【DC】Con te
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銃の発砲音は通常それなりに大きな音がするが、今発砲された時の音はパーティクラッカーに似たような音だったのでサプレッサを付けていたと思われる
発砲音を軽減するためにサプレッサはあるのだけど、サプレッサを付けていたならばそれはもう私から見たら敵でしかない
日本ではサプレッサの使用は禁止、違法とされており、当然ながら警察の銃にも装着することは禁止されているのだ
身内ではないということになる
コツ…コツッ…
足音がこちらに向かって近づいてきている
一瞬捕らえた姿の通り女性なのだろう、パンプスの足音だ
後ろの扉の向こうでも何やら人が動いてるざわめいた音がする
いつ扉が開いてもおかしくない
こめかみに汗が流れる
壁を背にしたまま微動だにせず、発砲した女性が近づくのを息を詰めて待つ
通常公安の潜入捜査官と言えど銃の携行は特別な場合を除いて許可されていないし、今の私は単独での潜入なので当然無腰だ
この場を切り抜けるのに最良な方法は銃を携帯しているとは言え女性1人なら私でも十分制圧は可能なので女性を制圧し扉の向こうの複数人と対峙することだろう
今は相手の懐に入ることが当面の目標となる
コツコツと一定の間隔でパンプスの音を通路に響かせ近づいてくる女性の人陰は銃をこちらへ構えたままだというのが目視で分かるほどの距離にいた
コツッとパンプスの音が止まる
静寂が訪れた通路
扉の向こうでは音がなくなっており、こちらを伺っているのだろうと推測できた
鼓動が激しく喉はカラカラだった
「あなた…見たことがあるわ」
女性が声を上げる
向こうも目が慣れてきてこちらが見えるようになったのだろう
今まで全体を把握するよう特に銃に警戒していたけどその言葉に私も女性の顔に目を向ける
銃口はこちらへ向いたまま、銃を持ってない方の手で前髪を掻き上げた女性はニヤリと不敵な笑みを浮かべていた
肌が総毛立ち、冷や汗が首筋を伝う
女性のすぐ後ろにある蛍光灯が心許ない程度の光を届けているせいでこちらからは女性の顔は陰になってまだはっきり見えなかった
「上山のレセプションパーティに来てたわね、あなた」
コツとパンプスの音を響かせ銃を構えたまま一歩こちらに近づく女性に私は一歩後退る
「あ…あなた、は……」
コツとパンプスの音、後退る私
数歩繰り返されたその攻防も私の背中に扉が来てしまったことで終止符が打たれる
10mほど手前で女性は銃を構えたまま立ち止まる。弱々しい光の加減でもようやく女性の顔がじっくりと視認できた
――上山孝太郎のパートナーの女性だ
「あのパーティ会場からあなた無事に逃げられたのね」
「…えぇ、おかげさまで」
「そのあなたがどうしてここに居るのかしら?」
「……」
「ふぅん、何も言わないのね。まぁいいわ。どうせあなた袋のネズミだし」
ここに居る本当の理由など話せるわけもないし、何を返しても場合によっては発砲されるだろう
あと一歩、彼女に近づければ抑え込むことはできるけど、そのあと一歩が遠い
両手を下げ掌を扉に合わせると冷たい感覚と共に小さな振動を数度感じた
扉の向こうで人が動いているのだろう
こうしている間にも扉が開くかもしれない
「私ね、今サイッコウにハイで気分がいいの。ちょっと話をしない?」
そんな私をよそに口元にニヤリと笑みを浮かべ銃口はこちらに向けたまま楽しそうに女性は話し始める
ゴクリとツバを飲み込もうとするけどカラカラの喉は空気を飲み込んだだけだった
…あと一歩、寄ってこい…
「私の名前はエルディアブロ。とある組織のネームドの1人なの。組織からの指示で上山の秘書をしていたわ」
「…組織…」
「あら、あなたもレディストークに乗り気なのね。嬉しいわ」
フフッと声を上げたエルディアブロは口角を上げ銃口をも上げる
銃口の先は私の眉間を差していた
頭の中は冷え、胸の谷間に汗が流れたのを感じる
「上山の会社から組織に資金を流していたの。だけど彼色々と杜撰で迂闊なんですもん、警察にバレそうになったから上山を消すようにと組織から命令されたわ
