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ルクイーサ神話


 嵐の日に、荒れる空を見つめていたユユミウは、狂う雷に強い違和感を感じた。

 風に逆らい、縦横無尽に空を掛け、地上に落ちず空に居続け、一つの円を描いた雷を、ユユミウは訝しんだ。

 その雷をじっと見ているうちに、雷は山の頂上に落ち、山が噴火した。
 噴火した山から飛び出した火と岩の内、ただ一つの火だけが奇妙に飛び交った。

 火は雷に向かっていき、やがて2つは争うようにぶつかり合った。
 時々、2つがじっと止まると、またぶつかり合い、それは長く続き嵐が止んで尚も続いた。

 すると、海の中から一つの水の塊が浮かび上がると、2つに向かって飛んでいき、諫めるように2つの周囲を飛んだ。

「エーバーか、ギルレガーか?だとしたら、あの火と雷は何だ」
 そう思ったユユミウは、3つの元に飛んでいくと、それはユユミウが見たことの無い姿をしていて、それぞれ火と雷と水を纏っていた。

 ユユミウは尋ねた。

「お前たちは何者だ。
 何故火を纏い、雷を纏い、水を纏う。
 私はお前たちを知らない、故に知りたい。
 答えよ、我が未知にいる者どもよ」

 すると、3つの内1つ、雷は他より1つ前に出て、ユユミウの問いに歌うように答えた。

「私はこの星の雷そのもの。
 これはこの星の火そのもの。
 これはこの星の水そのもの。
 私たちはこの星に根付いた力そのもの。

 全ての力に宿る意思、全ての力を滑る意思。
 私に名はなく、我々に名はなく。
 我々はこの星の子らである。

 外より飛来せし者よ、汝が生み出した特別な命、この星を安定させた特別な命。
 そのものらのおかげで、我らは安定した形を手に入れた。
 故に感謝を告げる、故に忠誠を捧げる。

 我らは汝らの敵にあらず、我らは汝らの味方である。
 汝が望むというのなら、我らは汝らが為に力を振るおう。

 これよりまだ、生まれるであろう我が同胞たち、生まれながらに汝らに忠誠を注ぐ者達。
 全ての我らが汝らの配下である」

 その答えを理解したユユミウは、雷をディア、火をニーナ、水をビジェーテボレと名付け、この3つを纏めて精霊と呼んだ。

 名付けられた3つはそろってユユミウに首を垂れ、海に、山に、空に帰っていった。

 ユユミウは、未知なる精霊の気配を感じ、名付けるために遠くへと飛び去った。


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