【DC】Con te
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◇◆◇
私の気の済むまで抱きしめさせてくれ、その間ずっと小さな手でいつものように頭を撫でてくれたヒロは私が落ち着いたのを見計らいソッと身を離す
その様子からもやっぱりこの子はヒロなんだと実感させられる
「あや、話がある」
幼い顔のヒロは真面目な顔して私の袖を引きソファに座る
私もソファに座れと言うことなんだろう
ヒロの隣に座る
変声期前特有の子どもの高い声は遙か昔に良く聞いた懐かしい声だ
この頃は見た目もさることながらヒロと私の声、聞き分けの付かない人もたくさんいたっけ…と懐かしく思い出す
記憶を思い起こす方に気をやっているとヒロは小さな指を一本立てて私の目の前へ向け言った
「まず、出勤時間ギリギリだから職場に電話すること」
言われて時計を見ると今から急いで登庁しても既に遅刻となる時間を指していた
相変わらず時間に几帳面なヒロだなと、またひとつ目の前の子どもがヒロであることに安心しながらも落としたスマホを拾い上げ、自分のデスクへ電話する
この時間なら神津くんがもう出勤しているだろう
思った通り神津くんが電話に出てくれたので彼に緊急の要件の為遅れて出勤する旨を伝え、それを風見さんと山田さんへも伝えて欲しいと話して電話を切った
れーくんは今日出勤日では無いし、仮に登庁して来たとしても風見さんから私の話は聞くはずだ
ホッと息を吐き、ヒロに向き直ると安心したのか小さく息を吐いたヒロが自分の身の上に起こった事を話し始めた――
――ヒロが話し終えた時、最初に思ったことは絵空事のようだと言うことだった
だけど実際目の前には小さくなったヒロがいて、その子がヒロであることを私は確信している
実際の5~6歳の子どもは今のヒロような言葉の使い方ではなく語録や語彙力はもっと低い
ヒロの話は齟齬もなくすんなりと受け入れられたし、先ほど私の頭を撫でてくれた撫で方はいつものヒロのそれだった
何があっても、何を言われてもこの子は私の中でヒロ本人と断言できる
これからの話も、ヒロの気持ちもよく分かった
ヒロは自身の命を危険に晒すことになった情報を組織にもたらした裏切り者―ヒロが言うユダ―を探し出し、このままだと次はれーくんが自分と同じくNOCとバレて始末されるのでその彼を守り助けたいと言う
私はそのヒロの気持ちに沿いたいし、2度と身近な人を喪うという昨晩のような思いはしたくなかった
そして私のエゴになるけどヒロが元に戻れる方法も全力で探したい
生きていてくれたことはとても嬉しいし、姿が変わってしまってもここに帰ってきてくれたことが本当に嬉しい
小さくとも全ての記憶を持つヒロなのだ
大切な私の双子の片割れ、家族
ヒロは自身の今のことについてこのままでも良いとも元に戻りたいとも言ってないけど、ヒロとは双子なのでこれからも同じ刻を過ごし共に同じように年齢を重ねたいと思う
ヒロが生きていてくれただけで満足すべきなのに生きていてくれたという安心感のせいか新しい欲が私の中に湧いてきていた
「あや、俺からお願いなんだけど…」
私より遙かに小さいヒロは座っていても私より小さく、私を見上げながら言葉を濁す
「何?ヒロ」
「……俺のことなんだけど…生きてるってしばらくゼロには伝えないで欲しい」
「え…?」
ヒロのお願いが理解出来ず困惑する
れーくんだってヒロを喪って、それを目の前で彼は見て確認しているんだからヒロが生きてると知ったらとても喜ぶし今後のことも親身に協力してくれるだろうに…
ヒロは眉を寄せ、ちょっと辛そうな、それでいてちょっと気まずそうな顔をしている
