餅はいかが?

 お嬢様は優雅にコーヒーを啜っています。それと同時に、彼女はご学友に教えてもらってデコったというラインストーンだらけのスマホで調べ物をしていらっしゃいました。

「ねえ真琴」
「なんでしょう」
「うちにすり鉢と麺棒はある?」
「シェフに聞けばすぐ貸してもらえると思いますが」
「そう。なら餅つきをしましょう」
「……諦めてなかったんですね、餅つき」
「当たり前でしょ」

 いや諦めろよ。

「真琴、これを見て」
「……バラエティ番組の切り抜き動画ですか?」
「ええ。アイドル2人がきりたんぽを作っているんだけど、ここ。これ」
「はい」

 動画には、アイドルがすり鉢にご飯を入れて、それを麺棒で潰す様子が映されていました。

「きりたんぽって、ご飯を棒につける前に潰すみたいなの」
「いわゆる“半ごろし”ですね」
「あら、詳しいのね」
「祖母が秋田の人間で、よくきりたんぽを作ってくれたので」
「そう。……まあいいわ、話を続けるけど」
「はい」
「普通のきりたんぽは普通の白米で作るわよね?」
「ええ」
「でも、このアイドルは誤ってすり鉢にもち米を入れたの。テロップにも書いてある」
「……うん?」
「そして、完成したきりたんぽは完全に餅だったって食レポの方が言っていたわ」

 お嬢様は少し動画を進めて、別のアイドルが感想を述べているシーンを見せてきました。

「この要領でやれば、私にも餅つきができるわよね」
「……本気ですか?」
「真琴。もち米とすり鉢、麺棒を用意して」
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