餅はいかが?
「ねえ真琴」
「なんでしょう」
「私、お餅つきしたい」
1月1日。朝食のお雑煮を召し上がっていた姫夏お嬢様は、食後のコーヒーの豆を挽いていた私にそうおっしゃいました。
「……餅つきですか」
「そう、お餅つき」
「餅ってもち米で作るやつですよね」
「そうよ。知らないの?」
「……お嬢様、うちには杵と臼がありません。そもそももち米もありません」
「買えばいいじゃない」
「杵と臼も?」
「ええ」
「元旦に?」
「どこかしらで売ってるでしょう?」
お嬢様はすました顔で餅をびよーんと伸ばして食べています。
私は「正月に開いてる店で杵と臼を置いてる店なんてあるわけねえだろ世間知らず」と叫びそうになりましたが、ご本人の手前さすがに堪えました。
「……お嬢様、杵と臼は元旦に買えません。店が開いていないと思います」
「じゃあインターネットで買ったらいいじゃない。すぐ届くって先生がおっしゃってたし」
「学校で教わったであろうその常識は正月には通用しません」
「教えてくれたのは満井先生よ。家庭教師の」
「……そうですか」
誰に教わったかは問題ではないのですが。
「じゃあ真琴、もち米を買ってきて」
「買ってきてどうするんですか? 餅つきはできないですよ?」
「炊いて食べる」
「……もち米を?」
「もち米を」
……言いたい。正直に「馬鹿かお前は」と言ってしまいたい。
「……馬鹿なんですか貴女は」
「は?」
「すみません」
本音が出ました。
「なんでしょう」
「私、お餅つきしたい」
1月1日。朝食のお雑煮を召し上がっていた姫夏お嬢様は、食後のコーヒーの豆を挽いていた私にそうおっしゃいました。
「……餅つきですか」
「そう、お餅つき」
「餅ってもち米で作るやつですよね」
「そうよ。知らないの?」
「……お嬢様、うちには杵と臼がありません。そもそももち米もありません」
「買えばいいじゃない」
「杵と臼も?」
「ええ」
「元旦に?」
「どこかしらで売ってるでしょう?」
お嬢様はすました顔で餅をびよーんと伸ばして食べています。
私は「正月に開いてる店で杵と臼を置いてる店なんてあるわけねえだろ世間知らず」と叫びそうになりましたが、ご本人の手前さすがに堪えました。
「……お嬢様、杵と臼は元旦に買えません。店が開いていないと思います」
「じゃあインターネットで買ったらいいじゃない。すぐ届くって先生がおっしゃってたし」
「学校で教わったであろうその常識は正月には通用しません」
「教えてくれたのは満井先生よ。家庭教師の」
「……そうですか」
誰に教わったかは問題ではないのですが。
「じゃあ真琴、もち米を買ってきて」
「買ってきてどうするんですか? 餅つきはできないですよ?」
「炊いて食べる」
「……もち米を?」
「もち米を」
……言いたい。正直に「馬鹿かお前は」と言ってしまいたい。
「……馬鹿なんですか貴女は」
「は?」
「すみません」
本音が出ました。
1/5ページ
