【DC】Con te
お名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
自宅に着き、俺が連れて行くと言ったがそれを拒んだゼロはあやを再び横抱きで抱き上げ俺たちの部屋へ連れ帰った後、ゼロは俺にあやを任せて風見さんと落ち合う為に出て行った
今は兄妹二人きりだ
あやは洗面台に置いてあるスツールに座り洗面台に凭り掛かって力なくへたり込んでおり、うわごとのように発してる声は静かなこの場では口元に耳を寄せなくても十分に聞こえる
…ずっと俺の名前を呼んでいるのだ、あやは
「ヒロ…ヒ、ロ…」
「あや、俺はここにいるよ」
「ヒ…ロ、ヒロ」
荒い呼吸の合間に俺の名を呼び続けるあやに自分の存在を知らせ安心させたくてあやを抱きしめたが反応は無く、くたりとしているあやから抱きしめ返されることは無かった
あやは多分クスリを飲まされている…これがゼロと俺の共通の認識だ
潜入捜査時、違法なこともしなくてはならないことがある
潜入先に怪しまれないよう今のあやのように違法薬物でも身を張って摂取しなくてはならないこともある
少量だとしても違法薬物を摂取したことの無い人間が摂取すれば当然効果は出るしアルコールと違い摂取訓練が出来ないので耐性の有無や効果の具合は未知数だ
1度きりの摂取なので離脱症状は出ないだろうと思うがクスリが抜けきるまで油断は出来ない
今回はアルコールと同時摂取しているだろうことはあやの呼気から分かっているので通常摂取時より深くクスリの効果は出ていると容易に推測が出来る
初めての摂取であるならば耐性も無くアルコールとの同時摂取なので効果は抜群だと言っていいだろう
あやの胃の中のものを全て吐き出させ失われただろう水分を無理矢理取らせる
吐き出せている間に気がついたが、足ほどでは無いが手のひらも怪我している
胃の内容物を吐き出させた次は怪我の治療と休養が必要だ
あやを横抱きで抱きかかえあやのベッドへ連れていき下ろそうとするとそれまで重力に逆らわずブランとしていたあやの腕に力が入り急に俺の首に絡みついてきた
シャランとあやの腕のブレスレットが俺の耳元で音を立てる
「あや、離して」
「い…や…っ…!」
「あや、すぐ戻ってくるから」
「い…やぁ…ヒロ…」
ポロポロと涙を流し俺から離れまいとしがみつくあや
そんなあやをベッドに下ろしはしたがあやの腕は俺から離れることはなく、俺はベッドに腰を下ろしあやの頭をポンポンといつものように撫でる
この撫で方は兄直伝であり、幼少の頃あやや俺が泣くと兄は少し困った顔して泣き止むまで撫でてくれていた
兄と離れて暮らす事になってから俺もいつしかあやを撫でる時、兄に自分がして貰った撫で方であやを撫でるようになっていた
俺が兄にして貰った撫で方以外の撫で方を知らないのもあるが、兄と離れた今では俺が撫でるとあやはいつも安心した嬉しそうな顔を浮かべる
もしかしたらあやは俺に撫でられてる時に兄を垣間見ているのかもしれない
グスグスと鼻をすすり上げ俺にしがみついていたが、そのうち俺の首に回された腕の力が弱まったのであやの腕をそっと取りベッドに横たえると眉間にシワを寄せ軽く身を捩った
起きるかと思って一瞬身構えたがそのままあやは眠りに落ちたようだった
先ほどまでに比べるとずいぶん落ち着いた様子のあやだったが怪我しているのをこのままにしておくわけにはいかないな…と俺は救急箱を取りに行く
手当をすると痛みで起きるかもしれないので起きるまで待つべきか…
せっかく落ち着いてるのに起こすのも…
しかし手当を疎かにすると破傷風になる可能性だってあるから早くすべきだし…
モヤモヤ悩んでいると胸ポケットに入れていた俺のスマホが振動した
時間も時間なので多分ゼロだろうと画面を見るとやはりゼロのスマホの番号が表示されている
「もしもし」
「あやの様子はどうだ?」
「あやなら今は落ち着いて寝た。だけど怪我の手当がまだ済んでない」
「…そうか、これからそちらに向かうからそれまでもう少し待っててくれ」
「分かった、気をつけて」
「あぁ、ありがとう」
ゼロが来てからの手当となりそうなのでそれまで少しの間でもあやを休ませてやろうと救急箱をベッドサイドに置いて寝ているあやの頬をそっと撫でた
色々言いたいことや気になることはあるけど、無事に帰ってきてくれて良かった…!
