【DC】Con te
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…全ての辻褄があった
ヒロが急にNOCと疑われて始末されることになった理由はこれだったのだ
自己保身のため簡単に他人の命を差し出したエルディアブロに対してふつふつと怒りが湧き上がる
この人のせいでヒロが殺されるとこだったんだ…!
感情は隠しきれず、殺意の篭もった目でエルディアブロを睨み付けた
エルディアブロは私のそんな視線も意に介さず陶酔したかのように話し続ける
「情報元はまだ組織内に潜り込んだネズミがいると言っていたわ!そいつを聞き出して組織に情報提供すれば私は今より更に強固な地位を築くことが出来る!上山には感謝だわ。ヤツを仕留め損なったお陰で情報元と知り合うことが出来たのだから!」
聞き捨てならない言葉…
他に潜り込んだネズミとは十中八九れーくんのことだろう
れーくんの情報は現時点ではまだエルディアブロの耳には入ってないけど時間の問題のようだ
やるところの無い感情が溢れ出し唇を噛みしめていると不意に背中を預けていた扉がスライドした
慌てて背を離し壁に背を寄せ開いた扉の方に目を向け、瞠目する
「ご機嫌のようですね、エル」
「あら、来てたのはバーボンだったのね」
子どもの頃から聞いている聞き慣れた声に見止めた姿…
一瞬滲み出してしまっただろう自分の中の感情を誰にも気づかれないよう一生懸命殺す
表情に出すな!
彼とは初対面だ!
絶対にバレるな…!
カチッと金属製の音が密やかに聞こえ、エルディアブロの方を振り向くと私へ向けていた銃を下ろしていた
もう彼女が直接私に対して手を下すことはないということだろう
そう判断し、対峙するであろう新手に目を向ける
初対面、そうバーボンとは初対面…!
開いた扉の向こうはまるで手術室のようで無影灯が煌々と室内を照らしていた
仄暗い通路にいたせいで軽く目が眩み、眇める
「はじめまして。バーボン……これが僕のコードネームです」
煌々と目映い光の中でバーボンと名乗る男は、私にとって子どもの頃から見慣れた秘色の瞳。枇杷茶の髪は支子色の光を纏い、耳馴染みの良い聞き慣れた声…
それは闇の世界に生きる人間とは思えない、あまりにも綺麗な男だった
「バーボン、この女を捕らえて」
「任せてください、エル」
エルディアブロの言葉を了承したバーボンがゆっくりと3歩、こちらへ歩み寄る
そして下がっていろというジェスチャーをエルディアブロにし、私の方へ向き直った
バーボンの両の手は武器などを持っていない
バーボンとは初対面…!
こんな時、いつもの私ならなんて言う…?
「…あなた、武器は?」
「武器は僕の性に合っていないので」
「舐められたものね」
「こちらで貴女のお相手をしますよ」
胸の前で白いグローブをした拳を握りファイティングポーズを取って見せるバーボン
隠す気が無い殺気をギラギラと秘色の瞳に乗せて光らせている
敵として私の目の前に立つバーボンに冷や汗が首を伝う
ゴクリと唾を飲み込み、警察学校で習った柔術の構えを取った
れーくんは美麗な見た目とは裏腹にガッチガチの武闘派だった
肩を壊してテニスを辞めた後はずっとボクシングに打ち込んでいたのだ
潜入してからはその鍛え上げた己の拳で乗り切ってきたのだろう、のし上がってきたのだろう
今まで拳銃を所持していても発砲報告はほとんどなかったのだから
こうして対峙してみると分かる、バーボンという男の恐ろしさ
寸分の隙も無い
