感覚に背筋がゾクゾクとする
「あやの右腕守れなくてごめん」
「これだけで済んだのはバーボンであの場に居てくれたれーくんのおかげ。だから…謝らないで」
「本当は……あやにバーボンの姿だけは見られたくなかった…」
「…そんなこと…言わないで…。降谷零も安室透もバーボンも…私にとってみんな大切なれーくんなの。バーボンは見られたくなかったなんて、そんな…悲しいこと言わないで…」
自然に浮かんだ涙がぽろりと頬を伝い、その涙をれーくんの指が優しく拭い取る
その手に頬をすり寄せれーくんを見上げると今にも泣き出しそうな…それでいて穏やかな顔をしていた
「…ここ、痕が残るだろう?」
「私は左利きだから今でもそこまで不便はないし痕が残っても平気。だから…もう気にしないで。今後もれーくんの思うようにやってほしいの。私はれーくんのサポートが出来るように頑張るか…らっ」
そこまで言った時、強い力で後頭部をれーくんの方へ引き寄せられてれーくんの胸に顔から飛び込んだ
厚い胸板に鼻から激突した衝撃で鼻の奥がつんと痛い
エゴイストプラチナムの香りが強くなる
頭を上げようと少し力を入れてもビクともしなかった
「…あや、俺を男として見て欲しい。……好きだよ、ずっと…本当に長い間ずっと…ずっと好きだった」
私を抱きしめるれーくんの手に力がこもる
包帯に包まれている右腕をれーくんの背に回し、私も片腕だけでれーくんにしがみついた
「……私も…好き」
私を抱きしめるれーくんの手に更に力が入り、ふと弱まったので顔を上げると仄暗い中でもキラキラ光る秘色の瞳と目が合う
ゆっくりと近づくれーくんに合わせるように私は目を閉じた
パタパタパタと廊下を走る音が遠く、耳に入る
深く沈み込んでいた意識がゆっくりと浮上し、重たい瞼を持ち上げた
左側に大きな窓があるこの部屋は昼間なら自然光をふんだんに窓から取り込み、外と変わらないくらいに明るくなる
しかし今は仄暗く窓の外にはまあるい月がひとつ、ぽっかりと浮かんでいるのが見えた
真っ暗じゃないのは月明かりが差し込んでいるからだ
私はどのくらい眠っていたのだろう、助け出されてからは気が付いたら意識がなくなっていることが多く、それは疲れのせいなのか、安心しているせいなのか、身体が怪我の回復させるためなのか…
ここに運び込まれてからどれだけの時間が経っているのかも分からず朧気だったけど、ヒロやれーくんに会った時より時間が経っているせいか痛みは少し和らぎ多少なら身体が動かせるようになっていた
ミルキーな光を届けてくれている月をぼんやり眺めていると、静かにドアの開く音がする
窓の外を見ていた顔をドアの方向に向けると暗い室内に入り込んだ大きな人陰が私の方に向かってきているのが見て取れた
見慣れた人陰、見慣れた歩き方、聞き慣れた足音が近づく
「起きてたのか」
思い描いていた人の優しい声に「ん」と小さく返事をした
れーくんは仄かな月明かりを頼りに私の横にたどり着き、ベッドの側にあった丸椅子をコンッと音を立てて自分の良い位置に動かし腰を下ろす
キシッと丸椅子が悲鳴を上げた
掛け布団の上に出していた私の左腕には点滴の留置針が刺さっており、点滴スタンドに掛けられた点滴バッグにチューブで繋がれている
点滴バッグからは透明な液体がぽたり、ぽたりとゆったりとしたペースで私の体に流れてきている
ベッドに寝ていた私も、その横に座ったれーくんもお互いに言葉を発することなく時間がゆっくりと過ぎる
どれだけ時間が経っただろうか…
「あや、約束通り話しをしにきたよ」
ドアの向こうの喧噪を余所に静寂を保っていた部屋
その部屋の壁や天井、床にれーくんの意思の篭もった声が吸い込まれていき、私はこの時が来たか…と身構え、ゴクリと息を呑んだ
「…れーくん、ベッド起こして貰っていい?」
横になった状態でれーくんの話を聞くのはイヤだった
なのでベッドを起こして欲しいと強請るとれーくんは逡巡した後、私の顔を覗き込んだ
仄かな月明かりとは言え、お互いに目は慣れているので表情くらいは分かる
小さな軋み音を立てた丸椅子から立ち上がったれーくんは私の頭上ベッドサイドにある操作盤を手に取りボタンを押したようで低いモータ音と共にゆっくりと体を預けているベッドの上体部分が起きあがった
「ありがとう」
声を掛けると操作盤を元に戻したれーくんが私の右側のベッドへ腰掛ける
ギシッとベッドかられーくんの体重を支える音がしてマットレスが少しだけ右へ沈んだ
「身体の具合は?」
そう言いながら私の頬に触れたれーくんの手の温かさに胸がキュッとなる
「…ずいぶん良くなったよ。れーくん、ありがとう」
「そうか。……あや…僕は…」
何か言いたそうなれーくんの言葉を私は急かすこと無くゆっくりと待つ
口を開きかけて、一旦閉じて…を何度か繰り返したれーくんは包帯に包まれている私の右腕を何度も何度も優しく撫でる
「痛くない?」と傷の様子を案じる言葉に私は首を横に振った
包帯の上からでも感じる、優しく撫でられる感覚に背筋がゾクゾクとする
「あやの右腕守れなくてごめん」
「これだけで済んだのはバーボンであの場に居てくれたれーくんのおかげ。だから…謝らないで」
「本当は……あやにバーボンの姿だけは見られたくなかった…」
「…そんなこと…言わないで…。降谷零も安室透もバーボンも…私にとってみんな大切なれーくんなの。バーボンは見られたくなかったなんて、そんな…悲しいこと言わないで…」
自然に浮かんだ涙がぽろりと頬を伝い、その涙をれーくんの指が優しく拭い取る
その手に頬をすり寄せれーくんを見上げると今にも泣き出しそうな…それでいて穏やかな顔をしていた
「…ここ、痕が残るだろう?」
「私は左利きだから今でもそこまで不便はないし痕が残っても平気。だから…もう気にしないで。今後もれーくんの思うようにやってほしいの。私はれーくんのサポートが出来るように頑張るか…らっ」
そこまで言った時、強い力で後頭部をれーくんの方へ引き寄せられてれーくんの胸に顔から飛び込んだ
厚い胸板に鼻から激突した衝撃で鼻の奥がつんと痛い
エゴイストプラチナムの香りが強くなる
頭を上げようと少し力を入れてもビクともしなかった
「…あや、俺を男として見て欲しい。……好きだよ、ずっと…本当に長い間ずっと…ずっと好きだった」
私を抱きしめるれーくんの手に力がこもる
包帯に包まれている右腕をれーくんの背に回し、私も片腕だけでれーくんにしがみついた
「……私も…好き」
私を抱きしめるれーくんの手に更に力が入り、ふと弱まったので顔を上げると仄暗い中でもキラキラ光る秘色の瞳と目が合う
ゆっくりと近づくれーくんに合わせるように私は目を閉じた