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ルクイーサ神話


 命の満ちた特別な空間で、ミアはただじっと、何かを待っていた。

 己の中に根付き、共に己自信を形作ってきた本能、或いはそのような直観的な何かが、己以外のこの宇宙の体現者が、宇宙の子が表れる予感を鳴らすので、それが表れるまでじっと虚空を見つめていた。

 妖星たちがめいめいに騒ぎ立てる中、ミアはその瞬間が来たと感じた。

 ミアは大きく吠えた。
 ミアの吠え声は遠く遠くの星まで届き、宇宙そのものを鳴動させた。
 鳴動した宇宙は唸り、大きくたわむと、その波動がゆっくりと一周し、ミアの所へと帰ってきた。

 鳴動はやがて一つに集まり、その波紋の中心から、金の輝きを持つ星が零れ落ちた。
 ミアは金の星に首を垂れて、生まれたての危うげな光を、ゆっくりと撫で、見つめた。
 すると、忽ち金の星は四つ足の翼を持つ金の形をとり、ミアをじっと見つめると急に羽ばたき、何処かへと飛び去った。

 待っていた存在が生まれ自らの元を離れたので、ミアはまた妖星たちの慰みに興じた。

 形を得た金の星は、どんな妖星よりも早く宇宙をかけた。
 いくつもの銀河を駆け抜けども、金の星は何故だか納得いかなかった。
 金の星は何に納得できなかったかも分からないまま、答えを得られないことに何も思わなかったので、怒ることは無かった。
 しかし金の星は、何か満たされない気分だった。
 なので、金の星は己が納得できる何かを探して、さらに数多の銀河を駆け抜けた。
 すると、金の星は一つの銀河の中で、納得できる何か、特別でもなんでもない星を見つけた。

 星に降り立った金の星は、連れ立って空を泳いでいたオルゾナとエザウに噛みつかれた。
 2つは見知らぬ輝きを、自らの星を街すむのだと感じたので、直ぐにでも噛み殺そうとしたのだ。
 しかし、金の星は痛みを感じず、噛みついた2つの事をじっと見つめた。

 すると、オルゾナとエザウは忽ち己の過ちに気付き、すぐさま金の星の傷を舐め、癒そうとした。

 金の星はオルゾナとエザウを許し、2つを連れ立ち、星の中で一番高い山に向かった。
 高い山に向かううち、全ての特別な命が金の星を追いかけて向かっていった。

 金の星は高い山の上で、一つ羽ばたくと、金の光が星を包み、光が晴れるころには、金の星は、金の翼を携えたヒトの姿になった。

 全ての命は金の星を歓迎し、金の星は満たされたので眠りについた。


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