狂犬と堕天使
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西田という男の救急搬送した数日後に出勤した。
有給消化どころか、最近は休みの消化も怪しくなってきた。
ヅッカさんはというと、私とペアになった事により消化しないといけない休みは、やっと半分消化したという感じらしい。
2人で看護部長へ申し出て、新たに人員を増やして欲しい。と、懇願したが…給料下がってでも良いから勘弁してください!と、新人はもちろん大ベテランまで全ての看護師に断られ続けてしまい…。結果的に、私とヅッカさん2人で協力してかなかった。
ちなみに西田さんは、怪我の回復良好でそろそろ退院できそうな所まで来ているが…一向にマジマゴロウが見舞いに来る気配は無い。見舞いというか、あの時のマジマゴロウは口から血が垂れてたから…いつもなら受診しに来ててもおかしくないはず……。
「死んだ?」
「へぇ?!自分は生きてます!」
「あ、すみません。考え事してて思わず口から出ちゃいましたね」
西田さんの血圧測定を行ってる最中に譫言が漏れてしまった。ヤバイヤバイ、仕事に集中せねばと気持ちを切り替えて血圧の測定結果を読み上げる。問題無いですねー。と、西田さんへ声をかけて電子カルテへ入力を行った。
「聞こうと思ってたんですけど、旭さんって…親父のコレなんですよね?」
コレとは?と、電子カルテ画面から西田さんへと目線わ移すと、小指を立てていた。
「…なんのお話ですか?」
「違うんですか?」
「違いますねー」
「でも、ここ最近旭さん、ずっと…マジマゴロウってぶつぶつ言ってますよ?」
耳を疑った。こないだの健康診断での聴力検査では良好だったはずだから、聞き間違いではないはず…。
「西田さん、冗談は辞めてください。」
と、言ってから離れて電子カルテが乗っているカートを押して一目散にナースステーションへ戻った。忘れ物を取りに戻って来ていた師長へ「頭が沸いたから帰りたい!休みたい!」と、我が儘を言って…ヅッカさんへの申し送りを行い。その日はフレックス扱いで帰宅し、3日間しっかりお休みを頂ける事となった。
3日後─
出勤すると、西田さんは退院されていた。
胸を撫で下ろし、西田さんの記録に目を通して師長へ挨拶とお礼を済ませてヅッカさんの所へ行こうとすると、内線が鳴った。
「旭さん、手当の方来たからよろしく」
ヅッカさんからで、元気よく返事をして救急外来へ向かうと…ズタボロだけど元気のよいマジマゴロウがニコニコしながら椅子に座って待っていた。
「旭ちゃん!久しぶりやなー!」
意識良好、怪我の処置して今日は帰って頂ければ大丈夫かな?と、素直に思えた。が、マジマゴロウの様子をよくよく見ると肋骨が折れているように見えた。
「よく、この状態で座ってられますね…」
こりゃ入院だなー。と、ベッド持って来てもらうように指示を出すと。マジマゴロウが話し始めた。
「そら、旭ちゃんの手を煩わせたくないかなー」
「そう思うなら、怪我とかしないでもらいたいですねー」
「せやろ?だから俺考えたんや!この街からガラの悪い奴らが少なくなれば旭ちゃん堕天使にならずに済むって!」
「…はい?!」
「せやから、やっつけといたで?」
マジマゴロウはニッ!っと笑った。