【DC】Con te
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国の承認を得るために行う新薬の臨床試験を治験という
治験は病院で行うのが一般的である
東都大学には付属病院が併設されており、規則に定められた要件が整っていて治験を行うことができると過去の捜査資料で読んだことがあった
しかし今回のクスリの薬効を考えると表立っての治験は行えない
それを踏まえた上で組織はそのクスリを治験に出したと考えられる
治験をしたのならばクスリの成分やクスリ自体を保管している可能性は高い
組織がクスリを作ったシェリーに黙って治験に出したということはシェリーの意図してないことだったのだろう
治験後にクスリのデータは全て破棄させられたことからも明らかだった
研究者ならばデータを全て破棄するよりどこか貸金庫など人目に触れないところに保存しておくことが多いからだ
それらを鑑みて、クスリの手がかりはもうその教授しかないと思われる
藁にも縋る思いだった
永遠にも思われる耳が痛くなるような沈黙の後、ライが言った
「…東都大学薬学部、ヴェレーノ教授だ」
一筋の光明が見えた気がした
翌日、しばらく休暇が欲しいと職場に申し出るとすんなり了承された
忙しい部署にも関わらず了承されたのは私がヒロという身内を喪ったと思われているからだろう
本当はヒロは戻ってきているけどそれを公言出来ない今、そう思われているのは都合が良かった
嘘に心が痛まないわけではない
申し訳ない気持ちはあるけど、それより今はヒロが元に戻れる方法を探す方が先決だった
大人1人を幼児退行させるほどのクスリとなると今後何らかの副作用が出ることも考えられる
実際は大人なのに子どもの姿で居続けるとヒロの身体の中で歪みがおきる可能性もあるし、このまま何事も無く過ごせるという保障もないのだから…
ヒロは何も言わないけど気が付いてないはずはないだろう
早くなんとかしないと…
学生を装い東都大学へ単独潜入するため、学生っぽくみえるようボーイッシュな服装にヒロがずっとしていた時計を合わせる
私の腕時計は電池が切れていたのでリビングにあったヒロの時計を借りたのだけど私の左腕で時を刻んでいる大きめな時計に違和感がある
いつもなら右腕に時計をするけど潜入する今は少しでも他人の印象に残ることはしたくなかった
ただでなくとも男性モノの時計をしているのだ、目に付き記憶に残る可能性は通常より高いだろう
いつも持ち歩いているスマホをリビングのテーブルへ置き、昨日新たに真田名義で契約してきたスマホをキャンパスバッグへ入れる
今回は私の単独潜入なので支援や援護は無く、最悪の事態に陥った時、自分の身分がバレないようにするための用心だった
―――
昨日はあれから2人で家に帰り、今後について話し合った
ヒロが私に何の情報も与えなかったのは全てを公平な目で見て欲しかったからだったからと打ち明けられたけど、公平な目で見られたかと言うと正直それには自信が無かった
ヒロの顔色を伺っていた部分もあるし、それよりもヒロが元に戻れるかもしれないという方に終始してしまっていたからだ
私が単独潜入すると言うとヒロに大反対された
潜入捜査をするということは通常1人で行うのでは無く、潜入捜査官を裏でサポートする人が1~3人いてチーム一丸となって行う
潜入捜査はそれほどまでに大変なことなのだ
それをよく知っているヒロの反応は当然の反応だった
しかしヒロの現状を誰にも言えない今、いち早くクスリの深層を知るためにはこれしかないと思っている
高明兄さんがいてくれたらまた状況は違ったかもしれない
高明兄さんには私には及び付かないロジックが存在するのだ
しかし私たち兄妹は公安に配属される際、家族や身内にも偽らなければならず、高明兄さんに”警察を辞めた”と伝えていたので今更こんな状況になったからと言って助力は請えなかった
私がなんとかするしかないのだ
―――
治験は病院で行うのが一般的である
東都大学には付属病院が併設されており、規則に定められた要件が整っていて治験を行うことができると過去の捜査資料で読んだことがあった
しかし今回のクスリの薬効を考えると表立っての治験は行えない
それを踏まえた上で組織はそのクスリを治験に出したと考えられる
治験をしたのならばクスリの成分やクスリ自体を保管している可能性は高い
組織がクスリを作ったシェリーに黙って治験に出したということはシェリーの意図してないことだったのだろう
治験後にクスリのデータは全て破棄させられたことからも明らかだった
研究者ならばデータを全て破棄するよりどこか貸金庫など人目に触れないところに保存しておくことが多いからだ
それらを鑑みて、クスリの手がかりはもうその教授しかないと思われる
藁にも縋る思いだった
永遠にも思われる耳が痛くなるような沈黙の後、ライが言った
「…東都大学薬学部、ヴェレーノ教授だ」
一筋の光明が見えた気がした
翌日、しばらく休暇が欲しいと職場に申し出るとすんなり了承された
忙しい部署にも関わらず了承されたのは私がヒロという身内を喪ったと思われているからだろう
本当はヒロは戻ってきているけどそれを公言出来ない今、そう思われているのは都合が良かった
嘘に心が痛まないわけではない
申し訳ない気持ちはあるけど、それより今はヒロが元に戻れる方法を探す方が先決だった
大人1人を幼児退行させるほどのクスリとなると今後何らかの副作用が出ることも考えられる
実際は大人なのに子どもの姿で居続けるとヒロの身体の中で歪みがおきる可能性もあるし、このまま何事も無く過ごせるという保障もないのだから…
ヒロは何も言わないけど気が付いてないはずはないだろう
早くなんとかしないと…
学生を装い東都大学へ単独潜入するため、学生っぽくみえるようボーイッシュな服装にヒロがずっとしていた時計を合わせる
私の腕時計は電池が切れていたのでリビングにあったヒロの時計を借りたのだけど私の左腕で時を刻んでいる大きめな時計に違和感がある
いつもなら右腕に時計をするけど潜入する今は少しでも他人の印象に残ることはしたくなかった
ただでなくとも男性モノの時計をしているのだ、目に付き記憶に残る可能性は通常より高いだろう
いつも持ち歩いているスマホをリビングのテーブルへ置き、昨日新たに真田名義で契約してきたスマホをキャンパスバッグへ入れる
今回は私の単独潜入なので支援や援護は無く、最悪の事態に陥った時、自分の身分がバレないようにするための用心だった
―――
昨日はあれから2人で家に帰り、今後について話し合った
ヒロが私に何の情報も与えなかったのは全てを公平な目で見て欲しかったからだったからと打ち明けられたけど、公平な目で見られたかと言うと正直それには自信が無かった
ヒロの顔色を伺っていた部分もあるし、それよりもヒロが元に戻れるかもしれないという方に終始してしまっていたからだ
私が単独潜入すると言うとヒロに大反対された
潜入捜査をするということは通常1人で行うのでは無く、潜入捜査官を裏でサポートする人が1~3人いてチーム一丸となって行う
潜入捜査はそれほどまでに大変なことなのだ
それをよく知っているヒロの反応は当然の反応だった
しかしヒロの現状を誰にも言えない今、いち早くクスリの深層を知るためにはこれしかないと思っている
高明兄さんがいてくれたらまた状況は違ったかもしれない
高明兄さんには私には及び付かないロジックが存在するのだ
しかし私たち兄妹は公安に配属される際、家族や身内にも偽らなければならず、高明兄さんに”警察を辞めた”と伝えていたので今更こんな状況になったからと言って助力は請えなかった
私がなんとかするしかないのだ
―――