【DC】Con te
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◇◆◇
突として聞こえた子どもの声
何故か懐かしい、聞き覚えのある声があやの名を呼んだ気がして僕は声の方を振り返った
視線の先には東京スピリッツの帽子を被った子どもがいて、こちらに勢いよく駆けてくるその走り方に覚えがある、見たことがある
昔、僕と一緒になって走り回っていた幼なじみで親友だったヒロによく似ていた
思わず懐かしさから足を止め、あやを抱き上げる手に力を込め子どもがこちらに猛然と向かってくる様子を見守っていると子どもは僕の目の前にたどり着き、両膝に手を置きハァハァと荒く息を乱している
顔は帽子に阻まれて見えないがあやと同じ香水の香りがふわりと香った
まさか…?
まさか…!
あり得ない…
あり得るはずが無い…
子どもに目がくぎづけになり、視線を逸らせなくなった
「降谷さん、こちらです」
僕の姿を見受けた風見の声が聞こえるが微動だにすることもできなかった
呼吸が少し整った子どもが顔を上げる――
抱きかかえていたあやを取り落としそうになった
そこにいる、僕の目の前にいる子どもは昔見たヒロによく似ているのだ
「ヒ…ロ…?ヒロなのか…?」
「あやは…あやはどうしたんだ?!」
僕の問いに答えることなく必死の形相で僕が抱きかかえているあやの顔を覗き込もうとするヒロ似の子ども
身長が全然足りてないヒロ似の子どもは僕が抱きかかえているせいであやの顔を見ることが出来ないでいた
屈み込みヒロ似の子どもが見える位置まであやを下ろすと覗き込んだヒロ似の子どもはあやの痛々しい様子に顔をしかめた
「あや!ゼロ、あやに何があった?!」
キッと僕を睨み付けるように真正面から見据えるヒロ似の子どもに言葉を失う
あぁ、ヒロだ…
僕のことを「ゼロ」と呼ぶのはこの世でただ1人しかいない
色々な思いが溢れて声にならず、思わずあやを強く抱きしめた
力なく僕に身を任せているあやの身体は温かく、とくんとくんと心臓の鼓動を感じられる
「降谷さん!」
すぐ近くまで来ていた風見の声に我に返った
ヒロに一瞥の視線を送り、大股で風見のスカイラインへ向かう
僕の視線の意味が分かったのだろう、僕の後ろからヒロが必死に付いてきてリアシートにあやを横たわらせると汗と血と涙で汚れたあやの頬を小さな手でそっと撫でた
「風見!あやを頼む」
「はいっ!」
「あやはチオペンタールを投与されているようだ。”外”とあったから外にも薬剤が入っているだろう。これがアンプルだ、中身はほとんど残ってないが一応分析を頼む
あやの右腕は応急処置はしてあるがメスで傷つけられている。あやはこのまま病院へ。後の判断は任せる」
「はいっ」
「風見さん、あやを頼みます」
「…?はい?」
あやを諸々の指示と共に風見に託すとヒロも風見にあやを託す言葉をかける
しかし風見はヒロだと分からないのか、微妙な顔をしながらも車に乗り込み発進させた
それを見送ってからヒロを見下ろすとヒロは何かに気づいたのか急に帽子を目深に被り僕から視線を逸らす
「…あやは自白剤を投与されたんだ」
ヒロの目線に合わせるように僕は屈み込みながら言った
「!!」
弾かれるように目を見開き顔を上げたヒロ
「チオペンタール、これは麻酔薬のひとつだ。これに何らかの薬剤を外に調合して自白剤として利用していたようだ」
つり上がったあやによく似たアーモンド型の目が眇められた
「僕がそばにいたのに済まない」
「…降谷が悪いわけじゃない…。あやを助けてくれてありがとう…ゼロ」
この頃のヒロはあやと同じアーモンド型の目をしていて成長とともに切れ長の目になっていったんだったな…と懐かしく思い出すがそれは後で回顧しよう
まずはこのヒロの姿について…だ
「その姿、何があったのか説明してくれ、ヒロ」
そうヒロに言葉を投げかけると観念した様子のヒロはゆっくりと肯首した――
◇◆◇
突として聞こえた子どもの声
何故か懐かしい、聞き覚えのある声があやの名を呼んだ気がして僕は声の方を振り返った
視線の先には東京スピリッツの帽子を被った子どもがいて、こちらに勢いよく駆けてくるその走り方に覚えがある、見たことがある
昔、僕と一緒になって走り回っていた幼なじみで親友だったヒロによく似ていた
思わず懐かしさから足を止め、あやを抱き上げる手に力を込め子どもがこちらに猛然と向かってくる様子を見守っていると子どもは僕の目の前にたどり着き、両膝に手を置きハァハァと荒く息を乱している
顔は帽子に阻まれて見えないがあやと同じ香水の香りがふわりと香った
まさか…?
