去りし秋陽、決意の道

去りし秋陽…いなくなってしまった律彰
決意の道…作家になる決意
puncture a fiction…虚構を穿つ
一人称が不安定なのは律治が精神不安定であることを表現している。

秋が見つめた情景
去りし後も色褪せず
されど我が目はあの日から
濁ったままで
(律彰が見ていた景色は亡き後も変わらない。
でも自分の目は律彰が消えた日から薄汚く見えたまま…)

君が創る数多の物語
私は愛していた
今はもう聞こえない
(律彰が書いた創作物が好きだった。
もう新しい創作物は見られない…)

試された悪意と気付けずに
迎えた末路
正直者が淘汰される世界など
(律彰を良く思っていなかった村人達に騙されて殺されてしまった。
正直に生きると消されてしまう世界なのか…)

己が信じた道程
真実は残酷で
落ちる雫の願いは
何処にも届かない
(信心深く、家を継ぐ為に頑張った律治。
しかし実際は村人達の都合のいい駒でしかなかった。
いくら嘆きたくても、本音は誰にも言えない…言えるわけがなかった。)

自分が創ったひとつの物語
君に褒められた
嗚呼…焦燥を隠して
(いつかの記憶。律彰の頼みで創作物を書いた律治。それを見た律彰に褒められた。
しかしどこか焦っているようにみえた。)

試される真意に気付けずに
絶たれた帰路
卑怯者が生き残れる世界なんて……
(律彰は村人達による集団リンチで亡くなったが、何者かに揉み消されていたことを知る律治。
卑怯者だらけの世界で生きるのが嫌になり、自決を考える……)

だけど俺が消えたら
全てが無に帰してしまう
斯くも愚かな
『律治』が『律彰』の夢叶えたい
(でも、自分が死んだら律彰が生きた証が無くなってしまうのではないか?
旅立つ直前の日に何もできなかった愚者(と自称する)律治でもいいなら律彰の生前の夢を叶えたい。)

書き続けて いつか
“虚構”穿つまで──
(数年後物書きになった律治。だが所詮は彼のエゴでしかない。
いつか“彼”に殺される日が来るまで書き続けよう──)
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