記憶の彼方のカケラ


 小さなゆうちゃんには、一生の夢があります。

 それは、卵のお料理を食べる事。

 ゆうちゃんは卵のお料理の色が大好き。

 だってだって、黄金色で、キラキラで、あんなの絶対に美味しいに決まってる!

 でも、ゆうちゃんはあの黄金を食べることは出来ません。

 ゆうちゃんのパパもママも、仲良しのお医者さんも食べちゃダメだよって言うからです。

 なんで食べちゃいけないのかわからないゆうちゃんですが、こっそり食べようとしようものなら、大変に怒られてしまうので、ゆうちゃんは卵のお料理を食べません。

 そんなんだから、大きくなるころにはすっかり卵のお料理を食べたくて仕方ない女の子になっていました。

 でも、ゆうちゃんには秘策があります。

 なんてたって。
 今日はゆうちゃんの誕生日。

 最近はめっきり病院の外に行くことも減って、パパとママに会えないことに癇癪を起しちゃったゆうちゃんですが、そんな昔のあれこれを反省して、今まで頑張り張り切りいい子をしてきました。

 だから、誕生日のプレゼントは卵のお料理ね!

 その言葉を聞いたパパとママは、何だか沢山泣いちゃって、お医者さんがパパとママを必死に慰めていましたが、ゆうちゃんはどうしてそんなになっちゃったかわかりません。

 いいでしょ、別に。
 だってゆう、いい子だもの。

 するとどうでしょう。

 今日の晩御飯は見渡す限りの黄金色!

 どこを見てもたまご、卵、タマゴ。

 ゆうちゃんは大喜び、全部ぜーんぶ食べちゃいました。

 沢山食べて眠たくなったゆうちゃんは、歯磨きもしないで寝ちゃいましたが、でも大丈夫。
 何たって、今までいいこしてきたから、今日ぐらい歯磨きをさぼっても平気です。

 おやすみゆうちゃん、次はもっと卵のお料理が食べられると良いね。


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