まさか…!
あり得ない…
あり得るはずが無い…
子どもに目がくぎづけになり、視線を逸らせなくなった
「降谷さん、こちらです」
僕の姿を見受けた風見の声が聞こえるが微動だにすることもできなかった
呼吸が少し整った子どもが顔を上げる――
抱きかかえていたあやを取り落としそうになった
そこにいる、僕の目の前にいる子どもは昔見たヒロによく似ているのだ
「ヒ…ロ…?ヒロなのか…?」
「あやは…あやはどうしたんだ?!」
僕の問いに答えることなく必死の形相で僕が抱きかかえているあやの顔を覗き込もうとするヒロ似の子ども
身長が全然足りてないヒロ似の子どもは僕が抱きかかえているせいであやの顔を見ることが出来ないでいた
屈み込みヒロ似の子どもが見える位置まであやを下ろすと覗き込んだヒロ似の子どもはあやの痛々しい様子に顔をしかめた
「あや!ゼロ、あやに何があった?!」
キッと僕を睨み付けるように真正面から見据えるヒロ似の子どもに言葉を失う
あぁ、ヒロだ…
僕のことを「ゼロ」と呼ぶのはこの世でただ1人しかいない
色々な思いが溢れて声にならず、思わずあやを強く抱きしめた
力なく僕に身を任せているあやの身体は温かく、とくんとくんと心臓の鼓動を感じられる
「降谷さん!」
すぐ近くまで来ていた風見の声に我に返った
ヒロに一瞥の視線を送り、大股で風見のスカイラインへ向かう
僕の視線の意味が分かったのだろう、僕の後ろからヒロが必死に付いてきてリアシートにあやを横たわらせると汗と血と涙で汚れたあやの頬を小さな手でそっと撫でた
「風見!あやを頼む」
「はいっ!」
「あやはチオペンタールを投与されているようだ。”外”とあったから外にも薬剤が入っているだろう。これがアンプルだ、中身はほとんど残ってないが一応分析を頼む
あやの右腕は応急処置はしてあるがメスで傷つけられている。あやはこのまま病院へ。後の判断は任せる」
「はいっ」
「風見さん、あやを頼みます」
「…?はい?」
あやを諸々の指示と共に風見に託すとヒロも風見にあやを託す言葉をかける
しかし風見はヒロだと分からないのか、微妙な顔をしながらも車に乗り込み発進させた
それを見送ってからヒロを見下ろすとヒロは何かに気づいたのか急に帽子を目深に被り僕から視線を逸らす
「…あやは自白剤を投与されたんだ」
ヒロの目線に合わせるように僕は屈み込みながら言った
「!!」
弾かれるように目を見開き顔を上げたヒロ
「チオペンタール、これは麻酔薬のひとつだ。これに何らかの薬剤を外に調合して自白剤として利用していたようだ」
つり上がったあやによく似たアーモンド型の目が眇められた
「僕がそばにいたのに済まない」
「…降谷が悪いわけじゃない…。あやを助けてくれてありがとう…ゼロ」
この頃のヒロはあやと同じアーモンド型の目をしていて成長とともに切れ長の目になっていったんだったな…と懐かしく思い出すがそれは後で回顧しよう
まずはこのヒロの姿について…だ
「その姿、何があったのか説明してくれ、ヒロ」
そうヒロに言葉を投げかけると観念した様子のヒロはゆっくりと肯首した――
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