記憶の彼方のカケラ


 ある町に、コリンという少女がいた。
 働き者で人情深いコリンは、町の人気者だった。

 幸せに暮らしていたコリンと町の皆だったが、ある時から大雨が何日も降り続くようになった。
 初めは皆、2、3日も経てばやむだろうと思っていたが、4日経っても大雨は振り続けた。
 そのうち大雨のせいで畑の作物は腐り、どんどん食べ物がなくなっていった。

 コリンはせめて、町のみんなが少しでも飢えないようにする為に、森へ食べ物を探しに行った。

 どうにかして、持ち出してきた籠の底が見えなくなるまでの食べ物を集める頃には、日は降りきり、森は暗闇に包まれていた。
 コリンは帰り道が分からくなり、泥に足を取られて転び、とうとう大雨の中で泣き出してしまった。

 するとそこに、魔女が現れた。

 魔女は、コリンに最も幸福を感じるものと引き換えにこの大雨を止めて、コリンを町まで返してくれると言った。
 泣き声に喘ぎながらコリンが頷くと、たちまちのうちに雨は止み、コリンは鳩になって、籠と一緒に町へ戻ったいた。

 コリンが最も幸福に感じることは、町の人々と笑い合うことだった。
 鳩になったコリンは、すっかり町の人々の顔を忘れてしまい、どこかへと飛び去ってしまった。


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