ゼロが到着しゼロとあやの手当をした後、俺があやの服をリラックスウェアへ着替えさせあやの部屋のドアを開け室内の様子が目視出来る状態にしてゼロと俺はリビングにいた
あやがいつも飲んでる紅茶や緑茶、コーヒーのある棚を覗きながらゼロに問う
「ゼロ何飲む?」
「コーヒーで頼む」
「りょーかい。知ってると思うけど俺はあやの様に淹れられないからな、文句言ってくれるなよ?」
軽く肩をすくめながら電気ケトルに2杯分の水を入れ電源を入れる
その間に1杯分ずつ個装されているコーヒーの封を切るとふわりとコーヒーの香りが優しく鼻をくすぐった
簡易ドリッパーとなっているそれをマグにそれぞれセットし、沸いたお湯をかける
本来なら沸いた直後のお湯は休ませてから使うとか豆全体にお湯をかけて豆を蒸らすとか美味しく飲む手順がいくつかあるとあやから聞いているが俺はそこまで細かいことを気にするタイプではなく、飲めればそれで良いと思っているのであやの話も右から左に聞き流していて実は詳しく覚えていない
しかしひとつ言える事は美味しく淹れる方法を駆使しているあやと何もしてない俺の淹れるコーヒーは同じ豆を使っているにも関わらず味が違うという事である
あやの淹れたコーヒーの方が格段に旨い
淹れたコーヒーの入ったマグを両手に持ち、片方をゼロに手渡すとゼロがお礼を言い受け取った
お互いに無言で一口、二口と飲み進め、俺のコーヒーが半分ほどになった時、ゼロが口を開いた
「今後について打ち合わせたい」
「あぁ」
「あやが持ち帰ったクスリは風見経由で鑑識に分析をお願いした。結果が分かり次第、僕のところに連絡が来る。急ぎと話してあるから早ければ朝には連絡が来るだろう」
「それからどうするつもりだ?あやの方は朝までに何とかなるとは思えないけど…」
「そちらの方は僕が朝のうちにあやが作成した今までの報告書を確認してくる。そして出来るなら即逮捕状を取りたい」
性急に事を進めようとする辺りを鑑みるに多分ゼロはあやをこの案件から早く離れさせたいんだろう、今回みたいなことが2度と起こらないように
その為、本来はあやの案件であるからあやが自分の班を率いて動くべきところだがしばらく動けないだろうあやの代わりにゼロが動いて収拾を付けようとしている
そしてゼロはそれをあやが動いたように処理するのだろう
仮に俺が同じ事を管理官にバレずに出来るかというとそれは難しいと思うがゼロなら難なくこなすのだろう
「…俺はこれからどうする?」
俺にはゼロの考えの全てが分かるわけでは無い
幼なじみとしての長い付き合いだからゼロの考えはある程度推測が出来るのでこの場合の最適解は俺の上司であるゼロから俺自身の身の振り方について指示を貰う事だ
「ヒロはあやに着いていてくれ、僕の方で全てを終わらしてあやをこの案件から解放する」
「分かった、あやは任せてくれ」
「あぁ、ヒロにしか任せられない。あやを頼んだ」
言い終わった後、ゼロはグィッとコーヒーの入っていたマグを煽りテーブルに置いて立ち上がった
◇◆◇
今は兄妹二人きりだ
あやは洗面台に置いてあるスツールに座り洗面台に凭り掛かって力なくへたり込んでおり、うわごとのように発してる声は静かなこの場では口元に耳を寄せなくても十分に聞こえる
…ずっと俺の名前を呼んでいるのだ、あやは
「ヒロ…ヒ、ロ…」
「あや、俺はここにいるよ」
「ヒ…ロ、ヒロ」
荒い呼吸の合間に俺の名を呼び続けるあやに自分の存在を知らせ安心させたくてあやを抱きしめたが反応は無く、くたりとしているあやから抱きしめ返されることは無かった
