a crossing point
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日曜の午後、初夏を迎えたような季節になったのもあって、大きな青空に大きめの白い雲がいくつか浮かんでいた
この街に住んで4年が経ったんだな
早いな なんだかんだで、あっという間だった
引っ越したら、祐に本当のさよならができる気がする
駅前でぼーっと松潤を待っていると、一台の車が目の前で止まった
運転席の窓ガラスが下りると松潤のキメ顔が見えた
今日は引っ越しの相談に乗ってくれた松潤が、マンションの内覧に連れていってくれる約束をした日だ
「お待たせ。お嬢様」
「うん、そういう年齢じゃないよね」
「いいじゃん付き合えよ」
ニヤニヤする松潤に、こっちもニヤニヤしてしまう
「助手席でいい?ほんとは営業でお客さん乗せるときは後ろなんだけどさ」
「いやいや乗せてもらえるだけでありがたいんで、どこでも」
松潤がベルトを外して一度降りてくる
手で助手席に促される
「ではこちらへどうぞ、お姫様」
「キャラ設定ブレブレ」
「いいじゃん付き合えよ」
「ニヤニヤしすぎ。ツッコミませんよ」
「あんだよ!」
また、顔を見合わせてお互い笑う
長年の付き合いになると楽だな
車に乗って、松潤に簡単に今日の流れを聞く
内覧できる部屋を何ヵ所か見せてくれること、家賃や間取り、立地は私の希望条件すべてクリアしたものだけ、とのことだった
車は静かに出発して目的地に向かう
「で、あの件解決した?」
「うん、お騒がせしました。話を聞いてくれてありがとね」
「どういたしまして。やっぱ犯人森屋だった?」
「…うん。残念ながら。二宮さんが最終的に解決してくれたよ」
「さすがだね二宮さん。俺、思い出したんだけど、西東京支社で森屋パワハラに遭ってて二宮さん助けたって聞いたわ」
「うん、そうらしいね」
「そういやその時から森屋って二宮さん好きだってよく聞いてた」
「ほんと、一途ですごいよ」
「俺も一途ですけど?」
ハッとして言葉が出てこなくなった
松潤の告白の話題に直結する
「い、一途って言っていいの?」
「はぁ。これだから鈍感さんは困るね」
「だって松潤彼女途切れたことあんまりないよね?」
「だから、それはお前のことがあるから誰とも長く続かなかったんでしょ」
「言わせんなよな」なんて少し照れながら松潤はハンドルを片手で握って、もう片方の手を額に置いた
今さらだけど、運転する横顔は予想通りかっこいい。
「ごめん。そうですよね、あはは」
「笑いごとじゃねーし」
「…ごめんなさい」
「ま、俺らがくっついたら祐も喜ぶっしょ」
「…そうかもね」
祐と付き合ってる頃は、松潤と3人でよく一緒に過ごした
祐も松潤も営業で、営業研修で仲良くなったみたいで
あーでもない、こーでもないってよく仕事の話を熱く語ったな
松潤と祐、すごく気が合ってたみたいだったな
そのまましばらく車は進み、車内で他愛もない話をした。
「さ、一件目到着でーす」
車が止まって、一件目の部屋を覗きに車を降りた
「次で最後ね」
「はーい」
何件か部屋を見て、夕方に差し掛かる
「あ、悪いけど俺今日このあと社長の付き合いあんだよね。内覧終わったら家まで送るから」
「え、いいよいいよ電車で帰れるし」
「いいじゃん。送らせてよ」
松潤はハンドルを握りながらこっちを見てニッと笑う
「ありがと。じゃお言葉に甘えて」
「りょーかい」
今日見た部屋は、どこも条件に合致しているのもあって好印象な部屋ばかりだった
「今んとこどこが一番いいの?」
「うーん全部良かったけど、強いていうなら1件目かな?」
「駅徒歩近いしね。夜道も明るそうだし。でも次が一番オススメかも」
車が停止する。
「じゃ、最後の内覧行きますか!」
「はーい」
車を降りて、周りを見る。
あれ、ここって…
「どうした?何かあった?」
「ううん、ね、ここの最寄り駅ってどこ?」
「ここ?ここは…」
松潤は手に持っていた書類を確認しながら歩く
松潤の進む先のマンション…ここってやっぱり…
驚きと戸惑いにドキドキする
松潤はオートロックを鍵で開けて、書類に目をとおしながら進む
エレベーターの前に着くと、確信が胸を刺す
コンビニの袋を下げた一人の男性が、こちらを見る
「おっ、これはこれは…どうしたんですかこんなところで」
その声に松潤もはっと顔を上げた
