見習い一年目 春夏秋冬
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親父のお使い周りでウロウロして、最後にゆうひが働いているケーキ屋へと向かう。今日は予約してあったケーキを取って帰るけど、ゆうひにまた色々と教えて貰おうと思っていた。
店の近くまで来ると、前方に見覚えのある2人が居た。
冴島の兄弟と、ゆうひ…だよな?…しかも、冴島にゆうひがおんぶされ、てる…?!どうなんてんだぁ!?しかも、なんか楽しそうに2人で話てるな…。
「ゆうひ?」と、2人の近くまで駆け寄って声をかけた。冴島の兄弟とゆうひは同時に振り向いた。
「真島くん!」 「兄弟!」
「…何か、あったのか?」
「えっとー…色々な事が、あって…」
「色々?」
「…うちのアホどもがな、間違ごおてゆうひに怪我させてたんや」
「怪我?!どこ怪我したんだ?!」
思わず兄弟へくってかかってしまった。
「腕や」
「腕?…なら、背負わなくても歩けるだろ?」
「えっと…その、怖かったから…足に上手く力が入らなくて…」
ゆうひは恥ずかしそうに、冴島の頭の後ろに少し隠れた。心がザワザワしてるけど、ゆうひの仕草が可愛いっと思ってしまった。
「…そうか」
「あ、冴島くん。もう、大丈夫だから…降ろしてくれるかな?」
ゆうひは、冴島の兄弟からゆっくりと降りてお礼を伝えていた。
「いや。…で、コレは店まで運んだらええんか?」
兄弟は砂糖の袋を一度軽く持ち上げてみせて、ゆうひがお願いをして店へと招き入れていた。
「…真島くんは、お使い?」
2人のやり取りに見入ってしまって、ゆうひに声をかけられるまでお使いの事はすっかり忘れてしまっていた。扉を開けてくれているゆうひに礼を伝えて、店の中へ入った。
────────
ケーキ屋のオーナー達に事情説明した後に、兄弟と店を出た。扉をゆっくり閉めて、先に出た冴島に声をかけた。
「で…?」
「なんや?」
「何で、ゆうひが危ない目にあってたんだよ!」
「…さっきも、言うたがウチのアホ共が悪いんや」
「…どうゆう状況だったんだよ」
冴島に勢いよくズンズン近づいてった。
「…アホ過ぎてウチの組の晒しもんになるから言われへん」
冴島は顔を歪めて視線を晒した。
「はぁ?!」
ポンと、頭に手を置かれ「…真島の兄弟」と冴島と諭すように話しかけられた。
「あの子が心配なのは分かったけどな、関西弁忘れとるで?」
「グッ…!」
「どーせ、病院まで送ったりするんやろ?治療費立て替えといてもろてええか?」
「…あ、ああ」
「ほな、頼んだで」
頭から肩へと手を移動させられて今度は2回ポンポンと肩を軽く叩かれた。冴島の背中を見送って、店からゆうひが出てくるのを待った。
─────────
ゆうひが出て来て事情説明し、ゆうひが住んでるアパート待ち合わせと約束をしたので。急いで組へと帰った。兄貴分へ、お使い諸々と領収書を渡し。お駄賃を貰い、親父の所へケーキを届けると何かあったか?と、珍しく尋ねられた。
「ケーキ屋の子が、怪我したみたいで…」
「ほなら、真島様子見て来てええで?今日はあがりにしとくは」
「へ?!ええんですか…?」
「そない落ち着かない様子じゃあ、今晩の会合連れてかれへんわな」
明日遅刻するなよ。と、念を押され。手でシッシッとジェスチャーまでされた。
「ほな、お先に失礼させていただきます」
と頭を下げて。親父の部屋を出るないなや駆け足で組を出てゆうひのアパートへ向かった。
────────
ゆうひは既にアパート前で待っててくれていた。走らなくても大丈夫だよ。と、声かけてくれたが、怪我を早く診てもらった方がええやろ?と、声をかけて病院へ一緒に歩き出した。しばし無言となったが、ゆうひの腕が痛みがあって辛いのかもしれない。と、思い声をかけた。
「…痛いか?」
「へ?」
「腕や腕」
「あ、うん…」
「怖い思いさせてしもたって、兄弟言うてたけど…どうゆう状況やったんや?」
「えっとー…それが…」
「兄弟も濁してて教えてくれへんかったんや」
「…その、真島くんと、似たような感じかな?」
「ん?俺と似たような?」
「うん…」
「どうゆうことや?」
「間違えられちゃったんだよね…その、取引?と…」
アホ過ぎてウチの組の晒しもんになるから言われへん─
ゆうひの言葉を聞いたと同時に、冴島の兄弟の言葉が脳内にフラッシュバックし。思わず目を見開いたが、羞恥心が一気に湧き上がって来てパシッ!と、勢いよく自分の顔に右手を当てた。
「あ、でも!真島くんの時は、怖かったは怖かったけど、怪我まではしなかったし、ね?だから、真島くんの時は大丈夫だったよ!」
ゆうひが慌ててフォローしてくれているのが分かって、話しかけた。
顔を煽っていた右手を少しだけ退けて、ゆうひを覗いて見た。
「また15kgのベイキングパウダー運んどったんか?」
「あ、や…今日は砂糖だよ?ちなみに、20kg」
ケーキ作ってる時もあるようだが、相変わらず重い物を運んでいるようだ。
「…そうゆう重いもんのお使いは今後もあるんか?」
「どーだろ?私まだ見習いだから、言われた事はやらなきゃだしね…」
「だよな…」
俺もまだまだ、任せて貰えてる事もあるけど。使いっ走りはさせられるからなー。
「…重いもん運ぶ時に見かけたら手伝ったる」
「…へ?」
「腕の怪我が悪化したりしたら、作ってもらえないだろ?ケーキ!」
と言うと。ゆうひの顔少し赤くなっていた。今度はゆうひが左手でパシッ!と、自分の顔を隠してしまった。
「なんで顔隠しとんねん?」覗いたが、なんでもないー!と、小走りで先行かれてしまったので、「あ、おい?待ってって!」と、追いかけた。
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