ワン・ラスト・ナイト

 あいつから「結婚する」と報告されたのは、つい一週間前のことだった。
 三年ぶりに送られてきたメッセージには、婚前パーティーの開催を知らせる文言が並んでいて、それなのになぜか他人行儀な義務的な雰囲気を感じた。
 もっとも、そのパーティーの開催を発案したのはあいつの奥さん(になる予定の女性)だったらしく、にぎやかな雰囲気が苦手なあいつの誘いに義務感が滲み出るのも無理はないんだろうな、とは思った。
 大学時代に出会った頃から、あいつは実家が太い「お坊ちゃん」って雰囲気だった。
 世間知らずなところがあって、けど子供みたいに無邪気で、怖いものなんてないみたいだった。
 良い家柄あるあるなのかもしれないけど、あいつはその頃から制約の多い人生を送っていた。というか、生まれたときからずっとそういう人生だった。
 今回の結婚だって、親とか世間体を気にしたやつなのかもしれない。

 親に敷かれた真っ直ぐなレールを歩くあいつが唯一、心の底から自由になれる瞬間。
 それは俺と記憶を共有するあの時間だったと、俺は自負している。
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