記憶の彼方のカケラ
ある男は、食うためにとても一生懸命に働いた。
どんな小さな仕事でも請け負って、請け負ったそばからさっさと働きに出るものだから、村人達は男のことをたいそう便利なやつだと思っていた。
その男の働き振りの噂を聞きつけ、こっそりと覗きみていたある魔女は、男の見事な働きぶりをたいそう気に入った。
魔女は、どんな危機でも一度だけ遠ざける力を男に渡した。
男は魔女に力を貰ってからも、朝も夜もなく働いた。
食うために、蓄えを増やすためにどんな仕事でも請け負った。
そんなある日、男がいつものように働きに働いて、夜が更けた帰り道のこと、男は飢えた獣たちの群れに出くわした。
なんという不幸だろうか、飢えに飢えた獣たちは獲物を求めて、人里の近くまでやって来たのだ。
哀れな男は悲鳴を上げて逃げ出したが、獣たちに簡単に追いつかれてしまい、取り押さえられてしまった。
とうとうその涎まみれの牙が男に突き刺さろうとしたとき、男は魔女に貰った力のことを思い出した。
男はこの獣たちを何とかするだけの力が欲しいと強く祈った。
するとどうだろう。
男の姿はあっという間に逞しい馬に変わった。
馬になった男は、その力であっという間に獣たちを返り討ちにし、村へと帰っていった。
しかし、その後何時まで経っても男は馬からもとに戻らなかった。
村人達は馬の正体に気が付かないまま、逞しく、文句を言わない馬を、死ぬまでこき使ったのだった。
どんな小さな仕事でも請け負って、請け負ったそばからさっさと働きに出るものだから、村人達は男のことをたいそう便利なやつだと思っていた。
その男の働き振りの噂を聞きつけ、こっそりと覗きみていたある魔女は、男の見事な働きぶりをたいそう気に入った。
魔女は、どんな危機でも一度だけ遠ざける力を男に渡した。
男は魔女に力を貰ってからも、朝も夜もなく働いた。
食うために、蓄えを増やすためにどんな仕事でも請け負った。
そんなある日、男がいつものように働きに働いて、夜が更けた帰り道のこと、男は飢えた獣たちの群れに出くわした。
なんという不幸だろうか、飢えに飢えた獣たちは獲物を求めて、人里の近くまでやって来たのだ。
哀れな男は悲鳴を上げて逃げ出したが、獣たちに簡単に追いつかれてしまい、取り押さえられてしまった。
とうとうその涎まみれの牙が男に突き刺さろうとしたとき、男は魔女に貰った力のことを思い出した。
男はこの獣たちを何とかするだけの力が欲しいと強く祈った。
するとどうだろう。
男の姿はあっという間に逞しい馬に変わった。
馬になった男は、その力であっという間に獣たちを返り討ちにし、村へと帰っていった。
しかし、その後何時まで経っても男は馬からもとに戻らなかった。
村人達は馬の正体に気が付かないまま、逞しく、文句を言わない馬を、死ぬまでこき使ったのだった。
