【DC】Con te
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◇◆◇
後ろ髪を引かれる思いを抱えつつもあやの病室を出てデイルームの方へ向かうとそこにヒロと風見がいた
風見は何とも複雑そうな顔をしつつもヒロと目線を合わせるため屈み込んでいる
その様子は僕より背の高い風見は少し窮屈そうに見えた
ヒロもそれには気が付いているみたいだが身体的な部分でどうしようもないと諦めているようで風見のすぐ側で何やら話している
「ゼロ!」
僕に気が付いたヒロが声を掛けてくる
風見が立ち上がり、居住まいを正す
「風見、あやを頼む。警護を付けてくれ。あやから絶対目を離すな」
「はい」
「よろしく頼む。ヒロ、行こう」
「おぅ」
ヒロは風見に手を振り、僕の横に付こうと必死に足を動かすがリーチが違うせいかほぼ走っている状態だった
それに気が付き少しだけ歩みを緩め、車に向かい運転席のドアを開けると助手席のドアを開けようとしているヒロが目に入る
今のヒロの身長ではFDのドアノブに手がかかっても引くことが出来ないようだった
他の車とは違い少々高い位置にドアノブがあるので仕方ない、内側からドアを開けてやると黙って飛び乗るように助手席に座ったヒロは勢いを付けてドアを閉めた
2ドアの車のドアは4ドアのドアより大きく重いので今のヒロだと勢いを付けないと締められないのだろう
バタンという音と共に外の音が遮断され遠くなる
グローブボックスに入れてある黄色の盗聴発見器の電源を入れるとトットットットッと断続的な音が流れる。音の変化がないことを確認した後、電源を切った
この発見器は音に変化があった場合、別のモードに切り替えて盗聴器などの位置を特定できる小型だが優れものだ
グローブボックスに発見器を直した僕はようやく口を開いた
「あやには動くなとは言ったし、風見にも任せてはある。だけどヒロにはあやを目の前で見ていて欲しい」
その言葉にこれから一緒に行動するのだと思っていただろうヒロは目を見開き僕を見た
口を真一文字に引き結び、小さな手がギュッと握りしめられる様子が見て取れる
ヒロは何か言いたげにこちらに時折視線を向けるけど僕はそれに気がつかないフリをした
今のヒロは流石に小さくなったと言っても面影があるし、エルはスコッチに何度も会っているのだ、スコッチが実は生きていると知られるわけにも気づかれるわけにもいかなかった
「後は僕に任せて欲しい」
「…分かった」
表情を緩めてふぅと溜息を吐いたヒロに、僕も上司として命令する形ではなくヒロが受け入れてくれたことに心の中でホッとした
幼馴染みで同じ組織に潜入している同士であるヒロに上司としての権力は使いたくなかったからだ
車内の重苦しかった空気が軽くなった気がする
握り拳を作っていたヒロが自身の拳を見ながらそっと指の力を抜いていた
昔懐かしいヒロの姿に目尻が緩んだ
19時30分、米花駅前ロータリーに到着しハザードを付けて車を歩道へ寄せる
エルに指定された時間は20時、バーボンは時間厳守、女性は待たせないというスタンスでやっているので早めに到着し、エルが来るまで待つ
ステアリングに両腕を乗せ、その上に顎を預けた僕は米花駅へ吸い込まれていく人、吐き出されてくる人をぼんやりと眺めながらヒロから聞いた話を回顧していた
ライがどうしてスコッチを助けたのか、僕には全く考えが及ばなかった
ただの気まぐれ?