「まじかよ…二宮さん」
小さな声で松潤が呟いた
「俺の部屋より見晴らしいいねー」
ベランダに出れる大きな窓から二宮さんは外を眺め、楽しそうに呟く
「超リアルタイム」
「うん、つい数時間前に話題になってたよね」
「まさかここのマンションとはな」
二宮さんの背中を見ながら、少し離れたところで松潤とコソコソ話す
二宮さんもへー俺も興味あるとか言いながら内覧に付いてきてしまった
「部屋、どう?」
「見晴らしすごくいいし、キレイだし、内装の色合いも理想ですごくいいと思う」
でも、二宮さんと同じマンションなんて
正直ダメだと思う
職場でも席隣だし、家も近くなるなんて公私混同って指摘されてもおかしくない。
ただ、部屋は今日見た中で一番ピンときている
迷う
「いいじゃん。ここにしちゃいなさいよ」
二宮さんがこちらを振り向いて言う
「もうちょっと悩もうかなと思ってます」
「なんで。決めちゃえよ。俺の部屋近いし」
「それ、理由になります?」
「いつでも会えるっしょ」
「いつでも仕事押し付けられる、ということですね」
「正解」
二宮さんは私の方を見て嬉しそうに頷き、
はぁ、とため息が出る
「どこに判子押したらいいの?」
二宮さんが松潤に近づいて書類をのぞきこむ
「え?判子?ここに決まり?」
松潤が驚いて目を大きくして私を見る
「えっ?ううん、まだ迷ってるよ」
「いいじゃん。またすぐハンバーグ作りに来てよ」
「ハンバーグ?何の話」
松潤の顔が怪訝そうな表情になる
「コイツね、俺ん家にハンバーグ作りに来てくれたの。まー味は合格点ってところですかね」
「ちょっと二宮さん…」
「何、どういう関係なの」
松潤は明らかに『聞いてないよ』という顔になっている
「これには訳があって…」
「ま、ここなら次俺の部屋に泊まるときには俺の服貸さなくてすむか」
「はっ?話についていけねーんだけど」
「そう、俺たちもうそういう関係なんで」
「二宮さん!誤解を生みます!」
松潤は何も言わずに、二宮さんと私を見た
その目は 静かに怒っているようだった
「松潤…」
松潤は無言のまま、ため息をついた
「あ、そろそろゲームで対決の時間なんですよね~。ワタシはこれで失礼します」
二宮さんは、スタスタと歩き出して玄関に向かった
「ちょっ…二宮さん!」
二宮さんは振り返ることもなく、部屋を出て行った。
この街に住んで4年が経ったんだな
早いな なんだかんだで、あっという間だった
引っ越したら、祐に本当のさよならができる気がする
駅前でぼーっと松潤を待っていると、一台の車が目の前で止まった
運転席の窓ガラスが下りると松潤のキメ顔が見えた
今日は引っ越しの相談に乗ってくれた松潤が、マンションの内覧に連れていってくれる約束をした日だ
「お待たせ。お嬢様」
「うん、そういう年齢じゃないよね」
「いいじゃん付き合えよ」
ニヤニヤする松潤に、こっちもニヤニヤしてしまう
「助手席でいい?ほんとは営業でお客さん乗せるときは後ろなんだけどさ」
「いやいや乗せてもらえるだけでありがたいんで、どこでも」
松潤がベルトを外して一度降りてくる
手で助手席に促される
「ではこちらへどうぞ、お姫様」
「キャラ設定ブレブレ」
「いいじゃん付き合えよ」
「ニヤニヤしすぎ。ツッコミませんよ」
「あんだよ!」
また、顔を見合わせてお互い笑う
長年の付き合いになると楽だな
車に乗って、松潤に簡単に今日の流れを聞く
内覧できる部屋を何ヵ所か見せてくれること、家賃や間取り、立地は私の希望条件すべてクリアしたものだけ、とのことだった
車は静かに出発して目的地に向かう
「で、あの件解決した?」
「うん、お騒がせしました。話を聞いてくれてありがとね」
「どういたしまして。やっぱ犯人森屋だった?」
「…うん。残念ながら。二宮さんが最終的に解決してくれたよ」
「さすがだね二宮さん。俺、思い出したんだけど、西東京支社で森屋パワハラに遭ってて二宮さん助けたって聞いたわ」
「うん、そうらしいね」
「そういやその時から森屋って二宮さん好きだってよく聞いてた」
「ほんと、一途ですごいよ」
「俺も一途ですけど?」
ハッとして言葉が出てこなくなった
松潤の告白の話題に直結する
「い、一途って言っていいの?」
「はぁ。これだから鈍感さんは困るね」
「だって松潤彼女途切れたことあんまりないよね?」
「だから、それはお前のことがあるから誰とも長く続かなかったんでしょ」
