【DC】Con te
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「良く来たな、スコッチ」
組んでいた足を優雅に組み替え視線でソファに座るように促す男性の言葉に従いヒロが私を促し、男性の真っ正面にヒロ、その横に私が座る
男性が一緒に部屋まで来ていたアンドレさんへ一瞥の視線を送ると深く頭を下げたアンドレさんが退室し、3人のみの空間となった
正面近くから見る男性の顔はとても整っており所作は優雅で気品を感じられる
この男性はヒロのことを「スコッチ」と呼んでいたのでヒロとれーくんが潜入している組織の人間だと言うことは推測出来たが、何故ヒロが事前に何の説明も無しにこの人と私を会わせようとしたかはまだ分からず、この人がライなのか分からないままピリピリと神経を尖らせている私の背に汗が一筋流れるのを感じる
3人向かい合ってどれだけの時間が流れただろう
空気清浄機の音が密かにしている静かな室内、先ほどからずっと神経を尖らせていた私には時間の経過が分からず、横に座ってたヒロに目を向けるとその視線に気づいたのかヒロが顔を上げ私の顔を見る
私は緊張のあまり酷い顔をしているのだろう、ヒロが眉尻と口角を下げ男性の方へ向き直り沈黙を破った
「ライ、紹介する。俺の協力者のあやだ」
「…ほぅ」
「あや、この人はライと言って俺が潜入していた組織に別の組織から潜入している捜査官だ」
「…」
ヒロが互いを紹介してくれたけどライに対して私を"妹"ではなく"協力者"として話したと言うことは完全に信用してない人だということなのか…
ヒロが何も話してくれないということは、私の感じたままで居て欲しいと言うことだろう
どのように対応したら良いか分からずライに対し頭を軽く下げるに止め、2人の動向を伺うことにする
「…スコッチにそっくりだな」
「あぁ、双子の妹だ」
「ほぅopposite sex twinsか」
目の奥に光を宿らせ発したネイティブな英語に思わずライの顔を見ると楽しそうに口元に笑みを浮かべていた
ヒロがなんなく私と兄妹であることをカミングアウトしているところを見るとヒロの信頼している人なのだろう
少し私の中の警戒を緩めても良さそうだ
この人が…ヒロを助けてくれたライ…
ヒロへ目を向けると目が合い、頷くヒロ
私の思っていることがヒロに伝わっているようだった
「スコッチ、クスリの件だが明美に聞いて貰ったがクスリは完全破棄されており入手不能とのことだ。…すまない」
「…そうか…」
無感情のまま話しているライの様子は言葉通りの謝罪の意思は感じられないように見える
一見冷たくも感じるけど私にとってはヒロの命を助けてくれた人に変わりはなかった
目を伏せ落ち込んだ様子のヒロの頭を、いつもヒロが撫でてくれるように撫でるとコテンと私の身体に身を寄せてきた
俯き、帽子で表情が隠されているけど小さな身体が震えている
ヒロには思うところはたくさんあるだろう、身体が縮んだわけじゃない私にだって思うところはある
私がヒロの身体を引き寄せたその様子を見て
「あや、俺に聞きたいことがあるのだろう?」
ライがそう私に促すと、ヒロが目に見えて分かる程大仰にビクッとする
ヒロを落ち着かせようと抱き寄せた手でポンポンとして顔を見ると帽子の向こうのつり上がった瞳は憂慮しているのかまだ落ち着かない様子で揺れていた
「そう…ね。クスリが入手不可なのは分かりました。成分表の入手は可能ですか?」
「成分表については無理だろう。別のクスリを作っていて偶然出来たクスリで組織が希望した効果じゃ無いからデータは全て破棄させられたと聞いた」
「…ならクスリの解毒剤…元に戻すクスリを作っているところがあるか、他に研究してる人がいるかどうかを知りたいです」
「組織で把握していたのは一時的に仮死状態になるだけのものだったようだから解毒剤が存在するかと言われると答えはNoだ」
ライの言葉に細い手がかりが切れそうになっているのを感じる
確かに私は今のヒロの状態を見て”解毒剤”と言ってるけど実際の効果からは想定されてない効果なのだ
思わず小さなヒロの手を握りしめるとライは形の良い唇から引き続き言葉を紡ぎ出した
「しかしクスリを作ったシェリーに黙って、組織が治験に出した先がある」
「治験…」
「調べたところ、東都大学にいる教授が現在、組織のクスリ専門チームに取り入ろうとしているらしい」
「!!…その教授の名前を教えてください!」
ライの言葉から一筋の光明を見いだした私は食い入るようにライを見つめる
今の話の流れから組織が治験に出した先というのは組織に取り入ろうとしているその教授の下だろう
ヒロが私の手を握り、その手に力を込める
私もその小さな手を握り返した
私たち兄妹の気持ちは一緒だった
2人で穴が開くくらい必死にライを見つめ続けているとライは悠然と視線を窓の外に逸らす
