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最近、デボラで踊ってる人がヤバイんです!
と、後輩の子が教えてくれた。
ヤバイとは、どうヤバイのか…?
後輩の子の語彙力を理解したく、詳しく聞いてみたものの「何か古臭いのがかっこいいんです!」と言っていた。
ビンテージってこと?
ふーん。そうなんだねー。って聞いてると。今度写メか動画撮ってきますね!と、約束してくれた。
数日後─
約束通り、後輩の子が写メを見せてくれた。しかもツーショットが撮れたんですー!っと、テンションがめちゃくちゃ高かった。写メを見てみると、そこにはゴロ美ちゃんと同じ眼帯をした昔のアイドル衣装を纏った男の人が映っていた。
ゴロ、美ちゃん?それとも…あのバーテンダーさん?後輩の子はゴロ美ちゃんと入れ違いで入って来たから、ゴロ美ちゃんの存在知らないし…。
「あのさ、この人って毎日デボラにいるの?」
恐る恐る後輩の子に聞いて見る事にした。
「あー!ゆず先輩、やっぱり気になってたんですねー!」
「あはは、写メ見たら私も直接会いたくなっちゃった」
「次は、金曜日って言ってましたよー」
「そうなんだ…」
金曜日は生憎出勤日だ。ゴロ美ちゃんの情報が得られるかもしれないと胸を高鳴らせたけど、私の次の休みは月曜日…。
友達が、金曜日に行くから次いつ来るか聞いてもらうようにお願いしときますねー!と、後輩の子が言ってくれた。
土曜日の開店準備前に、後輩の子が話しかけてきた。デボラの例の人、次は月曜日って言ってたみたいですよー。と、教えてもらった。
後輩の子にお礼を伝えて、気合いを入れて土日は仕事に励んだ。
──────────
月曜日、夕方頃に家を出てデボラへ向かう。ゴロ美ちゃんなのか?バーテンダーの方なのか?気になってなかなか寝付けなかった。
デボラへ入ると、活気あふれる熱量に少し眩暈がした。
あの写メの人はいるのだろうか?
キョロキョロとあたりを見渡すと、ある一角の人集りに目がついた。
「ヒュー!」 「かっこいい!」
ラメ入りの白やピンクを基調としたアイドルファッション。頭には羽付きのバンド、靴は白のブーツ姿の眼帯の男がノリノリで踊っている。
近くまで行って確かめたいが…人集りが結構いて前に行くのは難しそうだ。
あの踊ってる人、ゴロ美ちゃん?それとも…バーテンダーさん?
遠目から何枚か写メを撮ってみたが、なかなか機敏な動きで上手に撮れてるか自信がない…。
しばらく観ていると、眼帯の男はクルクルと何回もターンをしてビシッと決めポーズをとった。
「キャー!!」「いいぞー!!」
おおきにー!と、頭を下げる。眼帯の男の元へ列を作ってプレゼントや手紙、撮影会やらが始まるのを見て、1番最後に列へ並んだ。
眼帯の男はファンサービスがとても良いのか、皆満足して帰って行く。私の番が来て、お疲れ様です。と、声をかけると眼帯の男は、じーっと見た後に笑顔を向けてくれた。
「楽しんでもらえたか?」
「はい、かっこよかったです!」
「別嬪さんにそないに褒められると照れてしまうわー」
「あ…あの!」
「ん?」
「ゴロ美ちゃん…ですか?それとも…バーテンダー」
「んー?何の話や?」
「…い、え。その…お名前、教えて下さい」
「…俺は」
見つめ合ってどれぐらい経っただろうか。
「あの…」痺れを切らせて声を出すと、クルクルっと回り始めてターンを決めてた。
「みんなのアイドル吾朗や!」
「…吾朗、さん?」
「せや…」
ポーズを解いて、吾朗さんは向き直った。
「また、見に来ても良いですか?」
ニィと笑って、別嬪さんやったら大歓迎やで!と返された。
「最後に一緒に写メ撮らせてもらっても良いですか?」
「…ええで」
携帯を出してカメラのアプリを起動させる。吾朗さんは気がつくと横に移動していたようで、カメラモードになるのを確認すると携帯が私の手から吾朗さんの手へ移動する。肩を抱かれて、顔を近づけられてドキリとした。
「はい、JINGI!」
これでええか?と、渡されて画面を確認する。角度的に、吾朗さんの頬にキスをしているように見える。顔が赤くなるのを感じながら、お礼を伝えようと顔を上げると、吾朗さんの姿は無かった。
「吾朗さん…?」
辺りを見渡しても居なかったので、店の外を出てみたが、吾朗さんの姿を見つける事はできなかった。
──────────
翌日、後輩の子にどうでした?と、聞かれて写メを見せたら大サービスじゃないですか!!と、かなり興奮気味だった。
後輩の子がまた行くと言ってたので、お話聞かせてね。ってお願いしてたんだけど、デボラで吾朗さんを全然見かけなくなってしまった。と、肩を落とす後輩の話を聞いて、吾朗さんは…ゴロ美ちゃんだったのか?バーテンダーさんだったのか?と、また悶々と考える日々が続いた。