…ライに限ってそれはないだろう
仮にスコッチが生きてると組織にバレたら始末されるのはライの方だ
無駄なことは一切しないし危ない橋を渡らない男なのはよく知っている
ヒロが何かを隠してる気がするが、それを問いただして良いのか判断は付かなかった
あやは知ってるのかもしれないが今はそれを聞き出せる状況ではないし、彼女には組織に関わるこの一連の件を早く忘れて欲しい気持ちが強い
そうなるとこのままヒロが話してくれるのを待つのが一番良いのだろう
今後は、まずエルと共に行動しヒロが言う警察内のユダを特定することが先決だ
エルがいる場で僕が警察からの潜入捜査官とバレるのだけは絶対避けねればならない
警察内部にいるというユダと出会った時、僕はどう対応すべきか…
やっとここまで来たのだ、ここで失態を犯すわけにはいかないしあやと話をすると約束しているのだ、絶対に無事で帰らなければならない
エルはユダをそれなりに信用しているようだし、エルの目の前で僕がNOCだとバラされたら元も子もない
ユダは組織に入りたいらしいが本当の目的はそれだけなのだろうか?
時計を見ると19時46分
意外にも時間に正確なエルならもう少しで到着するだろう
スマホを手に取り風見にコールするとワンコールで風見が応答する
「あぁ、風見か。これから警察内にいる裏切り者、ユダに接触する。今は米花駅前にいるが僕のスマホの位置情報から常に僕の位置を把握して欲しい。僕はいつもの盗聴器を身につけておくから僕の半径20m以内でバックアップできるよう準備しておいてくれ。10分以内だ」
風見の返答を聞かず電話を切る
会うところまで話はトントン拍子だった
それは情報屋としてのバーボンはエルからそれなりの信頼を得られているからだろう
今エルに疑われでもしたら面倒なのでエルの前ではユダに対して下手に小細工せず風見に任せるのが一番だ
組織に始末するように指示された人物も今まで同様の方法にて警察で身柄を拘束しているので今回もそのつもりで風見も動くだろう
風見はヒロの話とエルの話をつなぎ合わせるとユダである可能性は限り無くゼロだろう
その為、僕も全幅の信頼を寄せているし、言葉少なでも全容を理解しようと努力してくれる良い部下だ
風見にユダを回収させる…!
今後の行動指針が決まったところで気を緩め、ふと改札へ目を向けるとちょうど改札を抜けようとしていたエルが目に入った
裏の世界では世界的に有名な組織幹部の人間でも一般人に混じって公共交通機関を利用している様が何だか滑稽に見えた
後ろ髪を引かれる思いを抱えつつもあやの病室を出てデイルームの方へ向かうとそこにヒロと風見がいた
風見は何とも複雑そうな顔をしつつもヒロと目線を合わせるため屈み込んでいる
その様子は僕より背の高い風見は少し窮屈そうに見えた
ヒロもそれには気が付いているみたいだが身体的な部分でどうしようもないと諦めているようで風見のすぐ側で何やら話している
「ゼロ!」
僕に気が付いたヒロが声を掛けてくる
風見が立ち上がり、居住まいを正す
「風見、あやを頼む。警護を付けてくれ。あやから絶対目を離すな」
「はい」
「よろしく頼む。ヒロ、行こう」
「おぅ」
ヒロは風見に手を振り、僕の横に付こうと必死に足を動かすがリーチが違うせいかほぼ走っている状態だった
それに気が付き少しだけ歩みを緩め、車に向かい運転席のドアを開けると助手席のドアを開けようとしているヒロが目に入る
今のヒロの身長ではFDのドアノブに手がかかっても引くことが出来ないようだった
他の車とは違い少々高い位置にドアノブがあるので仕方ない、内側からドアを開けてやると黙って飛び乗るように助手席に座ったヒロは勢いを付けてドアを閉めた
2ドアの車のドアは4ドアのドアより大きく重いので今のヒロだと勢いを付けないと締められないのだろう
バタンという音と共に外の音が遮断され遠くなる
グローブボックスに入れてある黄色の盗聴発見器の電源を入れるとトットットットッと断続的な音が流れる。音の変化がないことを確認した後、電源を切った
この発見器は音に変化があった場合、別のモードに切り替えて盗聴器などの位置を特定できる小型だが優れものだ
