【DC】Con te
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◇◆◇
―――
昨晩あやと話し合いをしたけど互いの意見は平行線のままだった
俺はあやには組織に直接関わって欲しくなかった…しかし頑固なあやは組織近くの人間―ヴェレーノ教授―の元に潜入すると言い出した
全力で反対をしたがあやのことだ、俺に隠れて潜入するに決まっている
これは双子だから分かるのではなく、あやのことをよく知ってる人なら簡単に予想の付くことだった
ライのところから戻ってきた後、あやは1人で外出していた
帰ってきた時、携帯会社の紙袋を手にしていたのでスマホを契約しに行ったのだろう
あやが潜入時に使っていたスマホは今俺の手の中にあるのだ
あやの行動は潜入しますと名言しているのと変わらないが本人は気が付いているのか…甚だ心配だ
潜入する時のあやはプライベートのスマホは持ち歩かない
そこから身バレするのを防ぐためだと以前言っていた
確かに自分に置き換えてみてもその考え方は正しい
俺はプライベートのスマホを所持したまま潜入していたが、結果そのスマホが組織の手に渡らないよう破壊するに至っていたのだから
あやが必ず身につけているブレスレットは何かあったら位置情報が通知されるとは言え、新しい潜入用のスマホ内部に発信器をすぐ取り付け連動させることは難しく、潜入したあやに何かがあっても今のままでは俺が知るすべは無いに等しい
あの様子だとあやは俺に黙って潜入するだろうし、何かあっても俺に通知されないということに気が回ってない可能性があった
それならば…と就寝していたあやの部屋に忍び込み、あやの時計の電池を抜き時計が動かなくなったことを確認した
潜入時、時間の把握をするためにスマホの画面をいちいち見るというのはとても効率が悪く、腕時計が最も適しているため明日の潜入時、あやは必ず時計をしていくだろう
あやの部屋を出てリビングに戻り、テーブルの上に俺の時計を置いておいた
その時計の文字盤の裏には公安でよく使う薄い貼付タイプの発信器を付けておくことも忘れない
この発信器は電池容量が少ないので動作後24時間しか使えないが、あやなら明日の朝一番で動くだろうから十分役に立つ
本来ならばこの時計をしている時に何らかのことがあったらあやのプライベートスマホに通知がいくが、俺の携帯は先日撃ち抜いてしまっていて通知機能は使えないのでこうすることにしたのだ
スマホから発信機の電波を受信、表示出来るアプリを起動し発信器のシリアルナンバーを入れ少し待つと発信器付時計の現在地が青い点で表示される
今俺がいるこの場所だ
これで準備は整った
腕時計が止まっていることにあやが気づいたらリビングに置いてある俺の時計を持っていくだろう
あやは腕時計を1本しか持っておらず、大きくて無骨な男性ものの時計と言えど無いより遙かにマシと判断して持っていくはずだ
―――
早朝、俺がまだ寝ていると思っているあやがこっそり家を出て行った
玄関のドアが閉まる音、鍵がかかる音
それらの音を聞き届けベッドから身を起こしリビングへ行くとテーブルの上に置いておいた俺の発信器付時計は見当たらなかった
思惑通り、あやは持っていってくれたようだ
アプリを起動し、履歴から昨日入力したシリアルナンバーを選択して位置が表示されるのを待つ
10秒ほど経過した後、青い点がMAP上で移動しているところを表示した
感度も良さそうだ
青い点は家から徒歩20分程の距離にある東都大学の方へ向かっている
昨日あれだけ反対し止めたにも関わらずやっぱりあやはヴェレーノ教授のところへ潜入する気なのだろう
素早く着替え、スマホをポケットにねじ込み東京スピリッツの帽子を目深にかぶる
あやを追いかけるため家を飛び出した
朝早い時間と言えど、未就学児がキャンパス内にいるというのはとても目立つもので、青い点がキャンパス内の奥にある棟へ向かっていたのは分かっているけど俺は入ることを躊躇していた
あやも一人前の公安職員であり潜入捜査官なので無茶はしない…と思いたい
普段のあやは慎重だが俺のこととなると少々短絡的になる部分があるのでそこが心配だった
校門前にあるコーヒーチェーン店に入り奇異の目で見られているが気にせず注文して窓際の席に座した
そしてアプリで様子を見ていると青い点が止まる
そのまま見ているとほんの少しだけ移動して表示が消えた
!!
