【DC】Con te
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れーくんの運転するスカイラインに乗り、言葉無い車内で窓の外を流れる東都の街並みの灯りをぼんやり見ながらヒロの話を思い出していた
以前ヒロかられーくんは今潜入している組織内で情報屋として動いているという話を聞いたことがあった
情報の入手法は公安を使う事もあるけど相手を酔い潰して入手したり異性の場合は時によりハニトラで相手から情報を引き出すということ(もちろん他にも色々情報を引き出す方法はあるんだろうけど、この時はこの話だけだった)
ハニトラと言えば異性から情報を引き出す時に使用される古くからの常套手段で最終的にはベッドインして行為中及び行為後に情報を引き出すというものなのだけど、れーくんは決してベッドインせずキスだけで相手を落とすらしい
「キスだけで落とすなんてゼロのキスのテクニックってどんなんだろうな~」
とヒロは言っていた
先ほどのれーくんとのキスを思い出して顔に熱を持つ
きっと私の顔は赤くなっているから暗い車内で良かった
私はそちらの方面に関しては色々未経験なので先ほどのれーくんのキスがどのくらいのものか分からない…けど、きっと先ほどのものよりずっと艶めかしいのだろうと思う
れーくんがどういう意図で私にキスしてきたのかは本人にしか分からないし、それを私が彼に聞くのは「無かったことにしよう」と自分から言ってしまった手前、掘り返すのはルール違反
これからもずっとあの時の事を悶々と聞けないまま思い出したりするのかもしれない…
そんなことを考えていたらふと思い出し、気がついたことがあった
れーくんは確かパーティ会場で上山孝太郎のパートナーとどっかに行ってしまってたのだ
なので彼の動向確認が出来ないまま私は上山孝太郎と一緒に会場を出ることになったのである
れーくんは心配してくれたんだろうとは思うけどこれって私が悪かったのかしら?
私の状況は逐一盗聴器から風見さんに入っていたし、事前打ち合わせにはなかったけど(れーくんが意図的に私に伝えなかったのだけど)結果的に最善の方法だったんじゃないだろうか?
一方上山孝太郎のパートナーと行動を共にしていたれーくんの方はどうだったのだろう?
聞いてみようとれーくんの方へちらりと目線を動かすと綺麗だけど表情の無い寒々とした顔でステアリングを握って前を向いており、壁を感じて声を掛けることが出来ず言葉を飲み込んだ
警察病院に着く前にれーくんが風見さんに連絡してくれていたので風見さんが病院の前で待っていてくれた
自分で車を降りようとしたらスカイラインの方へ来てくれた風見さんがスマートにエスコートしてくれる
れーくんも風見さんもエスコート慣れしてて凄いなと戸惑いながらもエスコートされる側の私は思う
風見さんのれーくんより無骨な手を取ると私の腕の黒いものが目に入った
れーくんのジャケットだ
ずっとれーくんのジャケットを借りたままだったので車から降りて慌てて脱ごうとするもれーくんに制されジャケットに手を掛けたままの私は宙ぶらりんになってしまい、ジャケットの端を握りしめた
「風見、上山の病室は?」
「最上階の特室を押さえてあります」
「分かった。容態は?」
「浴槽内で感電したようです。今は適切な治療を受けています」
「意識は?」
「まだ戻ってません」
「そうか。あや、風見に記録媒体を渡して」
れーくんに急に話を振られて私は慌ててクラッチバッグの二重底にした最奥から記録媒体を取り出し風見さんに手渡す
「至急解析に回します」
「任せた」
風見さんが乗ってきたのだろう官用車のクラウンへ向かって駆けていく
「上山の意識が戻っていたらあやに何したか尋問しようと思ってたけど意識戻ってないなら行く理由も無いな」
ふぅと息を吐きれーくんが言ったのを聞いて身震いした
私の言った内容をどうやられーくんは納得してなかったらしい
上山孝太郎の意識が戻っていなくて良かったと思わず安堵してしまう
もしかしたられーくんは上山孝太郎のパートナーと何らかの事があって私の事も話した内容だけで終わってると思っていないのかもしれない
もう余計にれーくんの方は何があったかは尋ねられないなと思いながられーくんを見上げる
「上山の意識が戻らないならこれ以上は何も出来ない。今日はこれでお開きとしよう。後は僕が風見と打ち合わせておくから明日中にあやの方の報告書をまとめておいて欲しい」
「…了解です」
「送ってく」
スカイラインに歩いて行くれーくんの後について車に戻り、れーくんにエスコートされて乗り込んだ
私をエスコートした後のれーくんが運転席に乗り込むと運転席側に一瞬車が傾く
「あや、銃と盗聴器外してこちらへ」
言われてアンクルホルスターごと盗聴器を外し、れーくんにさくらちゃんとスピードローダーの携行弾数の確認をして貰う
弾数を指差し確認後、ダッシュボードに直した
直しながら今回は銃を使わなくてはならない場面に遭遇しなくて良かったと思う
銃の携行を指示された案件では場合によって発砲する時もある
その中でも今回は失敗は許されないと言われていたし要人であった上山孝太郎の確実な確保に必要な場面を想定されての携行だったから
上山孝太郎のSPが1人しかいなかったことも使わずに済んだ理由の1つ
1人なら相手がSPと言えど銃を使わずとも公安の人間ならば制圧することは可能である
今度はれーくんの弾数確認をしようとショルダーホルスターを外すのを待っているとれーくん手で制された
そういえばジャケットを貸してくれた時、れーくんはショルダーホルスターをしてなかった
もちろん今もしていない
…れーくんショルダーホルスターはどうしたんだろう?
