I got my feelings back
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「…おはようございます」
「…はよ。あーねむ」
あくびをしながら二宮さんはマンションの部屋から出てきた
なんてことない二宮さんの部屋なのに
この部屋でキスしたんだと思うと急に恥ずかしくなる
「…なにモジモジしてんの?」
「し、してません!」
「あ、思い出してたりして?キスしたこと?」
一気に顔が熱くなる。
恋愛ブランクの長い私には刺激が強すぎるのを知ってるくせに言ってくる
「もっかいする?」
「しません!!私もいい大人なのでからかわないでください!!早く行きますよ!!」
二宮さんの「わっかりやす」という半笑いの声が背中から聞こえた
東京駅から新大阪までの新幹線は
今日の資料に目を通したり
昨日の新会社設立の突発対応の共有をしたり
終始仕事の話をした
『新大阪ー』
駅のホームに降り立つと、東京とは違う雰囲気を感じる
「とりあえず部長と合流して今日の仕事片付けましょ」
「はい」
今日のヒアリングは山場だ
西日本事業本部は、西日本の生産から販売、サポートまでの各ビジネスフローを統括していて第二の本社と呼ばれている
事業本部長はもちろんのこと、社内のエリート層が本社の次に多く集まる
気を抜けない。
次年度からの体制見直しに、社内のできるだけたくさんの人に納得してほしいし、前向きにとらえてほしい
私はそのためのサポートに徹底したい
「あー疲れた」
新幹線に乗り込んだ二宮さんが椅子に沈みこむ
「お疲れ様です、どうぞ」
いつも二宮さんが飲んでいるコーヒーを渡す
「ども」
「途中議論がヒートアップした展開になった時はびっくりしましたね」
「や、どうなるかと思ったけどさ、さすが部長ですよ。おかげで丸くおさまったって訳ですよ」
ヒアリングの場では、体制変更で営業力が弱化するのではないかという
西日本統括部長の厳しい指摘が入り
私たちの部長が応戦してくれた
「部長、大阪に泊まるんですね」
「懇親会だってさ」
二宮さんは背もたれに深く姿勢を預けたままコーヒーに口をあて、スマホの画面を見ていた
「今日の議事録まとめて月曜課長に報告しといて」
「はい」
そのまま2人で軽く今日の会議を振り返って
議事メモのアウトラインをタブレットで
作成し始める。
しばらく作業に没頭していると
京都を過ぎた後、隣の席から小さな寝息が聞こえた
二宮さん、寝てる…
そりゃそうだよなぁ
今週は出張続きだったし
こちらに顔を向けたまま寝ている寝顔を
ついつい眺めてしまう
さらさらの髪
きれいな鼻筋
茶色い瞳を覆う瞼
社内の一部の女子たちがイケメンだって騒ぐのもわかる
仕事に集中してるときは何も感じなかったけど
また胸がドキドキしてきた
小さな寝息のリズムより
私の胸の音の方が大きいんじゃないかな
二宮さんの告白を思い出す
『じゃあさ、これから一緒に考えよ。いや、わかってたのよ。本当はアナタまだ恋愛できるステージにいないんでしょ?じゃ探すしかないよね。答えをさ』
はぁ、とため息をついて私も椅子に頭と背中を預ける
仮に、あくまでも仮に
私が二宮さんを好きだとしても
彼女になりたいとか
彼女としてみてほしいとか
二宮さんを独り占めしたいとか
そんな気にさらさらなれない。
このうるさい胸の音とか
コントロールできない気持ちとか
仕事に影響したらどうしようって不安にもなる
なんて考えていると
二宮さんの頭が傾いたまま
私の肩に乗った
また 胸が大きく鳴る
二宮さんの体温が伝わってきたのか
私の気持ちが高まっているのか
体が熱くなる
そのまま名古屋に着く手前まで
私の肩は二宮さんの体温を感じていた
「…俺、寝てた?」
「はい」
目を覚ました二宮さんは、私の肩から頭を上げた
「あー…」と眠そうな声を出している
「今どこ?」
「もうすぐ名古屋です」
「まだ名古屋…東京遠い」
「出張続きでしたし、お疲れですよね」
「まあねー」と言いながら、
私の胸の音に気付くこともなく
何事もなかったかのように二宮さんはスマホの画面を眺めている
そして、小さな声で「あ」と呟いた
「どうしました?」
「俺、来週の日曜誕生日」
「おめでとうございます」
「ほんとに思ってんの?」
口角を上げた顔でこちらを見る
「…思ってます」
「ふーん。ま、気持ちは形で表せますからね」
「プレゼントですか?」
「いやいやそんなこと言ってませんよ。ただ
気持ちは形で表さないと分からないだけ」
「…なにが欲しいんですか」
「この世の全てを買える財力」
「たぶん、それ形になってないです」
「じゃあすべて手にはいる権力」
「欲しいものないんですね?」
二宮さんはわかりやすくはぁ、とため息をつく
「わかりましたよ。いやいいんだよ?じゃあもう好きなもの準備してってなるから」
「えっ?私プロデュース?」
「別に100人規模のパーティーやってとか言わないから」
「そんなに人望ありましたっけ…?」
「お前知らないと思うけど、俺けっこうモテるから」
モテるから、という言葉に一瞬複雑な気持ちになる
言葉に詰まると、すかさず二宮さんが隙をついてくる
「あれ、ショックだった?」
「いえ、モテるの知ってます」
そう、知ってる
イケメンで、仕事ができる、
年上も年下も同年代も騒ぐくらい
守屋さんもそうだったし
「ま、財力とか権力は冗談」
「何ですか?」
「ちょっと付き合ってよ」