そして決行はパーティの時、ホテルでと決めた…」
綺麗な顔をニタァと歪ませ恍惚とした表情のままこちらを眇める
物語や童話に出てくる悪い魔女のような顔だ
「上山のことだからいつも通りパーティで女引っかけて部屋に連れ込みコトに及ぶ
その前にシャワーを浴びるのが彼のルーチンワークだったの。だから浴室のドアに濡れた手で触れると電気が流れるよう細工したわ」
その辺りは風見さんからの報告書で確認していた
浴室の排水溝には不織布が入れられ水捌けを意図的に悪くされていて浴室側のドアノブにはコンセントに繋がれたドライヤーのケーブルが巻かれていたらしい
そのドアノブに濡れた手で触ると一気に感電する…という仕組みだったと記載されていた
「上山を気絶させるだけで良かった。気絶させた後は時限爆弾でドカンの予定だったから。念のため上山の滞在する部屋には4つの爆弾をセットしたわ。だけど何故か時間になっても爆弾はひとつも爆発しなかった…
その場を確認しないで離れたから何があったかは分からないけど上山は警察に身柄を確保されたわ
お陰で私は上山を始末し損なった件で組織から汚名を着せられ消されそうになったのだけど、その時汚名返上のチャンスが到来したのよ!」
喜悦の情で顔を輝かせながら声を高らかに上げるエルディアブロに異質性を感じゾッとする
皮膚の裏側を紙やすりで撫でられているかのような感覚に思わず扉に付けていた両手を胸の前で組み、自分を抱きしめた
「組織内にね、裏切者が居たのよ!NOCって知ってる?”NonOfficialCover”って意味なんだけどね、組織は潜り込んだNOCを血眼になって探していたの!そして私はその情報を手に入れたのよ!
その時、神様はいるんだって私は思ったわ!」
ドクンドクンと心臓が高鳴るのが分かった
話に夢中になっているエルディアブロの銃口は私から外れていたけど彼女はそれに気が付いてないようだ
制圧するなら今がチャンスだ…と頭で分かっているけど身体は動かなかった
私には”裏切者”と”NOC”これらの言葉に心当たりがあったから
それは…きっと組織に潜入していたヒロのことだ…!
発砲音を軽減するためにサプレッサはあるのだけど、サプレッサを付けていたならばそれはもう私から見たら敵でしかない
日本ではサプレッサの使用は禁止、違法とされており、当然ながら警察の銃にも装着することは禁止されているのだ
身内ではないということになる
コツ…コツッ…
足音がこちらに向かって近づいてきている
一瞬捕らえた姿の通り女性なのだろう、パンプスの足音だ
後ろの扉の向こうでも何やら人が動いてるざわめいた音がする
いつ扉が開いてもおかしくない
こめかみに汗が流れる
壁を背にしたまま微動だにせず、発砲した女性が近づくのを息を詰めて待つ
通常公安の潜入捜査官と言えど銃の携行は特別な場合を除いて許可されていないし、今の私は単独での潜入なので当然無腰だ
この場を切り抜けるのに最良な方法は銃を携帯しているとは言え女性1人なら私でも十分制圧は可能なので女性を制圧し扉の向こうの複数人と対峙することだろう
今は相手の懐に入ることが当面の目標となる
コツコツと一定の間隔でパンプスの音を通路に響かせ近づいてくる女性の人陰は銃をこちらへ構えたままだというのが目視で分かるほどの距離にいた
コツッとパンプスの音が止まる
静寂が訪れた通路
扉の向こうでは音がなくなっており、こちらを伺っているのだろうと推測できた
鼓動が激しく喉はカラカラだった
「あなた…見たことがあるわ」
女性が声を上げる
向こうも目が慣れてきてこちらが見えるようになったのだろう
今まで全体を把握するよう特に銃に警戒していたけどその言葉に私も女性の顔に目を向ける
銃口はこちらへ向いたまま、銃を持ってない方の手で前髪を掻き上げた女性はニヤリと不敵な笑みを浮かべていた
肌が総毛立ち、冷や汗が首筋を伝う
女性のすぐ後ろにある蛍光灯が心許ない程度の光を届けているせいでこちらからは女性の顔は陰になってまだはっきり見えなかった