発信器の電池が切れたのか?
精密機器なのでたまに調子が悪いものもあるだろう
偶然それに当たってしまったのだろうか
それとも電波の届かないところ…例えば地下室などに入ったのか?
青い点が消えて悶々としながら過ぎた1時間、自分の中で決めていたタイムリミットを迎えた
あやの動向が追えなくなって1時間経ったら自分自身で追うことにしようと決めていたのだ
残り少ないグリーンティラテを一気にあおり席を立った
人目も憚らずキャンパス内を青い点が消えた棟へ走り向かう
途中訝しそうな顔をした学生たちのグループとすれ違い、声を掛けられたが足を止めずひたすら目的地を目指す
ほんの数日前までの俺と違い、今の俺は子どもなので足の長さが違うせいか気持ちは急くが自分が思っているような速度が出せずイライラする
青い点が消えたのは校門からキャンパス内の中でも一番奥まったところで、たどり着いてみるとすぐ側にメッシュフェンスがあり、その向こうは道路だった
裏道なためか車通りはほとんどなく、通用口らしき小さな門がある
侵入するのにおあつらえ向きなその環境に「こちらから入った方が人目に付かなかったな」と思わず呟いた
そこへ車が1台、通用口の前へ滑り込み停車した
メッシュフェンスから身を潜められる側の木の陰に隠れる
シルバーのスカイライン、良くあるタイプの車だ
人気の無い通用口に停車したところをみると大学関係者か…?
今の俺が見つかれば何故ここに居るのか詰問されるかもしれない
慎重に車の方を伺い、校舎へ近づくルートを思案していると誰かが出てきた…と思う間もなく出てきた人物を認識する
――ゼロだ
ゼロが大切そうに抱きかかえている人の、ダラリと下りた左腕には見慣れた俺の時計…!
「あやっ!」
頭で考える前に俺は叫んで飛び出していた
◇◆◇
―――
昨晩あやと話し合いをしたけど互いの意見は平行線のままだった
俺はあやには組織に直接関わって欲しくなかった…しかし頑固なあやは組織近くの人間―ヴェレーノ教授―の元に潜入すると言い出した
全力で反対をしたがあやのことだ、俺に隠れて潜入するに決まっている
これは双子だから分かるのではなく、あやのことをよく知ってる人なら簡単に予想の付くことだった
ライのところから戻ってきた後、あやは1人で外出していた
帰ってきた時、携帯会社の紙袋を手にしていたのでスマホを契約しに行ったのだろう
あやが潜入時に使っていたスマホは今俺の手の中にあるのだ
あやの行動は潜入しますと名言しているのと変わらないが本人は気が付いているのか…甚だ心配だ
潜入する時のあやはプライベートのスマホは持ち歩かない
そこから身バレするのを防ぐためだと以前言っていた
確かに自分に置き換えてみてもその考え方は正しい
俺はプライベートのスマホを所持したまま潜入していたが、結果そのスマホが組織の手に渡らないよう破壊するに至っていたのだから
あやが必ず身につけているブレスレットは何かあったら位置情報が通知されるとは言え、新しい潜入用のスマホ内部に発信器をすぐ取り付け連動させることは難しく、潜入したあやに何かがあっても今のままでは俺が知るすべは無いに等しい
あの様子だとあやは俺に黙って潜入するだろうし、何かあっても俺に通知されないということに気が回ってない可能性があった
それならば…と就寝していたあやの部屋に忍び込み、あやの時計の電池を抜き時計が動かなくなったことを確認した
潜入時、時間の把握をするためにスマホの画面をいちいち見るというのはとても効率が悪く、腕時計が最も適しているため明日の潜入時、あやは必ず時計をしていくだろう
あやの部屋を出てリビングに戻り、テーブルの上に俺の時計を置いておいた
その時計の文字盤の裏には公安でよく使う薄い貼付タイプの発信器を付けておくことも忘れない
この発信器は電池容量が少ないので動作後24時間しか使えないが、あやなら明日の朝一番で動くだろうから十分役に立つ