「なんで…?」
「ゼロは組織に潜入している人間だからゼロが俺と接触すると組織に俺が生きてるとバレてしまう危険性がある。今回のこの作戦を考えてくれたライ…FBIからの潜入捜査官をも危険に巻き込む可能性がある。だからいくらゼロと言えど俺のことはまだ知らせないで欲しい」
「…分かった」
ヒロの言うことは筋が通っているし、小さくなっていると言え大人のヒロの面影も残っているから大人が小さくなるなんてSFみたいな話でもバレる可能性は確かに無いわけじゃ無いだろう
「れーくんに話さず公安にいるだろうユダをヒロはどうやって探すつもり?私は何でもするけど流石に警視庁の方は私では動きにくいよ?」
「公安じゃ無いけど萩原と松田に頼もうと思ってる。あいつらなら信頼出来るし」
「…確かに彼らは信頼出来るけど…。それなら航じゃダメなの?航も信頼出来るよ?」
「それは俺も考えたんだけど本庁内だと捜一(捜査一課)と公安って仲悪いんだ…。捜一のホシを公安が無理矢理奪ったり、公安は秘密主義だから理由を話さず捜一を使う事もあって捜一の方から敵視されてるんだよ」
確かにその話は聞いたことがある
権力的に捜一より公安の方が強いから公安が捜一を押さえつけてるとか情報収集など足代わりに捜一を使って良いとこだけを公安が持っていくが捜一に情報開示は一切されないとか、あまり良い話は聞かない
「その点機動隊は現場が一緒になることも多いし、敵視されてることも無いし顔見知りも多い」
「…れーくんはダメなのに公安じゃない彼らは巻き込むの?」
れーくんにヒロが生きてることを知らせたくない理由は納得できたけど、代わりに爆処の2人を巻き込むのは賛成できない
勢いで航の名前を出してしまったけど、本来なら航だって巻き込むのは賛成できない
「……」
「公安内にユダがいることは分かるよ。ヒロの先輩の風見さんだって容疑者の1人になるから風見さんに言いにくいのも分かる。
れーくんも容疑者の1人になるよね。だかられーくんに言わないって言うのも分かるよ。
そうじゃなくても組織にいる人だから話してヒロが生きてるのバレるの避けたいっていうさっきの話も理解出来る。
それに突き詰めていくと私だって容疑者の1人になるけどヒロは私を信じてくれたから帰ってきてくれたんだろうし…話してくれたんだよね?
だから…だからこそれーくんに言えないって話をしてるのに研ちゃんや陣平を巻き込むのは違うと思うの…」
ヒロも私の言いたいことに気が付いたのだろう、何も言わず悔しそうな、それでいて気まずそうな顔をして私から顔を背け俯く
ヒロがこのような態度を取る時はヒロの中で何かしら思うところがある時で、その思う相手や内容は経験上、私に関することが多い
多分ヒロは私に関することで何かしら引っかかっていることがあるのだろうと思う
私には心当たりが無いし、ここは間違える訳にはいかないからヒロに確認すべきことなのかもしれないけどヒロから拒絶されてる感を受けるので私も一歩踏み出せずにいた
こんなことはお互いに初めてだ
ヒロは唇を噛みしめ、何か言いたそうに口を開きかけたけどキュッと閉じ、意を決したように私へと視線を戻して言った
「……そしたらまず2人で動こう。その後のことはその都度また考えよう」
ヒロが言いたいことを自分の奥底に飲み込んだのを感じて何だか無性に悲しくなった
今までここまで頑なに1人で抱え込むことのなかったヒロだったから余計だ
いつも兄妹2人で共有しながら寄り添いあって生きてきたんだけどな…
そう思うと悲しくて出そうになる涙を必死で堪える
今まで私はヒロの存在に依存してたけどそれはヒロも同じだったと思う
ヒロも前までは私という妹の存在に依存していたけど、今のヒロはそうではないようだ
