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華金に真島さんと連絡先を交換し、週末はずっと雨だったけど。週明けの月曜日にはお日様がやっと顔を出してきた。
「暑い…」
ゆうひは、日差しを手で顔を隠しながら会社へ戻る所だった。髪の毛は1つにまとめたものの、暑いものは暑い……。
会社着いたら、冷たい飲み物飲もう。
会社へ着いて、自席で冷たい飲み物を飲んで一息ついた瞬間に携帯が鳴った。
ディスプレイを見て思わず頬が緩んだ。きっと今の私の表情は気持ち悪いに違いない。両手で頬に軽くペチっと弾いてから、返信を打った。
真島吾朗:今週の金曜日メシ行こか?
はい、喜んで!:ゆうひ
真島吾朗:なら、劇場前広場に18時でどや?
分かりました。楽しみです!:ゆうひ
「旭くん、ちょっと良い?」
「はい!」
いつもよりはご機嫌で課長の元へ向かったが、増やされた仕事量を見てため息を吐く。
神様、金曜日は仕事増やされませんように!
と、願った。
金曜日の定時─
案の定、課長は私に仕事量を増やそうとしていたが。今日は用事がある事と、残業がしばらく続いてしまっている事を伝えた。
「そうだっけ?」
えー。俺、今日ナイター観に行くんだけどー。と、ブツブツ言ってたが、申し訳ありません。と、頭を下げて自席に戻って今日の業務量をしっかり終えて退社。
久々の定時退社!しかも、真島さんとご飯!
会社のトイレでメイクは直して来たが、変では無いだろうか?ドキドキしながら劇場前広場へ向かうと、既に到着してタバコを吸って待っている真島さんを見つけた。
「ま、真島さん。こんばんは。お待たせしちゃいましたか?」
「ゆうひちゃん」
真島さんは、よっ!とタバコを持っていた手を挙げて笑顔を向ける。吸ってたタバコを携帯灰皿へ入れて、向き直った。
「俺も今来た所や」
「なら良かったです」
何か食べたいモノあるか?
と、聞いてもらえたのに。何も考えてなくて、何でも食べれます!と勢い良く答えてしまった。
真島さんは少し驚いた顔した後にヒヒ!と笑って。ほんなら、ちょこっと洒落た所行ってみよか?と、真島さんに案内される。
──────────
最近話題の居酒屋に着いた
店内は落ち着いた雰囲気で、外観からも内装からも居酒屋には到底見えない。値段以上にボリュームがある料理に、お酒も他店より増し増しに注がれる。
確か、会社の後輩の子が合コンで行ったお店って言ってた気がする。店員に案内されて、席に着き。真島さんにメニューを渡された。
「ゆうひちゃん、ここ来た事あるか?」
「いえ、無いです」
「ここな、量多めに来るし美味いから。俺、最近気に入ってるんや」
ニィと笑う真島さん。店員さんとも顔見知りなのか、注文する時も中良さげに話をしている。先に乾杯を済ませて、真島さんからハンカチを渡される。
「こないだ返しそびれてしもたから」
雨の日に渡したハンカチが洗濯されてアイロンがけがきちんとされた状態で返ってきた。
「あ、わざわざ。ありがとうござい…ま、す?」
ハンカチを受け取った時に、ビニールの感触があった。持った手を裏っ返して見てみると透明なビニールにラッピングされた真新しいハンカチがあった。
「え…?」
「借りっぱなしやったし、ちょっとした礼や」
「ええ!!そんな…」
ええから取っとき。と、真島さんに微笑まれた。
貰ったハンカチは、真っ白でワンポイントにお花のプリントがされている物でかわいかった。
真島さんにお礼を伝えると、注文した料理が運ばれて来た。
「ほ、本当に量多めですね」
「せやろ?」
美味いんやでー!と、真島さんに勧まれるがまま料理やお酒を堪能しつつ、真島さんと色々なお話をした。
真島さんはヤクザで、組長で…
「へ?!クミチョー…」
「なんや、やーっぱり気づいてなかったんかー」
「…す、すみません」
「ええんや」
真島さんはグビーとビールを呑んだ。
「えーっと…。こないだ雨の日に一緒に帰っただけじゃ、助けたお礼としては少ない、ですよね…。こ、ここのお支払いは!」
私が!っと言おうとすると。真島さんはビールジョッキをガタン!とテーブルに置いた。
「…ヒーヒッヒ!」
「え?あの…」
「ヒャーハッハッハ!ゆうひちゃん、ホンマにオモロいなー!」
「俺は別に今日普通にメシ誘っただけやで?助けたからって金銭寄越せ言うわけないやろー!」
「ぁ… すみません…」
「謝らんで大丈夫や。普通ヤクザ言うたら、そーなるわな」
ニィと笑ってまたビールをグビーと飲む。
「まあ、ゆうひちゃんが。今後ヤクザな俺に関わりたくないんやったらもう誘うの辞めとくわ」
俺、ゆうひちゃんに嫌われたくないからなー。と言って、頬杖付いて優しく見つめられた。
「ぃ、嫌じゃないです!」
「ほんまにー?」
「助けて貰った時に、悪い人じゃないなって思ってたので。ヤクザで組長だったとしても、私は自分の目で見た事を信じます!」
真島さんが目を見開いたまま黙ってしまった。
何かおかしな事言ってしまったのかと思っていたら、真島さんの手が伸びて私の頭に手を置いて撫で始めた。
「ヒヒ!おーきにな」
「ぇ…ぇーと…」
どう反応して良いか困っていると、おー。すまん、すまん。と、手が離れていった。
「よしゃ。じゃあ、また次もメシ誘うな」
「…!はい!」
「今度は焼肉とかどや?」
「良いですね!」
「ヒヒ!楽しみやなー!」
その日から、真島さんからご飯を一緒に食べに行く仲になった。