本来ならばこの時計をしている時に何らかのことがあったらあやのプライベートスマホに通知がいくが、俺の携帯は先日撃ち抜いてしまっていて通知機能は使えないのでこうすることにしたのだ
スマホから発信機の電波を受信、表示出来るアプリを起動し発信器のシリアルナンバーを入れ少し待つと発信器付時計の現在地が青い点で表示される
今俺がいるこの場所だ
これで準備は整った
腕時計が止まっていることにあやが気づいたらリビングに置いてある俺の時計を持っていくだろう
あやは腕時計を1本しか持っておらず、大きくて無骨な男性ものの時計と言えど無いより遙かにマシと判断して持っていくはずだ
―――
早朝、俺がまだ寝ていると思っているあやがこっそり家を出て行った
玄関のドアが閉まる音、鍵がかかる音
それらの音を聞き届けベッドから身を起こしリビングへ行くとテーブルの上に置いておいた俺の発信器付時計は見当たらなかった
思惑通り、あやは持っていってくれたようだ
アプリを起動し、履歴から昨日入力したシリアルナンバーを選択して位置が表示されるのを待つ
10秒ほど経過した後、青い点がMAP上で移動しているところを表示した
感度も良さそうだ
青い点は家から徒歩20分程の距離にある東都大学の方へ向かっている
昨日あれだけ反対し止めたにも関わらずやっぱりあやはヴェレーノ教授のところへ潜入する気なのだろう
素早く着替え、スマホをポケットにねじ込み東京スピリッツの帽子を目深にかぶる
あやを追いかけるため家を飛び出した
朝早い時間と言えど、未就学児がキャンパス内にいるというのはとても目立つもので、青い点がキャンパス内の奥にある棟へ向かっていたのは分かっているけど俺は入ることを躊躇していた
あやも一人前の公安職員であり潜入捜査官なので無茶はしない…と思いたい
普段のあやは慎重だが俺のこととなると少々短絡的になる部分があるのでそこが心配だった
校門前にあるコーヒーチェーン店に入り奇異の目で見られているが気にせず注文して窓際の席に座した
そしてアプリで様子を見ていると青い点が止まる
そのまま見ているとほんの少しだけ移動して表示が消えた
!!
発信器の電池が切れたのか?
精密機器なのでたまに調子が悪いものもあるだろう
偶然それに当たってしまったのだろうか
それとも電波の届かないところ…例えば地下室などに入ったのか?
青い点が消えて悶々としながら過ぎた1時間、自分の中で決めていたタイムリミットを迎えた
あやの動向が追えなくなって1時間経ったら自分自身で追うことにしようと決めていたのだ
残り少ないグリーンティラテを一気にあおり席を立った
人目も憚らずキャンパス内を青い点が消えた棟へ走り向かう
途中訝しそうな顔をした学生たちのグループとすれ違い、声を掛けられたが足を止めずひたすら目的地を目指す
ほんの数日前までの俺と違い、今の俺は子どもなので足の長さが違うせいか気持ちは急くが自分が思っているような速度が出せずイライラする
青い点が消えたのは校門からキャンパス内の中でも一番奥まったところで、たどり着いてみるとすぐ側にメッシュフェンスがあり、その向こうは道路だった
裏道なためか車通りはほとんどなく、通用口らしき小さな門がある
侵入するのにおあつらえ向きなその環境に「こちらから入った方が人目に付かなかったな」と思わず呟いた
そこへ車が1台、通用口の前へ滑り込み停車した
メッシュフェンスから身を潜められる側の木の陰に隠れる
シルバーのスカイライン、良くあるタイプの車だ
人気の無い通用口に停車したところをみると大学関係者か…?
今の俺が見つかれば何故ここに居るのか詰問されるかもしれない
慎重に車の方を伺い、校舎へ近づくルートを思案していると誰かが出てきた…と思う間もなく出てきた人物を認識する
――ゼロだ
ゼロが大切そうに抱きかかえている人の、ダラリと下りた左腕には見慣れた俺の時計…!
「あやっ!」
頭で考える前に俺は叫んで飛び出していた
◇◆◇