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レインコール

そこにいたのは一人の少女だった。黒のローファーに真っ白なタイツを履いて黒のミニスカート、黒のサスペンダーと白の長袖のシャツの一番上には黒の大きなリボンがキチッと付けてあった。

髪は茶色ぽいショートヘアだが左の方にドーナツのようにクルッと結んであるのがすごく独特だ。

黒のベレー帽には白のバラがアクセントになっている。

そして白と黒だけの服装だからこそ背中に背負っている赤色のランドセルが一際目立っていた。


だがなぜこんな深夜にいるのだろうか。なにかあったのだろうか。
俺は心配と少しの好奇心でその少女に話しかけた。
「どうしてこんな時間にいるの。良い子はお家に帰らないといけないよ」
「お腹空いたの」
「君はお金持ってるの」
少女は頷いたて手のひらに小銭を出したがこれじゃ駄菓子ぐらいしか買えない。さすがに帰らせようとしたがこの寒さの中こんな薄い格好のまま外に出させるのは危険だと思い、まずはなんか食べさせることにした。
交番に行くのはとりあえず身支度が出来てからにしよう。
店をさすがに開けたままにも出来ないしね。
俺は店内で食べれるスペースに連れていき温かいお茶と賞味期限の近い弁当をあげた。
少女にあげると幸せそうにもぐもぐと食べていた。
「美味しい?」

少女は頬張りながら満面の笑みで頷いた。

少女の真っ白な肌に椿の色が色づく。

まだ大人の成長が始まっていない小さな手は陶器のように綺麗だった。

少女は今もかわいいが成長したらどんな美人になるだろう。

お名前もきっと美しいのかなっと思い俺は少女に名前を聞いてみることにした。

「ねぇ君名前はなんて言うの」

「鳩羽つぐだよ。鳥の鳩にはねの羽で鳩羽つぐ」

ああ。やっぱり少女の名前も俺のタイプだ。

この子は本当に天使なのかもしれない。

よくよくつぐちゃんの顔を見ると泣きぼくろがとてもチャーミングでいいじゃないか。

知れば知るほどつぐちゃんが気になってきた。
だがなぜこんな時間にやってきたのだろうか。俺は本来の疑問を思い出しつぐちゃんに聞いた。
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