あやは多分クスリを飲まされている…これがゼロと俺の共通の認識だ
潜入捜査時、違法なこともしなくてはならないことがある
潜入先に怪しまれないよう今のあやのように違法薬物でも身を張って摂取しなくてはならないこともある
少量だとしても違法薬物を摂取したことの無い人間が摂取すれば当然効果は出るしアルコールと違い摂取訓練が出来ないので耐性の有無や効果の具合は未知数だ
1度きりの摂取なので離脱症状は出ないだろうと思うがクスリが抜けきるまで油断は出来ない
今回はアルコールと同時摂取しているだろうことはあやの呼気から分かっているので通常摂取時より深くクスリの効果は出ていると容易に推測が出来る
初めての摂取であるならば耐性も無くアルコールとの同時摂取なので効果は抜群だと言っていいだろう
あやの胃の中のものを全て吐き出させ失われただろう水分を無理矢理取らせる
吐き出せている間に気がついたが、足ほどでは無いが手のひらも怪我している
胃の内容物を吐き出させた次は怪我の治療と休養が必要だ
あやを横抱きで抱きかかえあやのベッドへ連れていき下ろそうとするとそれまで重力に逆らわずブランとしていたあやの腕に力が入り急に俺の首に絡みついてきた
シャランとあやの腕のブレスレットが俺の耳元で音を立てる
「あや、離して」
「い…や…っ…!」
「あや、すぐ戻ってくるから」
「い…やぁ…ヒロ…」
ポロポロと涙を流し俺から離れまいとしがみつくあや
そんなあやをベッドに下ろしはしたがあやの腕は俺から離れることはなく、俺はベッドに腰を下ろしあやの頭をポンポンといつものように撫でる
この撫で方は兄直伝であり、幼少の頃あやや俺が泣くと兄は少し困った顔して泣き止むまで撫でてくれていた
兄と離れて暮らす事になってから俺もいつしかあやを撫でる時、兄に自分がして貰った撫で方であやを撫でるようになっていた
俺が兄にして貰った撫で方以外の撫で方を知らないのもあるが、兄と離れた今では俺が撫でるとあやはいつも安心した嬉しそうな顔を浮かべる
もしかしたらあやは俺に撫でられてる時に兄を垣間見ているのかもしれない
グスグスと鼻をすすり上げ俺にしがみついていたが、そのうち俺の首に回された腕の力が弱まったのであやの腕をそっと取りベッドに横たえると眉間にシワを寄せ軽く身を捩った
起きるかと思って一瞬身構えたがそのままあやは眠りに落ちたようだった
先ほどまでに比べるとずいぶん落ち着いた様子のあやだったが怪我しているのをこのままにしておくわけにはいかないな…と俺は救急箱を取りに行く
手当をすると痛みで起きるかもしれないので起きるまで待つべきか…
せっかく落ち着いてるのに起こすのも…
しかし手当を疎かにすると破傷風になる可能性だってあるから早くすべきだし…
モヤモヤ悩んでいると胸ポケットに入れていた俺のスマホが振動した
時間も時間なので多分ゼロだろうと画面を見るとやはりゼロのスマホの番号が表示されている
「もしもし」
「あやの様子はどうだ?」
「あやなら今は落ち着いて寝た。だけど怪我の手当がまだ済んでない」
「…そうか、これからそちらに向かうからそれまでもう少し待っててくれ」
「分かった、気をつけて」
「あぁ、ありがとう」
ゼロが来てからの手当となりそうなのでそれまで少しの間でもあやを休ませてやろうと救急箱をベッドサイドに置いて寝ているあやの頬をそっと撫でた
色々言いたいことや気になることはあるけど、無事に帰ってきてくれて良かった…!
