好みのタイプ
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真島さんから何かあったんじゃないか?と聞かれて思考が止まってしまった。疲れてるせいもあるとは思う。だって今日も残業だし。
真島さんは私の頭から肩に手を移動させ、もう片方の肩にも手を乗せた。私を見つめ、私が話をするのを待ってくれている。何か言わないといけない。
「…何も。無いですよ」
「嘘やな」
「ぅ、嘘じゃないです、何も…」
「ゆうひちゃん… 俺の目見て喋ってや?」
真島さんを見上げると凄く真剣な表情をしている。
「俺、嘘嫌いやねん。もう一回聞くで?何があったんや?」
真島さんの問いが脳に直接響いて来る。
「ぇー…っと…。もし、何かあったとしても…。ゎ、私の個人的な問題なので…」
真島さんの眉間にみるみる皺が寄って行くのが分かる。我ながら、本当に可愛いくない返事をしている。
「あの、本当に、大丈夫なんです。すみません、本当にご心配をおかけして!真島さん、本当にお優しいですね!」
と、笑っているつもりだが。上手く笑えているかが分からない。
真島さんは溜息を吐いて、そうか。と言って私の肩から手をどけた。
「俺はあの日…何かあったんや」
「え?」
「俺の話、聞いてくれるか?」
「は、はい」
真島さんは目を閉じて、息を吐いてから私を真っ直ぐ見て話を始めた。
「俺な、好きな子おるんやけど」
チクリと胸が痛くなった。まさか、このタイミングで真島さんの好きな人の話を聞く事になるとは…。
「一緒にご飯行くようになって、ほんまに楽しく過ごしてたんや。でも、こないだ組の飲み会に誘ってから…好きな子の様子がおかしくてな」
…そうか、確か、ウララちゃんだ。ウララちゃんが真島組の飲み会に行ったんだ。
「組の飲み会の時に、俺一緒におられへんかったから。好きな子と一緒におった西田に、そん時どんな様子だったか聞いたんやけど。俺の好みのタイプを聞いたキャバ嬢がおったみたいで、そっから何やずーっと黙ったまんまやったらしいんや」
ぁ、れ… ?
「ゆうひちゃん、俺な…」
真島さんの右手が私の頬を触る。
「ゆうひちゃんが、あんまり男に免疫無い言うてたから。徐々に距離詰めるつもりやったんやけど。会えられんくなって、寂しくなってもうて告白するって今、決めたわ」
「真島、さん…?」
「俺の好きな子は、ゆうひちゃんや」
「…ぇ、ぁ…」
「ゆうひちゃんは、俺の事嫌いか?」
見つめられて、触れられてる頬が熱い。
真島さんから言われてる事を理解しようとするが、信じられなくて混乱したまま問いに答える。
「嫌ぃ、じゃないです…」
「ほんなら…好きか?」
愛しむような表情で顔を覗かれる。更に顔が熱くなるのが分かった。
「で、も…」
「…ん?」
「ま、真島さんの好みのタイプと私はだいぶ、かけ離れてると思うんです…」
「俺の好みのタイプなー。あれも間違えじゃないんやけど」
南、余計な事言いおって…!と。ブツブツ言っている。
「…ウララちゃん、みたいに。可愛いくて、小柄で、ふわふわしてる子ですよね…」
私とは真逆ですよ。と言いかけて、真島さんは頬を包んでいた右手の親指を唇に当てられ。ん。と、音だけが漏れた。
「ウララちゃんは確かに、お姫様みたいやけど。俺の好きな子は、ゆうひちゃんや」
真島さんの顔が少し近づいてから、ニィと笑う。
「ゆうひちゃんを最初に見たんはバッティングセンターやったなー」
…へ? …バッティングセンター?
目を見開いてビックリしている私を見て、更に悪戯ぽく笑った真島さんは続けた。
「バッティングセンターで、ゴッツイ球打ってた姿も良かったけど。やっぱり、助けた時に凛とした姿勢を崩さなかった所も好きになったキッカケやな」
顔がどんどん熱くなるのを感じた。もう、きっと顔は真っ赤で。体温測ったら平熱は有に超えてるに違いない。
バッティングセンターって、あの日見られていた?!助けた時の姿勢?どんなんだったっけ?
混乱した私の顔を見て真島さんは笑い始めた。
「ヒヒ!ええな。やっぱり、ゆうひちゃんオモロイわ」
「バッティングセンターって、真島さんいたんですか?!」
「最初っからおったでー」
「ええ?!…ええー!!」
もう何がなんだか分からなくなっていると、真島さんはニィと笑って。
「ゆうひちゃんのそうゆうオモロイ所も好きやし、お姫様みたいな人言うても。お姫様にも種類色々あるやろ」
「お姫様の種類?」
「せや」
「あの、真島さん…私、今だいぶ混乱してるんですけど…」
「みたいやな」
「えっと…」
「俺、ゆうひちゃんがちゃんと返事くれるまで今日帰らへんから」
優しく抱きしめられて固まる。
「俺の事好きか?」
耳元で囁かれて、脳に直接響く真島さんの声に混乱する。
「え!ぇ、あ… へ!? あの!」
「なんやー?聞こえへんで?」
更にきゅっと身体を密着させられる。真島さんの逞しい胸板に顔を埋める。真島さんのかほりで頭がクラクラする。
「あー…ぅ… 好き、です」
「誰の事が?」
「ま!真島さん!」
恥ずかしくて、声がうわずった。
あーもう…!今絶対顔上げられない…
「ヒヒ!なら、今日から俺の女やな」
真島さんは満足そうに言った。抱きしめられていた腕に力を込められる。
「離さへんから覚悟しててな」
「はぃ」
「また声小さくなってんで?」
「あの…」
「後、俺我慢してた分。手早いかもしれへんけど」
堪忍な。と、耳元で言われて完璧に思考停止した音が聞こえた。
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