生まれて初めて、ヒロとの間に距離を感じていた
私の気の済むまで抱きしめさせてくれ、その間ずっと小さな手でいつものように頭を撫でてくれたヒロは私が落ち着いたのを見計らいソッと身を離す
その様子からもやっぱりこの子はヒロなんだと実感させられる
「あや、話がある」
幼い顔のヒロは真面目な顔して私の袖を引きソファに座る
私もソファに座れと言うことなんだろう
ヒロの隣に座る
変声期前特有の子どもの高い声は遙か昔に良く聞いた懐かしい声だ
この頃は見た目もさることながらヒロと私の声、聞き分けの付かない人もたくさんいたっけ…と懐かしく思い出す
記憶を思い起こす方に気をやっているとヒロは小さな指を一本立てて私の目の前へ向け言った
「まず、出勤時間ギリギリだから職場に電話すること」
言われて時計を見ると今から急いで登庁しても既に遅刻となる時間を指していた
相変わらず時間に几帳面なヒロだなと、またひとつ目の前の子どもがヒロであることに安心しながらも落としたスマホを拾い上げ、自分のデスクへ電話する
この時間なら神津くんがもう出勤しているだろう
思った通り神津くんが電話に出てくれたので彼に緊急の要件の為遅れて出勤する旨を伝え、それを風見さんと山田さんへも伝えて欲しいと話して電話を切った
れーくんは今日出勤日では無いし、仮に登庁して来たとしても風見さんから私の話は聞くはずだ
ホッと息を吐き、ヒロに向き直ると安心したのか小さく息を吐いたヒロが自分の身の上に起こった事を話し始めた――
――ヒロが話し終えた時、最初に思ったことは絵空事のようだと言うことだった
だけど実際目の前には小さくなったヒロがいて、その子がヒロであることを私は確信している
実際の5~6歳の子どもは今のヒロような言葉の使い方ではなく語録や語彙力はもっと低い
ヒロの話は齟齬もなくすんなりと受け入れられたし、先ほど私の頭を撫でてくれた撫で方はいつものヒロのそれだった
何があっても、何を言われてもこの子は私の中でヒロ本人と断言できる
これからの話も、ヒロの気持ちもよく分かった
ヒロは自身の命を危険に晒すことになった情報を組織にもたらした裏切り者―ヒロが言うユダ―を探し出し、このままだと次はれーくんが自分と同じくNOCとバレて始末されるのでその彼を守り助けたいと言う
私はそのヒロの気持ちに沿いたいし、2度と身近な人を喪うという昨晩のような思いはしたくなかった
そして私のエゴになるけどヒロが元に戻れる方法も全力で探したい
生きていてくれたことはとても嬉しいし、姿が変わってしまってもここに帰ってきてくれたことが本当に嬉しい
小さくとも全ての記憶を持つヒロなのだ
大切な私の双子の片割れ、家族
ヒロは自身の今のことについてこのままでも良いとも元に戻りたいとも言ってないけど、ヒロとは双子なのでこれからも同じ刻を過ごし共に同じように年齢を重ねたいと思う
ヒロが生きていてくれただけで満足すべきなのに生きていてくれたという安心感のせいか新しい欲が私の中に湧いてきていた
「あや、俺からお願いなんだけど…」
私より遙かに小さいヒロは座っていても私より小さく、私を見上げながら言葉を濁す
「何?ヒロ」
「……俺のことなんだけど…生きてるってしばらくゼロには伝えないで欲しい」
「え…?」
ヒロのお願いが理解出来ず困惑する
れーくんだってヒロを喪って、それを目の前で彼は見て確認しているんだからヒロが生きてると知ったらとても喜ぶし今後のことも親身に協力してくれるだろうに…
ヒロは眉を寄せ、ちょっと辛そうな、それでいてちょっと気まずそうな顔をしている
「なんで…?」