警察学校時代、れーくんとは何度か手合わせしてるけど当時私の全敗だったので正直言うと相当に分が悪い
私が1度も勝てなかった相手はれーくんと航だけだった
航とは乱打戦になったこともあったけど、れーくんに至っては毎回ほぼ一撃で勝負が付いていた
組織の人間の目がある手前、相手が私と言えどバーボンとしてここに立ってる今、れーくんも手を抜いたりせず本気で来るはず
私の持てる全力でかからねばならない、今まで対峙した中でも最も厄介な相手だった
私はギリッと奥歯を噛み締めた
ピリピリした殺気をお互いに発し間合いを計り、先に仕掛けたのは私の方だった
身を低く屈め一気に間合いを詰め、迷うことなくバーボンの喉を狙い手刀を繰り出す
しかしひらりと躱したバーボンは振るった私の腕を捕み、私のがら空きになった鳩尾に拳を叩き込んだ
その拳から繰り出された想像以上に重い一撃で一瞬自分の身が浮いたのを感じる
「う…っ!げ、ほ…っ」
強い衝撃に息が止まる
目の前が真っ暗になる
数瞬遅れて鈍い痛みに襲われ、嘔吐き身体がぐらりと傾く
今までに経験したことのない程の苦しさに遠のきそうになる意識を保つのに必死だった
膝を折り崩れ落ちる私の左腕をバーボンが掴みそのまま真上に引き上げる
崩れ落ちることも許されず宙づりに近い状態になった私は残った気力を振り絞りバーボンを睨み付け、逃れようと足掻くけど力は入らず、ただ身体を揺すっただけだった
バーボンはそんな私の腕を絞める力を更に強め、空いていた方の手で私の喉元を掴み上げ勢いよく壁に叩き付けた
「が…っはっ…!」
背中に強い衝撃を受け呼吸が出来ない
あまりの苦しさに思わず呻いてガクッと脱力した私に、もう抵抗する気力はないと判断したのだろう
こちらを見下ろしたバーボンが私の手を離すと支えを失った私の足は力が入らずその場に崩れ落ちた
必死に保っていた意識が遠のく……
そんな私をバーボンは感情の無い冷たい秘色の瞳で見下ろしていた
◇◆◇
ヒロが急にNOCと疑われて始末されることになった理由はこれだったのだ
自己保身のため簡単に他人の命を差し出したエルディアブロに対してふつふつと怒りが湧き上がる
この人のせいでヒロが殺されるとこだったんだ…!
感情は隠しきれず、殺意の篭もった目でエルディアブロを睨み付けた
エルディアブロは私のそんな視線も意に介さず陶酔したかのように話し続ける
「情報元はまだ組織内に潜り込んだネズミがいると言っていたわ!そいつを聞き出して組織に情報提供すれば私は今より更に強固な地位を築くことが出来る!上山には感謝だわ。ヤツを仕留め損なったお陰で情報元と知り合うことが出来たのだから!」
聞き捨てならない言葉…
他に潜り込んだネズミとは十中八九れーくんのことだろう
れーくんの情報は現時点ではまだエルディアブロの耳には入ってないけど時間の問題のようだ
やるところの無い感情が溢れ出し唇を噛みしめていると不意に背中を預けていた扉がスライドした
慌てて背を離し壁に背を寄せ開いた扉の方に目を向け、瞠目する
「ご機嫌のようですね、エル」
「あら、来てたのはバーボンだったのね」
子どもの頃から聞いている聞き慣れた声に見止めた姿…
一瞬滲み出してしまっただろう自分の中の感情を誰にも気づかれないよう一生懸命殺す
表情に出すな!
彼とは初対面だ!
絶対にバレるな…!
カチッと金属製の音が密やかに聞こえ、エルディアブロの方を振り向くと私へ向けていた銃を下ろしていた
もう彼女が直接私に対して手を下すことはないということだろう
そう判断し、対峙するであろう新手に目を向ける
初対面、そうバーボンとは初対面…!
