【DC】Con te
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◇◆◇
ジンからの電話が済み風見へバックアップ要請をした後、急ぎエルたちがいる地下研究室へ踵を返した
薄暗い通路を足早に進み、突き当たりで壁を蹴るようにして扉のスイッチを押す
「ちょっと!まだ聞きたいことあるんだけど!」
開いた扉の向こうではエルが処置台のあやを強く揺さぶって声を上げており、一方のヴェレーノ教授はあやに取り付けられていた機械を見ては熱心に記録している
ヴェレーノ教授の助手はエルの後ろで呆然と立ち尽くしていた
あやは僕が退室する前にはなかった機器を装着されていて顔色は悪いを通り越して色を失っていた
あやに駆け寄りそうになる足を無理矢理に抑え付け、煮え返りそうな腹の中とは裏腹にゆっくりと処置台に近づく
側に置いてあったアンプルにラベルは無く油性マジックで”チオペンタール外”と書き殴られていた
そのアンプルを手にエルの方へ振り返る
「エル、何事ですか?」
努めて冷静に、自分を抑えいつも通りの声音で話しかける
痛々しいほどのあやから目を逸らすことは出来なかった
「この女、組織について何か知ってる様子だったから自白剤を使ったのよ。なのに聞き出す前に気絶しちゃったわ」
あやを揺すっていた手を離し、去り際にペシッとあやの肩を叩くエルの手を、反射的に押さえてしまった
「な…っ?バーボン?」
「この女性、後は僕が引き受けましょう」
そう言ってエルの手を離すと、それまで一心不乱に記録を取っていたヴェレーノ教授が叫んだ
「それはだめです!ここでこれからも色々調べさせて貰いますので!そういう約束です!」
思わず舌打ちしそうになるのを堪える
「エル、どういうことですか?」
「この女についてずいぶん突っかかるのね、バーボン?」
「…僕なら自白剤など使わなくても情報を吐かせることが可能だからです。エルもそのことは知っているでしょう?それにこの女性が死んだり、クスリでおかしくなって情報を引き出せなかくなったら元も子もないのでは?」
「…確かに、そうね…」
僕の言葉にエルが同意を示す
ここがチャンスだ、間違えてはいけない
慎重に言葉を選ぶんだ…
先ほどから手にしているアンプルを見えないよう、不自然にならないよう自分のお尻のポケットにねじ込みながら言った
「どこから迷い込んだのか、僕が聞き出してみせますよ。エルのためにも、組織のためにも…ね」
僕の顔をジッと見つめるエルの視線を真正面から受け止める
「そんなの許さない!これは私のものだ!」
突如ヴェレーノ教授が側にあったメスを振り回してこちらを威嚇し始めた
ヒィと助手から声が上がる
あやはおまえのものじゃない!
声に出したかったが今の僕の立場がそれを許さない
不本意ながらエルを自分の背に庇い、苛立ちと殺気を隠しきれないままヴェレーノ教授を見据えると無闇矢鱈に振り回していたメスは止める間もなく教授の側の処置台に横たわっていたあやの右腕を掠めたようでシパッとあやの腕から赤い鮮血が吹き出し、それがヴェレーノ教授にかかる
あやの血にヴェレーノ教授が怯んだところを一気に取り押さえメスを持った腕をひねり上げると痛みに耐えきれなかった教授の手からポロリとメスが落ちた
カラーンとリノリウムの床と金属製のメスがぶつかる高い音の後、研究室内が静寂に包まれる
メスをヴェレーノ教授の手の届かない遠くへ蹴り、手早く教授の両手を背中に回し、携帯していた結束バンドで両手首と両親指を締め上げた
これで人間の力では外すことは出来ない
ゴロンと雑に床に転がした
「…バーボンに任せるわ。その女から全て吐かせて教えて」
「分かりました」
「それじゃ、今晩20時に米花駅に迎えに来て。じゃーね」
カツカツとハイヒールの音を響かせ足早にエルが出て行く
その様子を見送った後、出血しているあやの腕を止血するため身につけていたループタイを外して二の腕に巻き付け留め具で締め上げる
「消毒と創傷被覆材を」
ヴェレーノ教授の助手に声を掛けると慌てたように消毒液、滅菌ガーゼと創傷被覆材、ピンセットをバットに乗せて持ってきた
それらを使いあやの治療を済ませ、治療の済んだ右腕をあやのお腹の上にそっと置き、抱き上げる
止血帯代わりのループタイを巻いているが思ったより深く切れているせいか創傷被覆材は既に血が滲んでいた
「このことは他言無用です。口外した場合、組織が全力であなたたちを始末します」