グローブボックスに発見器を直した僕はようやく口を開いた
「あやには動くなとは言ったし、風見にも任せてはある。だけどヒロにはあやを目の前で見ていて欲しい」
その言葉にこれから一緒に行動するのだと思っていただろうヒロは目を見開き僕を見た
口を真一文字に引き結び、小さな手がギュッと握りしめられる様子が見て取れる
ヒロは何か言いたげにこちらに時折視線を向けるけど僕はそれに気がつかないフリをした
今のヒロは流石に小さくなったと言っても面影があるし、エルはスコッチに何度も会っているのだ、スコッチが実は生きていると知られるわけにも気づかれるわけにもいかなかった
「後は僕に任せて欲しい」
「…分かった」
表情を緩めてふぅと溜息を吐いたヒロに、僕も上司として命令する形ではなくヒロが受け入れてくれたことに心の中でホッとした
幼馴染みで同じ組織に潜入している同士であるヒロに上司としての権力は使いたくなかったからだ
車内の重苦しかった空気が軽くなった気がする
握り拳を作っていたヒロが自身の拳を見ながらそっと指の力を抜いていた
昔懐かしいヒロの姿に目尻が緩んだ
19時30分、米花駅前ロータリーに到着しハザードを付けて車を歩道へ寄せる
エルに指定された時間は20時、バーボンは時間厳守、女性は待たせないというスタンスでやっているので早めに到着し、エルが来るまで待つ
ステアリングに両腕を乗せ、その上に顎を預けた僕は米花駅へ吸い込まれていく人、吐き出されてくる人をぼんやりと眺めながらヒロから聞いた話を回顧していた
ライがどうしてスコッチを助けたのか、僕には全く考えが及ばなかった
ただの気まぐれ?
…ライに限ってそれはないだろう
仮にスコッチが生きてると組織にバレたら始末されるのはライの方だ
無駄なことは一切しないし危ない橋を渡らない男なのはよく知っている
ヒロが何かを隠してる気がするが、それを問いただして良いのか判断は付かなかった
あやは知ってるのかもしれないが今はそれを聞き出せる状況ではないし、彼女には組織に関わるこの一連の件を早く忘れて欲しい気持ちが強い
そうなるとこのままヒロが話してくれるのを待つのが一番良いのだろう
今後は、まずエルと共に行動しヒロが言う警察内のユダを特定することが先決だ
エルがいる場で僕が警察からの潜入捜査官とバレるのだけは絶対避けねればならない
警察内部にいるというユダと出会った時、僕はどう対応すべきか…
やっとここまで来たのだ、ここで失態を犯すわけにはいかないしあやと話をすると約束しているのだ、絶対に無事で帰らなければならない
エルはユダをそれなりに信用しているようだし、エルの目の前で僕がNOCだとバラされたら元も子もない
ユダは組織に入りたいらしいが本当の目的はそれだけなのだろうか?
時計を見ると19時46分
意外にも時間に正確なエルならもう少しで到着するだろう
スマホを手に取り風見にコールするとワンコールで風見が応答する
「あぁ、風見か。これから警察内にいる裏切り者、ユダに接触する。今は米花駅前にいるが僕のスマホの位置情報から常に僕の位置を把握して欲しい。僕はいつもの盗聴器を身につけておくから僕の半径20m以内でバックアップできるよう準備しておいてくれ。10分以内だ」
風見の返答を聞かず電話を切る
会うところまで話はトントン拍子だった
それは情報屋としてのバーボンはエルからそれなりの信頼を得られているからだろう
今エルに疑われでもしたら面倒なのでエルの前ではユダに対して下手に小細工せず風見に任せるのが一番だ
組織に始末するように指示された人物も今まで同様の方法にて警察で身柄を拘束しているので今回もそのつもりで風見も動くだろう
風見はヒロの話とエルの話をつなぎ合わせるとユダである可能性は限り無くゼロだろう
その為、僕も全幅の信頼を寄せているし、言葉少なでも全容を理解しようと努力してくれる良い部下だ
風見にユダを回収させる…!
今後の行動指針が決まったところで気を緩め、ふと改札へ目を向けるとちょうど改札を抜けようとしていたエルが目に入った
裏の世界では世界的に有名な組織幹部の人間でも一般人に混じって公共交通機関を利用している様が何だか滑稽に見えた