開いた扉の向こうはまるで手術室のようで無影灯が煌々と室内を照らしていた
仄暗い通路にいたせいで軽く目が眩み、眇める
「はじめまして。バーボン……これが僕のコードネームです」
煌々と目映い光の中でバーボンと名乗る男は、私にとって子どもの頃から見慣れた秘色の瞳。枇杷茶の髪は支子色の光を纏い、耳馴染みの良い聞き慣れた声…
それは闇の世界に生きる人間とは思えない、あまりにも綺麗な男だった
「バーボン、この女を捕らえて」
「任せてください、エル」
エルディアブロの言葉を了承したバーボンがゆっくりと3歩、こちらへ歩み寄る
そして下がっていろというジェスチャーをエルディアブロにし、私の方へ向き直った
バーボンの両の手は武器などを持っていない
バーボンとは初対面…!
こんな時、いつもの私ならなんて言う…?
「…あなた、武器は?」
「武器は僕の性に合っていないので」
「舐められたものね」
「こちらで貴女のお相手をしますよ」
胸の前で白いグローブをした拳を握りファイティングポーズを取って見せるバーボン
隠す気が無い殺気をギラギラと秘色の瞳に乗せて光らせている
敵として私の目の前に立つバーボンに冷や汗が首を伝う
ゴクリと唾を飲み込み、警察学校で習った柔術の構えを取った
れーくんは美麗な見た目とは裏腹にガッチガチの武闘派だった
肩を壊してテニスを辞めた後はずっとボクシングに打ち込んでいたのだ
潜入してからはその鍛え上げた己の拳で乗り切ってきたのだろう、のし上がってきたのだろう
今まで拳銃を所持していても発砲報告はほとんどなかったのだから
こうして対峙してみると分かる、バーボンという男の恐ろしさ
寸分の隙も無い
警察学校時代、れーくんとは何度か手合わせしてるけど当時私の全敗だったので正直言うと相当に分が悪い
私が1度も勝てなかった相手はれーくんと航だけだった
航とは乱打戦になったこともあったけど、れーくんに至っては毎回ほぼ一撃で勝負が付いていた
組織の人間の目がある手前、相手が私と言えどバーボンとしてここに立ってる今、れーくんも手を抜いたりせず本気で来るはず
私の持てる全力でかからねばならない、今まで対峙した中でも最も厄介な相手だった
私はギリッと奥歯を噛み締めた
ピリピリした殺気をお互いに発し間合いを計り、先に仕掛けたのは私の方だった
身を低く屈め一気に間合いを詰め、迷うことなくバーボンの喉を狙い手刀を繰り出す
しかしひらりと躱したバーボンは振るった私の腕を捕み、私のがら空きになった鳩尾に拳を叩き込んだ
その拳から繰り出された想像以上に重い一撃で一瞬自分の身が浮いたのを感じる
「う…っ!げ、ほ…っ」
強い衝撃に息が止まる
目の前が真っ暗になる
数瞬遅れて鈍い痛みに襲われ、嘔吐き身体がぐらりと傾く
今までに経験したことのない程の苦しさに遠のきそうになる意識を保つのに必死だった
膝を折り崩れ落ちる私の左腕をバーボンが掴みそのまま真上に引き上げる
崩れ落ちることも許されず宙づりに近い状態になった私は残った気力を振り絞りバーボンを睨み付け、逃れようと足掻くけど力は入らず、ただ身体を揺すっただけだった
バーボンはそんな私の腕を絞める力を更に強め、空いていた方の手で私の喉元を掴み上げ勢いよく壁に叩き付けた
「が…っはっ…!」
背中に強い衝撃を受け呼吸が出来ない
あまりの苦しさに思わず呻いてガクッと脱力した私に、もう抵抗する気力はないと判断したのだろう
こちらを見下ろしたバーボンが私の手を離すと支えを失った私の足は力が入らずその場に崩れ落ちた
必死に保っていた意識が遠のく……
そんな私をバーボンは感情の無い冷たい秘色の瞳で見下ろしていた
◇◆◇