床に転がったままのヴェレーノ教授とその近くに立っていた助手にそう言い残してその場を後にした
◇◆◇
ジンからの電話が済み風見へバックアップ要請をした後、急ぎエルたちがいる地下研究室へ踵を返した
薄暗い通路を足早に進み、突き当たりで壁を蹴るようにして扉のスイッチを押す
「ちょっと!まだ聞きたいことあるんだけど!」
開いた扉の向こうではエルが処置台のあやを強く揺さぶって声を上げており、一方のヴェレーノ教授はあやに取り付けられていた機械を見ては熱心に記録している
ヴェレーノ教授の助手はエルの後ろで呆然と立ち尽くしていた
あやは僕が退室する前にはなかった機器を装着されていて顔色は悪いを通り越して色を失っていた
あやに駆け寄りそうになる足を無理矢理に抑え付け、煮え返りそうな腹の中とは裏腹にゆっくりと処置台に近づく
側に置いてあったアンプルにラベルは無く油性マジックで”チオペンタール外”と書き殴られていた
そのアンプルを手にエルの方へ振り返る
「エル、何事ですか?」
努めて冷静に、自分を抑えいつも通りの声音で話しかける
痛々しいほどのあやから目を逸らすことは出来なかった
「この女、組織について何か知ってる様子だったから自白剤を使ったのよ。なのに聞き出す前に気絶しちゃったわ」
あやを揺すっていた手を離し、去り際にペシッとあやの肩を叩くエルの手を、反射的に押さえてしまった
「な…っ?バーボン?」
「この女性、後は僕が引き受けましょう」
そう言ってエルの手を離すと、それまで一心不乱に記録を取っていたヴェレーノ教授が叫んだ
「それはだめです!ここでこれからも色々調べさせて貰いますので!そういう約束です!」
思わず舌打ちしそうになるのを堪える
「エル、どういうことですか?」
「この女についてずいぶん突っかかるのね、バーボン?」
「…僕なら自白剤など使わなくても情報を吐かせることが可能だからです。エルもそのことは知っているでしょう?それにこの女性が死んだり、クスリでおかしくなって情報を引き出せなかくなったら元も子もないのでは?」
「…確かに、そうね…」
僕の言葉にエルが同意を示す
ここがチャンスだ、間違えてはいけない
慎重に言葉を選ぶんだ…
先ほどから手にしているアンプルを見えないよう、不自然にならないよう自分のお尻のポケットにねじ込みながら言った
「どこから迷い込んだのか、僕が聞き出してみせますよ。エルのためにも、組織のためにも…ね」
僕の顔をジッと見つめるエルの視線を真正面から受け止める
「そんなの許さない!これは私のものだ!」
突如ヴェレーノ教授が側にあったメスを振り回してこちらを威嚇し始めた
ヒィと助手から声が上がる
あやはおまえのものじゃない!
声に出したかったが今の僕の立場がそれを許さない
不本意ながらエルを自分の背に庇い、苛立ちと殺気を隠しきれないままヴェレーノ教授を見据えると無闇矢鱈に振り回していたメスは止める間もなく教授の側の処置台に横たわっていたあやの右腕を掠めたようでシパッとあやの腕から赤い鮮血が吹き出し、それがヴェレーノ教授にかかる
あやの血にヴェレーノ教授が怯んだところを一気に取り押さえメスを持った腕をひねり上げると痛みに耐えきれなかった教授の手からポロリとメスが落ちた
カラーンとリノリウムの床と金属製のメスがぶつかる高い音の後、研究室内が静寂に包まれる
メスをヴェレーノ教授の手の届かない遠くへ蹴り、手早く教授の両手を背中に回し、携帯していた結束バンドで両手首と両親指を締め上げた
これで人間の力では外すことは出来ない
ゴロンと雑に床に転がした
「…バーボンに任せるわ。その女から全て吐かせて教えて」
「分かりました」
「それじゃ、今晩20時に米花駅に迎えに来て。じゃーね」
カツカツとハイヒールの音を響かせ足早にエルが出て行く
その様子を見送った後、出血しているあやの腕を止血するため身につけていたループタイを外して二の腕に巻き付け留め具で締め上げる
「消毒と創傷被覆材を」
ヴェレーノ教授の助手に声を掛けると慌てたように消毒液、滅菌ガーゼと創傷被覆材、ピンセットをバットに乗せて持ってきた
それらを使いあやの治療を済ませ、治療の済んだ右腕をあやのお腹の上にそっと置き、抱き上げる
止血帯代わりのループタイを巻いているが思ったより深く切れているせいか創傷被覆材は既に血が滲んでいた
「このことは他言無用です。口外した場合、組織が全力であなたたちを始末します」
床に転がったままのヴェレーノ教授とその近くに立っていた助手にそう言い残してその場を後にした
◇◆◇