そう思い口に出そうとしたけどさらさらの枇杷茶色の髪を揺らして笑顔のまま首を傾げているれーくん
笑顔なのに有無を言わさない雰囲気を出している彼との間に壁を感じて思わずれーくんの袖を掴む
ビクッとしたれーくんは驚いたのか少し目を見開いたけど何も言わず秘色の瞳で真っ直ぐ私を見た
私やヒロより色素の薄いその瞳で彼は何を思っているのだろう
そして私はどうしたいのだろう
れーくんとの関係が変わろうとしているのか、れーくんが変えようとしているのか、はたまた私が変えようとしているのか…
今日一日でれーくんとの間の出来事が多すぎて私の頭はパンクしそうだ
どこにもやりきれない気持ちを抱えたまま視線を外し、そっとれーくんの袖を離す
ふわりとどこからともなくエゴイストプラチナムの香りがした
その香りがれーくんからなのか、自分からなのか私には分からなかった
◇◆◇
以前ヒロかられーくんは今潜入している組織内で情報屋として動いているという話を聞いたことがあった
情報の入手法は公安を使う事もあるけど相手を酔い潰して入手したり異性の場合は時によりハニトラで相手から情報を引き出すということ(もちろん他にも色々情報を引き出す方法はあるんだろうけど、この時はこの話だけだった)
ハニトラと言えば異性から情報を引き出す時に使用される古くからの常套手段で最終的にはベッドインして行為中及び行為後に情報を引き出すというものなのだけど、れーくんは決してベッドインせずキスだけで相手を落とすらしい
「キスだけで落とすなんてゼロのキスのテクニックってどんなんだろうな~」
とヒロは言っていた
先ほどのれーくんとのキスを思い出して顔に熱を持つ
きっと私の顔は赤くなっているから暗い車内で良かった
私はそちらの方面に関しては色々未経験なので先ほどのれーくんのキスがどのくらいのものか分からない…けど、きっと先ほどのものよりずっと艶めかしいのだろうと思う
れーくんがどういう意図で私にキスしてきたのかは本人にしか分からないし、それを私が彼に聞くのは「無かったことにしよう」と自分から言ってしまった手前、掘り返すのはルール違反
これからもずっとあの時の事を悶々と聞けないまま思い出したりするのかもしれない…
そんなことを考えていたらふと思い出し、気がついたことがあった
れーくんは確かパーティ会場で上山孝太郎のパートナーとどっかに行ってしまってたのだ
なので彼の動向確認が出来ないまま私は上山孝太郎と一緒に会場を出ることになったのである
れーくんは心配してくれたんだろうとは思うけどこれって私が悪かったのかしら?
私の状況は逐一盗聴器から風見さんに入っていたし、事前打ち合わせにはなかったけど(れーくんが意図的に私に伝えなかったのだけど)結果的に最善の方法だったんじゃないだろうか?
一方上山孝太郎のパートナーと行動を共にしていたれーくんの方はどうだったのだろう?
