狂犬と堕天使
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ユニホームの色が、白から紺色に変わると院内の雰囲気も少しだけ変わった。
「なんや?白やないんか?」
「…今日は、どうされたんですか?」
この男が来院する以外は……。
「頭打ってもーた」
「…一度カルテ見ますね」
医師の診察内容を見ると、【ラーメン屋の看板で後頭部強打】と記載されている。一体どんな状況よ…。
「旭ちゃん」
「…はい」
「俺、白いナース服のが良かったわー」
「…私は、こっちのユニホームが好きです」
「えー?なんでや?」
「…なんでもです」
「白衣の天使の名称が台無しやなー」
「…堕天使ぐらいじゃないと。ここでは、やってけないです」
思わず本音トークで話してしまった。
「…柄悪い奴等は相変わらずココに来るんか?」
「来ますね」
今まさに私の目の前にいらっしゃってます。
「怖くないんか?」
「…仕事ですから」
後ろ向いてください。包帯巻きますよー。と、話を切って処置を進めた。
相変わらず連絡先の紙は渡されたけど、その日のマジマゴロウは大人しく帰って行った。
数日後
日勤のはずが、帰宅時間が20時過ぎてしまい。足早に帰宅途中、前方に男性が倒れているのに気がついて思わず駆け寄った。男性に声をかけると、意識はあるようで掠れた声で何か伝えようとしている。
「今、救急車呼びますからね!」
ゴン!!と、鈍い音がしたので振り返ると。数メートル先に別の男が倒れており、此方を背に立っている男がいた。
「…え?」
「な!?旭ちゃん!!」
「!…マジマさん、何で…こんな所に」
マジマゴロウの顔を見ると、唇の端から血が出ている。
「そら、こっちの台詞や!…って、西田?!」
此方に近づいて来たと思ったら、私が診ていた男と知り合いだったようだ。
「…ぉ、ゃじ」
マジマゴロウの声が聞こえたらしく、倒れていた男は、か細い声で返事をした。
「アイツらにやられたんか?!」
倒れた男は頷き、悔しそうな顔で涙を流した。
マジマゴロウは、西田という男と少し会話をしたと思ったら「分かった」と、小声で聞こえた声を辿るようにマジマゴロウを見上げると…背中だけしか見えないが、明らかに怒っている事だけ伺える。
「旭ちゃん、悪いが西田の事頼むわ!」
「え、あ、はい…たぶん、搬送先は」
「旭ちゃん所やろ?大丈夫や、ちゃーんと俺も後から行くからな」
「…はい」
私が返事をすると、マジマゴロウは走り去ってしまった。あっけに取られてマジマゴロウが走った道を見つめていると、西田という男のうめき声に我に返り、急いで119番に電話をかけて救急車を要請し。救急車が来るまで西田という男のできる範囲での処置を行い…結局、職場へと舞い戻ってしまい…ヅッカさんへの申し送りができるように電子カルテへの入力を行ったので自宅に帰ったのは日付を超えてしまった。