「ゼロは組織に潜入している人間だからゼロが俺と接触すると組織に俺が生きてるとバレてしまう危険性がある。今回のこの作戦を考えてくれたライ…FBIからの潜入捜査官をも危険に巻き込む可能性がある。だからいくらゼロと言えど俺のことはまだ知らせないで欲しい」
「…分かった」
ヒロの言うことは筋が通っているし、小さくなっていると言え大人のヒロの面影も残っているから大人が小さくなるなんてSFみたいな話でもバレる可能性は確かに無いわけじゃ無いだろう
「れーくんに話さず公安にいるだろうユダをヒロはどうやって探すつもり?私は何でもするけど流石に警視庁の方は私では動きにくいよ?」
「公安じゃ無いけど萩原と松田に頼もうと思ってる。あいつらなら信頼出来るし」
「…確かに彼らは信頼出来るけど…。それなら航じゃダメなの?航も信頼出来るよ?」
「それは俺も考えたんだけど本庁内だと捜一(捜査一課)と公安って仲悪いんだ…。捜一のホシを公安が無理矢理奪ったり、公安は秘密主義だから理由を話さず捜一を使う事もあって捜一の方から敵視されてるんだよ」
確かにその話は聞いたことがある
権力的に捜一より公安の方が強いから公安が捜一を押さえつけてるとか情報収集など足代わりに捜一を使って良いとこだけを公安が持っていくが捜一に情報開示は一切されないとか、あまり良い話は聞かない
「その点機動隊は現場が一緒になることも多いし、敵視されてることも無いし顔見知りも多い」
「…れーくんはダメなのに公安じゃない彼らは巻き込むの?」
れーくんにヒロが生きてることを知らせたくない理由は納得できたけど、代わりに爆処の2人を巻き込むのは賛成できない
勢いで航の名前を出してしまったけど、本来なら航だって巻き込むのは賛成できない
「……」
「公安内にユダがいることは分かるよ。ヒロの先輩の風見さんだって容疑者の1人になるから風見さんに言いにくいのも分かる。
れーくんも容疑者の1人になるよね。だかられーくんに言わないって言うのも分かるよ。
そうじゃなくても組織にいる人だから話してヒロが生きてるのバレるの避けたいっていうさっきの話も理解出来る。
それに突き詰めていくと私だって容疑者の1人になるけどヒロは私を信じてくれたから帰ってきてくれたんだろうし…話してくれたんだよね?
だから…だからこそれーくんに言えないって話をしてるのに研ちゃんや陣平を巻き込むのは違うと思うの…」
ヒロも私の言いたいことに気が付いたのだろう、何も言わず悔しそうな、それでいて気まずそうな顔をして私から顔を背け俯く
ヒロがこのような態度を取る時はヒロの中で何かしら思うところがある時で、その思う相手や内容は経験上、私に関することが多い
多分ヒロは私に関することで何かしら引っかかっていることがあるのだろうと思う
私には心当たりが無いし、ここは間違える訳にはいかないからヒロに確認すべきことなのかもしれないけどヒロから拒絶されてる感を受けるので私も一歩踏み出せずにいた
こんなことはお互いに初めてだ
ヒロは唇を噛みしめ、何か言いたそうに口を開きかけたけどキュッと閉じ、意を決したように私へと視線を戻して言った
「……そしたらまず2人で動こう。その後のことはその都度また考えよう」
ヒロが言いたいことを自分の奥底に飲み込んだのを感じて何だか無性に悲しくなった
今までここまで頑なに1人で抱え込むことのなかったヒロだったから余計だ
いつも兄妹2人で共有しながら寄り添いあって生きてきたんだけどな…
そう思うと悲しくて出そうになる涙を必死で堪える
今まで私はヒロの存在に依存してたけどそれはヒロも同じだったと思う
ヒロも前までは私という妹の存在に依存していたけど、今のヒロはそうではないようだ
生まれて初めて、ヒロとの間に距離を感じていた