ルクイーサ神話
万能ミアは、自分の為に特別に作られた空間で、いつも1つぼっちだった。
自らが生み出した空間も時間も柱も、子らが生み出した孫達も、ユユミウたちを見送った時より自らの元を旅立ち、そしてミアの治世の元、緩やかに宇宙を揺蕩っていた。
そんなそれらが、母なる存在の元に再び舞い降りるのは千年に一度あるかないかほどだった。
万能ミアは今までに感じたことの無い何かを感じていた。
今まで傍にあったものが己の元から旅立ったこと、己の傍に何もいないこと、自分だけの空間で一人であることに、例えようのない何かを感じていた。
ふとミアが顔を上げ、周囲を見やると、自分の世界には思いのほか命の欠片が多く漂っていることに初めて気が付いた。
漂う命の欠片を見ているうち、ミアは苛立ちを感じた。
自分はこんなにも言いようのない不思議な感情に苛まれているのに、考えることもせずに呑気に漂っている命の欠片が許せなかった。
激情に飲まれたミアは、怒りのあまり咆哮した。
どこまでも響く声で命の欠片に怒鳴り、暴れ狂い、自分の世界を飛び回りながら、身勝手にもふよふよと漂うだけの、命の欠片に八つ当たりをした。
暴れ狂ううちに、ミアの怒り、怒りの籠る声、そして、心の奥底で感じた悲しみが、ミアの身体の内側からじわじわと漏れだして、ミアは怒りのままに、この私だけの世界がこんなに静かでなければいい、静けさを埋める者が、この私だけの世界に訪れればいいと叫び、願った。
怒りと悲しみに襲われたミアの叫びは、漂う命の欠片を揺らし、それは命の波動となって、ミアの世界に一瞬のうちに広がった。
命の波動はミアの世界を飛び出して、あらゆる宇宙に伝播した。
命の波動を受けて揺れ動いた命の欠片は、うごめいて姿を変え、やがて群れを成し宇宙を流離う存在となった。
こうして、人々が彗星とか流れ星と呼ぶ存在が生まれたが、星々は自分たちの事を妖星とか、妖光とか名乗って、その呼び名で自らを呼ぶことは無かった。
そして、ミアの世界で生まれた妖星たちは、万能ミアの孤独を埋めるために好き勝手に喋り、歌い、静けさを埋め続けているのだ。
