どこでも?
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「ハッピーハロウィン!本日ハロウィンイベント中でーす!キャストは皆可愛いコスプレしてますよー!」
呼び込みで大きな声を出しているボーイくんの横で、赤ずきんのコスプレをしてかぼちゃの形をした籠に飴やらチョコが入ったのを両手で持ってニコニコしているお仕事をしていた。
「ゆずちゃん寒くない?大丈夫?」
「大丈夫ですよー」
と言いつつ、通りすがりのサラリーマンにハッピーハロウィン!と声かけて手を振ってみた。
「でも、珍しいよね?ゆずちゃんのお客さんイベントに来れないなんて!」
「イベント会社の社長さんだったり、このコスプレ衣装の会社役員さんだったり…皆さんこの時期お忙しいみたいで、しょうがないんですよー」
売り上げ無いのは懐的に寂しいけど、コスプレ衣装代が浮いただけでも安牌としておこう。
へー。と、返事が聞こえて来たと思ったら、ボーイの携帯が鳴った。店から戻って来いcallだったらしく、私1人でイベントの呼び込みをしていた。
ふぅーっと、溜息を誤魔化すように息を吐いてから声を出して「ハッピーハロウィン!」と、持って居た籠から飴を取って通り過ぎた人の前に差し出した。足音的に立ち止まってくれたのが分かって笑顔キープで見上げると見知った顔があった。
「桐生さん!」
「ゆず」
「お久しぶりです!」
「こないだは、大変だったみたいだな」
心配そうに顔を覗かれて、大丈夫だったか?と。優しく微笑まれた。
「あ、はい。大丈夫でした!」
般若のお面を被った無言の人、ハンニャマンに暴力的な輩共から助けてもらって。その後、自宅まで送ってくれる途中で桐生さんに会ったきりだった。
「ハンニャマンから…あ、いや。…知り合いから、ゆずを無事に送り届けた事を聞いたんだが」
「そうだったんですね」
あの無口なハンニャマンから聞き出せるって、よっぽどの方なんだろうなー。と、思いつつ。桐生さんの手を取ってこないだのお礼をしたいと。申し出てみた。
「…お礼?」
「はい!ハンニャマンの事も聞きたいですし。あの時、とても不安だったので…桐生さんに声掛けてもらって少し安心できましたし…今夜は奢らせてくてください!」
桐生さんは少し困った表情をしていたけど、分かった。と、言ってお店に来てくれる事になった。
桐生さんが心変わりがしないように、腕を組んでお店へと向かった。
─────
お店まで後少しの所で、ピタッと桐生さんが足を止めた。どうかしたんですか?と、桐生さんの顔を見ると眉間に皺がよっておりかなり困った表情をして正面を向いている。
桐生さんの視線を追いながら私も正面を向くと、下を向いた男の人が立っていた。
「さっき、倒したばっかじゃねーか…」
「桐生さん?」
「ゆず、すまないがお礼はまた今度にしてくれないか?ココはマズイから」
桐生さんの言葉を遮るかのように、奇声が鼓膜を揺らして瞼をギュッと閉じた。
「マズイな…」
と、ぼそっと桐生さんが言っているのが聞こえて恐る恐る瞼を開けようとした時にフワッと地面から足が離れた。へっ?!っと声を上げて目を見開くと、桐生さんにお姫様抱っこをされていた。状況の確認ができないまま桐生さんは来た道を走って戻って行く。落ちない良いに桐生さんの首にしがみつくと、後ろから先程の男が奇声をあげながら走って追いかけてきていた。
────────
桐生さんに「ここで待っててくれ、必ず戻る!」と言われて、私は隠れてるんだけど…。
目立つっちゃ目立つし、分からないといえば確かに分からないとは思う、よ?