「何にですか?」
「んー」
腕を組んで少し考えたフリをして、
口角を上げて不敵な笑みを見せた
「…はよ。あーねむ」
あくびをしながら二宮さんはマンションの部屋から出てきた
なんてことない二宮さんの部屋なのに
この部屋でキスしたんだと思うと急に恥ずかしくなる
「…なにモジモジしてんの?」
「し、してません!」
「あ、思い出してたりして?キスしたこと?」
一気に顔が熱くなる。
恋愛ブランクの長い私には刺激が強すぎるのを知ってるくせに言ってくる
「もっかいする?」
「しません!!私もいい大人なのでからかわないでください!!早く行きますよ!!」
二宮さんの「わっかりやす」という半笑いの声が背中から聞こえた
東京駅から新大阪までの新幹線は
今日の資料に目を通したり
昨日の新会社設立の突発対応の共有をしたり
終始仕事の話をした
『新大阪ー』
駅のホームに降り立つと、東京とは違う雰囲気を感じる
「とりあえず部長と合流して今日の仕事片付けましょ」
「はい」
今日のヒアリングは山場だ
西日本事業本部は、西日本の生産から販売、サポートまでの各ビジネスフローを統括していて第二の本社と呼ばれている
事業本部長はもちろんのこと、社内のエリート層が本社の次に多く集まる
気を抜けない。
次年度からの体制見直しに、社内のできるだけたくさんの人に納得してほしいし、前向きにとらえてほしい
私はそのためのサポートに徹底したい
「あー疲れた」
新幹線に乗り込んだ二宮さんが椅子に沈みこむ
「お疲れ様です、どうぞ」
いつも二宮さんが飲んでいるコーヒーを渡す
「ども」
「途中議論がヒートアップした展開になった時はびっくりしましたね」
「や、どうなるかと思ったけどさ、さすが部長ですよ。おかげで丸くおさまったって訳ですよ」
ヒアリングの場では、体制変更で営業力が弱化するのではないかという
西日本統括部長の厳しい指摘が入り
私たちの部長が応戦してくれた
「部長、大阪に泊まるんですね」
「懇親会だってさ」
二宮さんは背もたれに深く姿勢を預けたままコーヒーに口をあて、スマホの画面を見ていた
「今日の議事録まとめて月曜課長に報告しといて」
「はい」
そのまま2人で軽く今日の会議を振り返って
議事メモのアウトラインをタブレットで
作成し始める。
しばらく作業に没頭していると
京都を過ぎた後、隣の席から小さな寝息が聞こえた
二宮さん、寝てる…
そりゃそうだよなぁ
今週は出張続きだったし
こちらに顔を向けたまま寝ている寝顔を
ついつい眺めてしまう
さらさらの髪
きれいな鼻筋
茶色い瞳を覆う瞼
社内の一部の女子たちがイケメンだって騒ぐのもわかる
仕事に集中してるときは何も感じなかったけど
また胸がドキドキしてきた
小さな寝息のリズムより
私の胸の音の方が大きいんじゃないかな
二宮さんの告白を思い出す
『じゃあさ、これから一緒に考えよ。いや、わかってたのよ。本当はアナタまだ恋愛できるステージにいないんでしょ?じゃ探すしかないよね。答えをさ』
はぁ、とため息をついて私も椅子に頭と背中を預ける
仮に、あくまでも仮に
私が二宮さんを好きだとしても
彼女になりたいとか
彼女としてみてほしいとか
二宮さんを独り占めしたいとか
そんな気にさらさらなれない。
このうるさい胸の音とか
コントロールできない気持ちとか
仕事に影響したらどうしようって不安にもなる
なんて考えていると
二宮さんの頭が傾いたまま
私の肩に乗った
また 胸が大きく鳴る
二宮さんの体温が伝わってきたのか
私の気持ちが高まっているのか
体が熱くなる
そのまま名古屋に着く手前まで
私の肩は二宮さんの体温を感じていた
「…俺、寝てた?」
「はい」
目を覚ました二宮さんは、私の肩から頭を上げた
「あー…」と眠そうな声を出している
「今どこ?」
「もうすぐ名古屋です」
「まだ名古屋…東京遠い」
「出張続きでしたし、お疲れですよね」
「まあねー」と言いながら、
私の胸の音に気付くこともなく
何事もなかったかのように二宮さんはスマホの画面を眺めている
そして、小さな声で「あ」と呟いた
「どうしました?」
「俺、来週の日曜誕生日」
「おめでとうございます」
「ほんとに思ってんの?」
口角を上げた顔でこちらを見る
「…思ってます」
「ふーん。ま、気持ちは形で表せますからね」
「プレゼントですか?」
「いやいやそんなこと言ってませんよ。ただ
気持ちは形で表さないと分からないだけ」
「…なにが欲しいんですか」
「この世の全てを買える財力」
「たぶん、それ形になってないです」
「じゃあすべて手にはいる権力」
「欲しいものないんですね?」
二宮さんはわかりやすくはぁ、とため息をつく
「わかりましたよ。いやいいんだよ?じゃあもう好きなもの準備してってなるから」
「えっ?私プロデュース?」
「別に100人規模のパーティーやってとか言わないから」
「そんなに人望ありましたっけ…?」
「お前知らないと思うけど、俺けっこうモテるから」
モテるから、という言葉に一瞬複雑な気持ちになる
言葉に詰まると、すかさず二宮さんが隙をついてくる
「あれ、ショックだった?」
「いえ、モテるの知ってます」
そう、知ってる
イケメンで、仕事ができる、
年上も年下も同年代も騒ぐくらい
守屋さんもそうだったし
「ま、財力とか権力は冗談」
「何ですか?」
「ちょっと付き合ってよ」
「何にですか?」
「んー」
腕を組んで少し考えたフリをして、
口角を上げて不敵な笑みを見せた