聞いてみようとれーくんの方へちらりと目線を動かすと綺麗だけど表情の無い寒々とした顔でステアリングを握って前を向いており、壁を感じて声を掛けることが出来ず言葉を飲み込んだ
警察病院に着く前にれーくんが風見さんに連絡してくれていたので風見さんが病院の前で待っていてくれた
自分で車を降りようとしたらスカイラインの方へ来てくれた風見さんがスマートにエスコートしてくれる
れーくんも風見さんもエスコート慣れしてて凄いなと戸惑いながらもエスコートされる側の私は思う
風見さんのれーくんより無骨な手を取ると私の腕の黒いものが目に入った
れーくんのジャケットだ
ずっとれーくんのジャケットを借りたままだったので車から降りて慌てて脱ごうとするもれーくんに制されジャケットに手を掛けたままの私は宙ぶらりんになってしまい、ジャケットの端を握りしめた
「風見、上山の病室は?」
「最上階の特室を押さえてあります」
「分かった。容態は?」
「浴槽内で感電したようです。今は適切な治療を受けています」
「意識は?」
「まだ戻ってません」
「そうか。あや、風見に記録媒体を渡して」
れーくんに急に話を振られて私は慌ててクラッチバッグの二重底にした最奥から記録媒体を取り出し風見さんに手渡す
「至急解析に回します」
「任せた」
風見さんが乗ってきたのだろう官用車のクラウンへ向かって駆けていく
「上山の意識が戻っていたらあやに何したか尋問しようと思ってたけど意識戻ってないなら行く理由も無いな」
ふぅと息を吐きれーくんが言ったのを聞いて身震いした
私の言った内容をどうやられーくんは納得してなかったらしい
上山孝太郎の意識が戻っていなくて良かったと思わず安堵してしまう
もしかしたられーくんは上山孝太郎のパートナーと何らかの事があって私の事も話した内容だけで終わってると思っていないのかもしれない
もう余計にれーくんの方は何があったかは尋ねられないなと思いながられーくんを見上げる
「上山の意識が戻らないならこれ以上は何も出来ない。今日はこれでお開きとしよう。後は僕が風見と打ち合わせておくから明日中にあやの方の報告書をまとめておいて欲しい」
「…了解です」
「送ってく」
スカイラインに歩いて行くれーくんの後について車に戻り、れーくんにエスコートされて乗り込んだ
私をエスコートした後のれーくんが運転席に乗り込むと運転席側に一瞬車が傾く
「あや、銃と盗聴器外してこちらへ」
言われてアンクルホルスターごと盗聴器を外し、れーくんにさくらちゃんとスピードローダーの携行弾数の確認をして貰う
弾数を指差し確認後、ダッシュボードに直した
直しながら今回は銃を使わなくてはならない場面に遭遇しなくて良かったと思う
銃の携行を指示された案件では場合によって発砲する時もある
その中でも今回は失敗は許されないと言われていたし要人であった上山孝太郎の確実な確保に必要な場面を想定されての携行だったから
上山孝太郎のSPが1人しかいなかったことも使わずに済んだ理由の1つ
1人なら相手がSPと言えど銃を使わずとも公安の人間ならば制圧することは可能である
今度はれーくんの弾数確認をしようとショルダーホルスターを外すのを待っているとれーくん手で制された
そういえばジャケットを貸してくれた時、れーくんはショルダーホルスターをしてなかった
もちろん今もしていない
…れーくんショルダーホルスターはどうしたんだろう?
そう思い口に出そうとしたけどさらさらの枇杷茶色の髪を揺らして笑顔のまま首を傾げているれーくん
笑顔なのに有無を言わさない雰囲気を出している彼との間に壁を感じて思わずれーくんの袖を掴む
ビクッとしたれーくんは驚いたのか少し目を見開いたけど何も言わず秘色の瞳で真っ直ぐ私を見た
私やヒロより色素の薄いその瞳で彼は何を思っているのだろう
そして私はどうしたいのだろう
れーくんとの関係が変わろうとしているのか、れーくんが変えようとしているのか、はたまた私が変えようとしているのか…
今日一日でれーくんとの間の出来事が多すぎて私の頭はパンクしそうだ
どこにもやりきれない気持ちを抱えたまま視線を外し、そっとれーくんの袖を離す
ふわりとどこからともなくエゴイストプラチナムの香りがした
その香りがれーくんからなのか、自分からなのか私には分からなかった
◇◆◇