難点は外の様子が一切分からない事と、あまり長居はできないって所かな…息苦しくなってきたらちょっと持ち上げよう。
ヨイショと小さく掛け声を言って、両手で少し持ち上げた。少し冷たい空気を手で感じてホッとした。待ちゆく人の声や足音も先程よりも鮮明に聞こえてきた。お尻が痛くならないといいなーと、思っていたら、両手で持ち上げていた物がフワッと浮いた。
「へ?」
「ゆず?大丈夫か?」
桐生さんが戻って来てくれて、私が隠れていた大きな三角コーンから出してくれた。
「ありがとう、ございます!」
桐生さんの手を取り立ち上がって、おしり辺りをパンパンと軽くゴミを払った。
「すまない…」
「いえ…その、桐生さんは大丈夫ですか?」
桐生さんを見ると先程より服が乱れているのと、口元辺りが少し腫れていた。
ポケットからハンカチを出して口元に当てようとすると、ガン!っと大きな音が聞こえた。
桐生さんと振り返ると、マンホールの蓋がクルクルと回転してバタン!と音を立てて倒れ、マンホールの穴から先程の男の人が這いあがろうとしている所だった。桐生さんが私の前に立ったので、男の人の姿は隠れてしまって見えなかった。
「ゆず!逃げろ!」
「でも…」
「いいから、逃げるんだ!!」
桐生さんの必死な声に息を呑んで走り始めると後ろからまた奇声が聞こえた。
桐生さんに大丈夫かな?と、気を取られており前を見ていなかったので人にぶつかってしまった。
すみません!と謝罪をして顔を上がると…。
「…!!!!」
「お前ぇ、こないだはよくもやってくれたなぁ?!」
ハンニャマンが倒してくれた輩のうちの1人だった。手首を掴まれ、そのまま腕を背中に回されて動けないようにされてしまった。
「ッ痛い!!離して!!」
「俺はもっと痛い目にあってんだ、よ!!」
グッと力を入れられて悲鳴を上げてしまった。
動けば動くほど輩の力で抑えられている気がしたけど、一刻も早く離れたくて足をジタバタ動かしていると輩の足を踏んで上から「このアマァ!」と声が降って来た時だった。グンと身体を引っ張られて、輩が私の事をハロウィンの大きなかぼちゃの飾りに投げられてしまった。
ドン!っと大きな音で私の悲鳴はかき消された。背中の痛みに耐えながら上半身を起こそうとした時だった。
「ゆず!!」
桐生さんの声が聞こえて瞼を開くと、ハロウィンの飾りの一部が今まさに自分の所に落ちようとしている所で逃げられる程の余裕はなく、瞼をギュッと閉じて衝撃に耐える事しかできなかった。ガタガタドーン!という大きな壊れた音が鼓膜を振動させた。
「…ぁ、れ…?」
思っていた衝撃が無くて、恐る恐るゆっくり瞼を持ち上げると…金色のネックレスと刺青がが見えた。
「へ…?」
目を見開くと、私に覆い被さるように男の人が助けてくれているようだ。
「あ!あの、大丈夫ですか??」
「…ぁ、ぁ ぁ」
「どこか痛みは…怪我はないですか?!」
「ぅぅ… ゆず…せ、んぱぃ…」
時が止まった。
「ゆず、せんぱぃ…」
男がゆっくり起き上がり、顔を見ると左目に眼帯をしている。
……ゴロ美、ちゃん?─
「ゆず!!大丈夫か?!」
桐生さんが駆けつけてくれて、男と私の間に入って私を起き上がらせてくれた。
「私は、大丈夫です…。でも、あの人…が…」
「…ああ」
桐生さんが眼帯の男の方を振り向くと、ヨタヨタとどこかへ歩き出している所だった。
「兄さんなら大丈夫だ。心配するな」
「…兄、さん?」
「ああ。今日はハロウィンだからゾンビのコスプレらしい」
「そ、そうなんですか…」
「本当にどこも怪我はしてないか?」
「あの…桐生さん!」
「ん?」
「兄さんについて、お聞きしたい事があります!」
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