恋という言葉は似合わなくて
入学式の翌週、朝休み。
それは、お母さんに買ってもらったまっさらな自由帳に、セーラー服を着ているお姉ちゃんの絵を描いているときのことだった。
「うわ、その絵すっごい上手だね! 誰の絵?」
交通安全のカバーがついた桃色のランドセルを背負ったまま、その自由帳を覗き込んできた子がいた。ポニーテールがよく似合う、黒髪の元気そうな女の子だった。
「私のお姉ちゃん。中学生なの」
「そっか。可愛いね!」
ひまわりのような笑顔でそう言って、その子は私の隣の机にランドセルを置いた。ランドセルの金具に日の光が反射して、キラキラと輝いている。
「あたし、酒井凪紗。なぎって呼んで! 君の名前は?」
「高峰詩織」
「そっか、しおりちゃんか! よろしくね!」
なぎちゃんが、私に右手を差し出してきた。私も同じように右手を差し出すと、その手をぎゅっと握られて、ブンブンと上下に振られた。
勢いでちょっとだけよろけた私を見て、なぎちゃんは面白そうにけらけら笑う。すっごく元気なのにちょっとだけふわふわしていて、マシュマロみたいな声だった。
4月10日、月曜日。
私は、初めてできたお友達に初恋を奪われた。
それは、お母さんに買ってもらったまっさらな自由帳に、セーラー服を着ているお姉ちゃんの絵を描いているときのことだった。
「うわ、その絵すっごい上手だね! 誰の絵?」
交通安全のカバーがついた桃色のランドセルを背負ったまま、その自由帳を覗き込んできた子がいた。ポニーテールがよく似合う、黒髪の元気そうな女の子だった。
「私のお姉ちゃん。中学生なの」
「そっか。可愛いね!」
ひまわりのような笑顔でそう言って、その子は私の隣の机にランドセルを置いた。ランドセルの金具に日の光が反射して、キラキラと輝いている。
「あたし、酒井凪紗。なぎって呼んで! 君の名前は?」
「高峰詩織」
「そっか、しおりちゃんか! よろしくね!」
なぎちゃんが、私に右手を差し出してきた。私も同じように右手を差し出すと、その手をぎゅっと握られて、ブンブンと上下に振られた。
勢いでちょっとだけよろけた私を見て、なぎちゃんは面白そうにけらけら笑う。すっごく元気なのにちょっとだけふわふわしていて、マシュマロみたいな声だった。
4月10日、月曜日。
私は、初めてできたお友達に初恋を奪われた。
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