「上山のレセプションパーティに来てたわね、あなた」
コツとパンプスの音を響かせ銃を構えたまま一歩こちらに近づく女性に私は一歩後退る
「あ…あなた、は……」
コツとパンプスの音、後退る私
数歩繰り返されたその攻防も私の背中に扉が来てしまったことで終止符が打たれる
10mほど手前で女性は銃を構えたまま立ち止まる。弱々しい光の加減でもようやく女性の顔がじっくりと視認できた
――上山孝太郎のパートナーの女性だ
「あのパーティ会場からあなた無事に逃げられたのね」
「…えぇ、おかげさまで」
「そのあなたがどうしてここに居るのかしら?」
「……」
「ふぅん、何も言わないのね。まぁいいわ。どうせあなた袋のネズミだし」
ここに居る本当の理由など話せるわけもないし、何を返しても場合によっては発砲されるだろう
あと一歩、彼女に近づければ抑え込むことはできるけど、そのあと一歩が遠い
両手を下げ掌を扉に合わせると冷たい感覚と共に小さな振動を数度感じた
扉の向こうで人が動いているのだろう
こうしている間にも扉が開くかもしれない
「私ね、今サイッコウにハイで気分がいいの。ちょっと話をしない?」
そんな私をよそに口元にニヤリと笑みを浮かべ銃口はこちらに向けたまま楽しそうに女性は話し始める
ゴクリとツバを飲み込もうとするけどカラカラの喉は空気を飲み込んだだけだった
…あと一歩、寄ってこい…
「私の名前はエルディアブロ。とある組織のネームドの1人なの。組織からの指示で上山の秘書をしていたわ」
「…組織…」
「あら、あなたもレディストークに乗り気なのね。嬉しいわ」
フフッと声を上げたエルディアブロは口角を上げ銃口をも上げる
銃口の先は私の眉間を差していた
頭の中は冷え、胸の谷間に汗が流れたのを感じる
「上山の会社から組織に資金を流していたの。だけど彼色々と杜撰で迂闊なんですもん、警察にバレそうになったから上山を消すようにと組織から命令されたわ
そして決行はパーティの時、ホテルでと決めた…」
綺麗な顔をニタァと歪ませ恍惚とした表情のままこちらを眇める
物語や童話に出てくる悪い魔女のような顔だ
「上山のことだからいつも通りパーティで女引っかけて部屋に連れ込みコトに及ぶ
その前にシャワーを浴びるのが彼のルーチンワークだったの。だから浴室のドアに濡れた手で触れると電気が流れるよう細工したわ」
その辺りは風見さんからの報告書で確認していた
浴室の排水溝には不織布が入れられ水捌けを意図的に悪くされていて浴室側のドアノブにはコンセントに繋がれたドライヤーのケーブルが巻かれていたらしい
そのドアノブに濡れた手で触ると一気に感電する…という仕組みだったと記載されていた
「上山を気絶させるだけで良かった。気絶させた後は時限爆弾でドカンの予定だったから。念のため上山の滞在する部屋には4つの爆弾をセットしたわ。だけど何故か時間になっても爆弾はひとつも爆発しなかった…
その場を確認しないで離れたから何があったかは分からないけど上山は警察に身柄を確保されたわ
お陰で私は上山を始末し損なった件で組織から汚名を着せられ消されそうになったのだけど、その時汚名返上のチャンスが到来したのよ!」
喜悦の情で顔を輝かせながら声を高らかに上げるエルディアブロに異質性を感じゾッとする
皮膚の裏側を紙やすりで撫でられているかのような感覚に思わず扉に付けていた両手を胸の前で組み、自分を抱きしめた
「組織内にね、裏切者が居たのよ!NOCって知ってる?”NonOfficialCover”って意味なんだけどね、組織は潜り込んだNOCを血眼になって探していたの!そして私はその情報を手に入れたのよ!
その時、神様はいるんだって私は思ったわ!」
ドクンドクンと心臓が高鳴るのが分かった
話に夢中になっているエルディアブロの銃口は私から外れていたけど彼女はそれに気が付いてないようだ
制圧するなら今がチャンスだ…と頭で分かっているけど身体は動かなかった
私には”裏切者”と”NOC”これらの言葉に心当たりがあったから
それは…きっと組織に潜入していたヒロのことだ…!