こちらは必死なのに彼の周りだけ別次元のように時間が穏やかに流れているようだった
組んでいた足を優雅に組み替え視線でソファに座るように促す男性の言葉に従いヒロが私を促し、男性の真っ正面にヒロ、その横に私が座る
男性が一緒に部屋まで来ていたアンドレさんへ一瞥の視線を送ると深く頭を下げたアンドレさんが退室し、3人のみの空間となった
正面近くから見る男性の顔はとても整っており所作は優雅で気品を感じられる
この男性はヒロのことを「スコッチ」と呼んでいたのでヒロとれーくんが潜入している組織の人間だと言うことは推測出来たが、何故ヒロが事前に何の説明も無しにこの人と私を会わせようとしたかはまだ分からず、この人がライなのか分からないままピリピリと神経を尖らせている私の背に汗が一筋流れるのを感じる
3人向かい合ってどれだけの時間が流れただろう
空気清浄機の音が密かにしている静かな室内、先ほどからずっと神経を尖らせていた私には時間の経過が分からず、横に座ってたヒロに目を向けるとその視線に気づいたのかヒロが顔を上げ私の顔を見る
私は緊張のあまり酷い顔をしているのだろう、ヒロが眉尻と口角を下げ男性の方へ向き直り沈黙を破った
「ライ、紹介する。俺の協力者のあやだ」
「…ほぅ」
「あや、この人はライと言って俺が潜入していた組織に別の組織から潜入している捜査官だ」
「…」
ヒロが互いを紹介してくれたけどライに対して私を"妹"ではなく"協力者"として話したと言うことは完全に信用してない人だということなのか…
ヒロが何も話してくれないということは、私の感じたままで居て欲しいと言うことだろう
どのように対応したら良いか分からずライに対し頭を軽く下げるに止め、2人の動向を伺うことにする
「…スコッチにそっくりだな」
「あぁ、双子の妹だ」
「ほぅopposite sex twinsか」
目の奥に光を宿らせ発したネイティブな英語に思わずライの顔を見ると楽しそうに口元に笑みを浮かべていた
ヒロがなんなく私と兄妹であることをカミングアウトしているところを見るとヒロの信頼している人なのだろう
少し私の中の警戒を緩めても良さそうだ
この人が…ヒロを助けてくれたライ…
ヒロへ目を向けると目が合い、頷くヒロ
私の思っていることがヒロに伝わっているようだった
「スコッチ、クスリの件だが明美に聞いて貰ったがクスリは完全破棄されており入手不能とのことだ。…すまない」
「…そうか…」
無感情のまま話しているライの様子は言葉通りの謝罪の意思は感じられないように見える
一見冷たくも感じるけど私にとってはヒロの命を助けてくれた人に変わりはなかった
目を伏せ落ち込んだ様子のヒロの頭を、いつもヒロが撫でてくれるように撫でるとコテンと私の身体に身を寄せてきた
俯き、帽子で表情が隠されているけど小さな身体が震えている
ヒロには思うところはたくさんあるだろう、身体が縮んだわけじゃない私にだって思うところはある
私がヒロの身体を引き寄せたその様子を見て
「あや、俺に聞きたいことがあるのだろう?」
ライがそう私に促すと、ヒロが目に見えて分かる程大仰にビクッとする
ヒロを落ち着かせようと抱き寄せた手でポンポンとして顔を見ると帽子の向こうのつり上がった瞳は憂慮しているのかまだ落ち着かない様子で揺れていた
「そう…ね。クスリが入手不可なのは分かりました。成分表の入手は可能ですか?」
「成分表については無理だろう。別のクスリを作っていて偶然出来たクスリで組織が希望した効果じゃ無いからデータは全て破棄させられたと聞いた」
「…ならクスリの解毒剤…元に戻すクスリを作っているところがあるか、他に研究してる人がいるかどうかを知りたいです」
「組織で把握していたのは一時的に仮死状態になるだけのものだったようだから解毒剤が存在するかと言われると答えはNoだ」
ライの言葉に細い手がかりが切れそうになっているのを感じる
確かに私は今のヒロの状態を見て”解毒剤”と言ってるけど実際の効果からは想定されてない効果なのだ
思わず小さなヒロの手を握りしめるとライは形の良い唇から引き続き言葉を紡ぎ出した
「しかしクスリを作ったシェリーに黙って、組織が治験に出した先がある」
「治験…」
「調べたところ、東都大学にいる教授が現在、組織のクスリ専門チームに取り入ろうとしているらしい」
「!!…その教授の名前を教えてください!」
ライの言葉から一筋の光明を見いだした私は食い入るようにライを見つめる
今の話の流れから組織が治験に出した先というのは組織に取り入ろうとしているその教授の下だろう
ヒロが私の手を握り、その手に力を込める
私もその小さな手を握り返した
私たち兄妹の気持ちは一緒だった
2人で穴が開くくらい必死にライを見つめ続けているとライは悠然と視線を窓の外に逸らす
こちらは必死なのに彼の周りだけ別次元のように時間が穏やかに流れているようだった