ゼロが到着しゼロとあやの手当をした後、俺があやの服をリラックスウェアへ着替えさせあやの部屋のドアを開け室内の様子が目視出来る状態にしてゼロと俺はリビングにいた
あやがいつも飲んでる紅茶や緑茶、コーヒーのある棚を覗きながらゼロに問う
「ゼロ何飲む?」
「コーヒーで頼む」
「りょーかい。知ってると思うけど俺はあやの様に淹れられないからな、文句言ってくれるなよ?」
軽く肩をすくめながら電気ケトルに2杯分の水を入れ電源を入れる
その間に1杯分ずつ個装されているコーヒーの封を切るとふわりとコーヒーの香りが優しく鼻をくすぐった
簡易ドリッパーとなっているそれをマグにそれぞれセットし、沸いたお湯をかける
本来なら沸いた直後のお湯は休ませてから使うとか豆全体にお湯をかけて豆を蒸らすとか美味しく飲む手順がいくつかあるとあやから聞いているが俺はそこまで細かいことを気にするタイプではなく、飲めればそれで良いと思っているのであやの話も右から左に聞き流していて実は詳しく覚えていない
しかしひとつ言える事は美味しく淹れる方法を駆使しているあやと何もしてない俺の淹れるコーヒーは同じ豆を使っているにも関わらず味が違うという事である
あやの淹れたコーヒーの方が格段に旨い
淹れたコーヒーの入ったマグを両手に持ち、片方をゼロに手渡すとゼロがお礼を言い受け取った
お互いに無言で一口、二口と飲み進め、俺のコーヒーが半分ほどになった時、ゼロが口を開いた
「今後について打ち合わせたい」
「あぁ」
「あやが持ち帰ったクスリは風見経由で鑑識に分析をお願いした。結果が分かり次第、僕のところに連絡が来る。急ぎと話してあるから早ければ朝には連絡が来るだろう」
「それからどうするつもりだ?あやの方は朝までに何とかなるとは思えないけど…」
「そちらの方は僕が朝のうちにあやが作成した今までの報告書を確認してくる。そして出来るなら即逮捕状を取りたい」
性急に事を進めようとする辺りを鑑みるに多分ゼロはあやをこの案件から早く離れさせたいんだろう、今回みたいなことが2度と起こらないように
その為、本来はあやの案件であるからあやが自分の班を率いて動くべきところだがしばらく動けないだろうあやの代わりにゼロが動いて収拾を付けようとしている
そしてゼロはそれをあやが動いたように処理するのだろう
仮に俺が同じ事を管理官にバレずに出来るかというとそれは難しいと思うがゼロなら難なくこなすのだろう
「…俺はこれからどうする?」
俺にはゼロの考えの全てが分かるわけでは無い
幼なじみとしての長い付き合いだからゼロの考えはある程度推測が出来るのでこの場合の最適解は俺の上司であるゼロから俺自身の身の振り方について指示を貰う事だ
「ヒロはあやに着いていてくれ、僕の方で全てを終わらしてあやをこの案件から解放する」
「分かった、あやは任せてくれ」
「あぁ、ヒロにしか任せられない。あやを頼んだ」
言い終わった後、ゼロはグィッとコーヒーの入っていたマグを煽りテーブルに置いて立ち上がった
◇◆◇