「言わせんなよな」なんて少し照れながら松潤はハンドルを片手で握って、もう片方の手を額に置いた
今さらだけど、運転する横顔は予想通りかっこいい。
「ごめん。そうですよね、あはは」
「笑いごとじゃねーし」
「…ごめんなさい」
「ま、俺らがくっついたら祐も喜ぶっしょ」
「…そうかもね」
祐と付き合ってる頃は、松潤と3人でよく一緒に過ごした
祐も松潤も営業で、営業研修で仲良くなったみたいで
あーでもない、こーでもないってよく仕事の話を熱く語ったな
松潤と祐、すごく気が合ってたみたいだったな
そのまましばらく車は進み、車内で他愛もない話をした。
「さ、一件目到着でーす」
車が止まって、一件目の部屋を覗きに車を降りた
「次で最後ね」
「はーい」
何件か部屋を見て、夕方に差し掛かる
「あ、悪いけど俺今日このあと社長の付き合いあんだよね。内覧終わったら家まで送るから」
「え、いいよいいよ電車で帰れるし」
「いいじゃん。送らせてよ」
松潤はハンドルを握りながらこっちを見てニッと笑う
「ありがと。じゃお言葉に甘えて」
「りょーかい」
今日見た部屋は、どこも条件に合致しているのもあって好印象な部屋ばかりだった
「今んとこどこが一番いいの?」
「うーん全部良かったけど、強いていうなら1件目かな?」
「駅徒歩近いしね。夜道も明るそうだし。でも次が一番オススメかも」
車が停止する。
「じゃ、最後の内覧行きますか!」
「はーい」
車を降りて、周りを見る。
あれ、ここって…
「どうした?何かあった?」
「ううん、ね、ここの最寄り駅ってどこ?」
「ここ?ここは…」
松潤は手に持っていた書類を確認しながら歩く
松潤の進む先のマンション…ここってやっぱり…
驚きと戸惑いにドキドキする
松潤はオートロックを鍵で開けて、書類に目をとおしながら進む
エレベーターの前に着くと、確信が胸を刺す
コンビニの袋を下げた一人の男性が、こちらを見る
「おっ、これはこれは…どうしたんですかこんなところで」
その声に松潤もはっと顔を上げた
「まじかよ…二宮さん」
小さな声で松潤が呟いた
「俺の部屋より見晴らしいいねー」
ベランダに出れる大きな窓から二宮さんは外を眺め、楽しそうに呟く
「超リアルタイム」
「うん、つい数時間前に話題になってたよね」
「まさかここのマンションとはな」
二宮さんの背中を見ながら、少し離れたところで松潤とコソコソ話す
二宮さんもへー俺も興味あるとか言いながら内覧に付いてきてしまった
「部屋、どう?」
「見晴らしすごくいいし、キレイだし、内装の色合いも理想ですごくいいと思う」
でも、二宮さんと同じマンションなんて
正直ダメだと思う
職場でも席隣だし、家も近くなるなんて公私混同って指摘されてもおかしくない。
ただ、部屋は今日見た中で一番ピンときている
迷う
「いいじゃん。ここにしちゃいなさいよ」
二宮さんがこちらを振り向いて言う
「もうちょっと悩もうかなと思ってます」
「なんで。決めちゃえよ。俺の部屋近いし」
「それ、理由になります?」
「いつでも会えるっしょ」
「いつでも仕事押し付けられる、ということですね」
「正解」
二宮さんは私の方を見て嬉しそうに頷き、
はぁ、とため息が出る
「どこに判子押したらいいの?」
二宮さんが松潤に近づいて書類をのぞきこむ
「え?判子?ここに決まり?」
松潤が驚いて目を大きくして私を見る
「えっ?ううん、まだ迷ってるよ」
「いいじゃん。またすぐハンバーグ作りに来てよ」
「ハンバーグ?何の話」
松潤の顔が怪訝そうな表情になる
「コイツね、俺ん家にハンバーグ作りに来てくれたの。まー味は合格点ってところですかね」
「ちょっと二宮さん…」
「何、どういう関係なの」
松潤は明らかに『聞いてないよ』という顔になっている
「これには訳があって…」
「ま、ここなら次俺の部屋に泊まるときには俺の服貸さなくてすむか」
「はっ?話についていけねーんだけど」
「そう、俺たちもうそういう関係なんで」
「二宮さん!誤解を生みます!」
松潤は何も言わずに、二宮さんと私を見た
その目は 静かに怒っているようだった
「松潤…」
松潤は無言のまま、ため息をついた
「あ、そろそろゲームで対決の時間なんですよね~。ワタシはこれで失礼します」
二宮さんは、スタスタと歩き出して玄関に向かった
「ちょっ…二宮さん!」
二宮さんは振り返ることもなく、部屋を出て行った。