ルクイーサ神話


多くの漁村で伝わる、古い歌の記録。
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 命は生まれ、やがて死ぬ。
 普遍に特別は決してなく、我が身消し去るその流動。

 不滅の行く果て、緩やかな死、私の行く先にあるものよ。
 命喰らう牙となり、命救う腕と成れ。

 母魚の腹にありしころより我は、多くの屍の上を行く。
 生まれなかった兄弟たちに、恨まれ疎まれ生まれた我は、今日も屍の上を行く。

 呑気しているあの貝ですら、数多の死の上に行く。
 意思なく揺らめくあの海藻ですら、屍の上に根を下ろす。

 その意味を考える事、それのなんと愚かであるか。
 生きること、己が命を続くこと、それすなわち己全ての命を喰らうことと同義である。

 同じ腹から産まれし兄弟たちよ、この私の話、決して分からずとも構いはしない。
 何故ならばこの海の中、そを考えるは無駄なこと。

 ああ、死よ、全てを呑み込む恐ろしく、そして美しい牙よ。
 来たれ来たれ、私の元へ。
 さあ今こそ私の腹に潜り込み、その牙を無惨に突き立てよ。

 同じ魚の形をした、海を泳ぐ大きな死よ。
 異端なる贄を喰らい給え。
 そして、同じ腹から産まれた兄弟たちを、どうか、どうか、見逃し給え。


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